明快な線と色で小動物たちを描いた、熊谷守一の生涯の作品をたどる大回顧展を見逃すな。

文:内山さつき

明るい色彩と単純化された形で、花や虫、鳥や猫などの小動物を描いた画家・熊谷守一。白い髭と着物姿で、晩年は「超俗の画家」と呼ばれました。身近な生き物をテーマにした洒脱な作風は、多くの人々に愛され続けています。 そんな熊谷の回顧展『没後40年 熊谷守一 生きるよろこび』が、2018年3月21日(水・祝)まで東京国立近代美術館で開催。画家を志し、美術学校に入学した20代の頃から作品をたどり、苦難に満ちた前半生を経て、晩年の明るく達観した境地に至るまでの画風の変遷を展示しています。 光と影に強い関心を抱いていた若き日の熊谷。夜間、列車に飛び込み自殺をした女性をとらえた「轢死」や、暗い部屋の...

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