ぐにゃぐにゃになり、丸まり、これを革靴と呼べるのか !? フィレンツェ在住靴職人、深谷秀隆のアートを表参道で。

文:高橋一史

靴をパーツとして用いたアート作品は、世の中に少なからずあります。人が履き込んだ靴を集めた作品、陶器のような異素材を使った彫刻的オブジェなどはその代表的なものでしょう。しかし、ここにご紹介するアート展、「靴の彫刻 ー伝統工芸の町の仲間とー」に並んでいるのは、革靴そのものです。ただ一つ異なるのは、どれも原型を留めないほどに変形され、見たことのない造形になっていること。おそらく、いわゆる芸術家なら、自分では形にできない作品のはずです。紐結び式のドレッシーな紳士靴が、本格的な製法でつくられているのですから。作品を手掛けた深谷秀隆さんは、なぜこうしたリアルとファンタジーが融合したユニークなアート...

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