サポーズデザインオフィスは、
いかにして「一期一会の家」をつくるのか。

写真:永井泰史 編集・文:山田泰巨

“施主力”を活かして、
「住みやすい」よりも
「住みたい」家をつくる。

新しい住宅を発表するたび、そのユニークなアイデアで人々の心をつかむサポーズデザインオフィス。これまでに数多くの住宅を設計してきた谷尻誠さんと吉田愛さんですが、ふたりにとって強く記憶に残る住宅とはどのようなものなのでしょう。今回は自作から5つの住宅を選び、その魅力について振り返ってもらいました。選ぶ基準となったのは「施主力」だと言います。
「今回選んだ住宅のクライアントは誰もがほどよく任せ上手。けれど期待とともに無理も言う(笑)。以前は僕らの単独犯でアイデアを膨らませていましたが、いまはクライアントにアイデアのきっかけをもらい、コラボレーションのような共犯関係にあります」と谷尻さん。
アイデアといっても具体的ななにかではなく、趣味や価値観を重視すると言います。住宅設計の打ち合わせでは誰もが強い個性をもっているのがよくわかるとか。
「自分たちにとって生活はどんなものか、これからどう生活していきたいかを考え直してもらいます。住みやすいよりも、住みたい家。そのために家という形にとらわれすぎず、場所をつくることが僕らの仕事なんです」
では、彼らが選んだ5つの家を見ていきましょう。