スター作家でたどるベルギーの不思議な個性とは? 「ベルギー奇想の系譜」。

文:坂本 裕子

現在のベルギーとその周辺、かつてフランドルと呼ばれた地域には、ほかのヨーロッパ諸国にはない、独特の表現世界が脈々と受け継がれています。見事な写実と幻想の融合――まさに“奇想”というにふさわしいそれらは、美術史の中でも常に独自性を放ってきました。このベルギーの不思議な表現世界の系譜をたどる展覧会が、渋谷・Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されています。 始まりは15、16世紀のルネサンス時代から。ボス派やブリューゲルに代表されるフランドル絵画は、先の東京都美術館で開催された展覧会で記憶されている方も多いかと思います。その後は自然科学や近代啓蒙思想がヨーロッパを席巻し、現実や事実...

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