CREATOR 02

ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)ベーシスト

themePLAYFUL

「革靴って、どうしても脱ぎ履きが面倒で……。紐の部分をマジックテープにして、一気に“ベリベリ”って、できないですかね?」。ハマ・オカモトさんのオリジナルシューズづくりはそんなひと言から始まった。少年時代の憧れとともに、遊び心が加速する!

Profile

1991年、東京都生まれ。中学生の頃にベーシストとしてバンド活動を開始。2009年に中学校の同級生が結成したOKAMOTO’Sに加入。2021年は「Young Japanese」を皮切りに、「Complication」「M」「Band Music」と、新曲を多数リリース。

リーガル本社にあるビスポーク(オーダーメイド)のアトリエを訪れ、オリジナルシューズのアイデアを膨らませていくハマさん。一足ずつ手作業でていねいにつくり上げていく職人たちを見て、「“ベリベリ”にしたいなんて子どもじみたアイデア、みなさんを目の前にして、ちょっと気が引けてきちゃいました」と苦笑い。「でも、実際に自分の日常生活を振り返って、革靴との距離感が遠くなっている理由を考えた時に、簡単にパッと履けるっていうのは、かなり重要な部分だと思ったんです」

「あと、もうひとつやってみたかったのが、子どもの頃に憧れた、スパイグッズみたいな隠し機能をもたせること。見た目はクラシックで紳士的なのに、遊び心のあるギミックが隠されている感じは、大人になってもワクワクしますよね。ヒール部分がクルッと回って、そこに隠しポケットがあるとか(笑)」。そのアイデアを受け取ったリーガルのデザインチームは、可動式のヒールをメタルのバックルで固定するデザインを考案した。無邪気な遊び心を盛り込んだ、新感覚のシューズが出来上がりそうだ。

回転式のヒールポケットの内部には、シューズ同様、レザーのライニングをチョイス。細かい部分にまで、ハマさんなりのこだわりを詰め込んでいく。「ヒールのサイズぐらいあれば、小銭とか、USBメモリぐらい入るから、ビジネスシーンで活躍しちゃうかも(笑)。僕はベースのピックを入れておいて、ライブ中にカッコよく取り出したいですね」。オリジナルシューズのアイデアを考えていると、その靴を履いて、やってみたいこと、行きたいところのイメージが次々と湧き上がってくるようだ。

Complete

ジャケット¥14,080/ヴィンテージ(ジャイアントベイビー☎06-6536-0359)、プルオーバーシャツ¥20,000/ヴィンテージ(アンサム チル☎03-6303-3206) パンツ¥24,200/サバイ(ヘムトPR☎03-6721-0882)
眼鏡は私物

Hama Okamoto

出来上がったシューズを手にしたハマさんは、予想の遥か上を行く完成度に満足の様子。「自分で提案しておいてなんですけど、やっぱりマジックテープ、最高じゃないですか(笑)。何度も脱ぎ履きしてみましたが、まったくストレスがなくて、これを経験しちゃったらもう後戻りができなくなりそうです。ひょっとしたら、紐で締めるよりフィット感がなくなるんじゃないかと思いましたが、羽根の内側に伸縮性の高いテープを入れていただいたようで、その点もまったく気になりませんでした」

Hama Okamoto

themePLAYFUL

01
01

完成品に足を入れたら、気分はまさにスパイ映画の主人公。どんなギミックが隠されていても、ジェントルマンらしさは忘れない。外観のデザインは可能な限り元の佇まいを活かしたことで、ユニークなアイデアの割に、しっかり正統派な印象に仕上がっている。

02
02

革靴を脱ぎ履きする際の、紐を解いたり結んだりする手間を省略するために、外側の羽根部分をマジックテープでの着脱式に変更。接着面はできるだけ薄く設計されており、それと言われなければ気がつかないほど、着用時も違和感のない顔つきに仕上がった。

03
03

ヒールの底部にピンを通し、スムーズに360度回転する構造を考案。くり抜いた部分のレザーライニングは、今回一緒に撮影したハマさんのシグネチャーベースに近いシェルピンクのカラーリング。メタルのバックルで固定していて、開閉はスムーズに行える。

※「マジックテープ」は(株)クラレの面ファスナーの登録商標です。