リヒター初の“抽象展”、コレは見逃すな!

文:河内秀子

1932年生まれのゲルハルト・リヒター。現代絵画の旗手として勢力的に制作を続ける彼にとって初となる、抽象作品をテーマにした展覧会『アブストラクション』が開催中だ。展示作品は60年代から現在までの90点におよび、なかには初公開のものもある。  リヒターが自ら展示構成を行った本展は、初期のグレーの作品群から始まる。加工された写真やガラス彫刻、そしてスキージ(ゴム製のへら)で絵の具を掻き取ることで生まれた模様がカンヴァスを覆う近年の作品……。50年を経て表現法は大きく変化しているが、その集大成からは根底に流れるコンセプトが浮かび上がる。知られざる佳作も目にすることができる、唯一無二の貴重な機...

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