生誕150年記念「藤島武二展」で改めて追う、日本近代洋画を牽引した魅力。

文:坂本 裕子

江戸から明治へ、近代化へと踏み出した日本には、西洋文化が一気に流入します。洋画もそのひとつ。世界を見たままに写す西洋遠近法や陰影法、輝く色彩で描かれたヨーロッパ近代の絵画は、日本画壇に大きな衝撃を与えました。この新しい技術を習得し、日本の西洋画を確立することを目指して、画家も国家も精力的に活動します。東京美術学校西洋画科の中心的存在であった黒田清輝の下でその教育を支え、次代をつくったひとりが藤島武二。この藤島武二の生誕150年を記念して、15年ぶりの大回顧展が練馬区美術館で開催されています。 1867年、まさに幕府終焉の年に薩摩藩士の家に生まれた藤島は、四条派や狩野派の日本画を習うも...

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