主人公の成長と怪奇現象とを、見事に組み合わせた冒険譚。

文:今泉愛子

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】 本書の訳を手がける翻訳家の柴田元幸がファンであると公言する、スコットランド出身作家の長編小説。主人公ハリーは、青年期の失恋の傷が癒えないままアフリカや南米を放浪してカナダにたどり着く。人との出会いを重ねて、誰の心にも傷や歪みがあることを知るハリー。彼の心の成長と、旅先で遭遇するその土地の怪奇現象とを見事に組み合わせた冒険譚だ。恋愛の甘美さと痛ましさ、旅のワクワク感、怪奇現象のゾクゾク感など、物語を通じてあらゆる感情を体験できる。 グラフィックノベルで初、ブッカー賞候補作の衝撃とは? なぜインディアンがカジノを? 部族と...

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