新進アーティスト・松丸契による、旬のジャズが薫る注目作。

文:中安亜都子(音楽ライター)

【Penが選んだ、今月の音楽】 日本のジャズ界にまたひとり、才能ある新人が登場した。彼の名は松丸契。幼少期から高校時代をパプアニューギニアで過ごし、そののちバークリー音楽大学に学んだ俊英である。新作の『Nothing Unspoken Under the Sun』はオープニングから突き抜けるようなサックス演奏がまず耳を捉える。 音色の豊かさ、確かなテクニック、変化に富んだ曲想で、全体のテンションを維持していく。カルテット編成のメンバーは、それぞれが磨かれたセンスの持ち主であり、その掛け合いは実にスリリングだ。この作品には今日的なジャズのエッセンスが凝縮されているとも思う。特に最...

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