パンクの女王パティ・スミスが、心の軌跡を綴る回顧録。

文:今泉愛子

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】 2007年にロックの殿堂入りしたミュージシャンで「パンクの女王」と称され、詩人、写真家としても活躍するパティ・スミス。彼女が過去を振り返り、自らの内面を洗練された筆致で綴る。カフェをやりたいと夢見た1970年代。古い夢に回帰させてくれた村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』を空港のトイレに置き忘れてしまったこと。刑事ドラマを観たくなるのはどんな気分の時か……。『Mトレイン』のMはMind(心)を意味する。彼女の心の軌跡を旅するような気分になる回顧録だ。 西洋絵画で描かれてきた、 危険な香りのモチーフを解説。 ギリシャの大衆...

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