誤訳や誤解から生まれる、アートの自由な可能性。

古代ギリシャ文明の象徴として名高い、アテネのパルテノン神殿。その原寸大レプリカ、つまり本物そっくりのコピーがアメリカ南部の都市、ナッシュビルにあるのをご存じだろうか? 横浜美術館で展示されたの荒木悠の新作は、2つのパルテノン神殿をめぐる本物と複製の関係性をテーマにしたものだ。  その背景には日米を行き来しながら育った彼の来歴がある。13歳で渡米した時、英語ができなかった彼は「なんとかしてアメリカのティーンエイジャーになろう」ともがいていたという。 「まわりの人の話していることやリアクション、話術などを見て覚えるしかないわけです。でもネイティブではないから、コピーしている気がする。自分...

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