モノトーン系のファッションを好むという森本啓太。ブラックのダイヤルとストラップの「カーキ フィールド クォーツ 38㎜」を気に入った様子。タフな時計だが、小ぶりなサイズでシックな印象だ。

HAMILTON
現代アーティスト・森本啓太が体感する、
ハミルトン「カーキ フィールド」が
永遠の名作である理由

  • 写真:丸益功紀(BOIL) 文:篠田哲生
  • 写真:丸益功紀(BOIL) 文:篠田哲生

巨大なキャンバスに描かれているのは、日本のどこにでもありそうな街角の風景。しかしそこには光と闇があり、なにかが起こりそうなざわつきを覚える。大阪で生まれ育ち、留学先のカナダでアートを学んだ森本啓太は、撮影した写真をコラージュし、それをベースに自らの手で油絵を描いていく。デジタルとアナログが入り混じる制作プロセスを楽しむ森本が、いまの時代にアナログウォッチを選ぶ意味と、ハミルトンの「カーキ フィールド」が名作として愛され続ける理由について考えた。

視認性を高めるために、ダイヤルのデザインはシンプルに徹し、色もブラックで引き締めることで、針やインデックスを際立たせる。ケースをマット仕上げにしているのは、戦場で敵から発見されないように光の反射を抑えるためで、傷が目立ちにくいというメリットもある。こういった実用から生まれたディテールをいまも継承しているからこそ、本物の魅力があるのだ。左:カーキ フィールド メカ/手巻き、SS(ブラックPVD)ケース、ケース径38㎜、パワーリザーブ約80時間、NATOストラップ、5気圧防水。¥96,800 左中:カーキ フィールド メカ/手巻き、SSケース、ケース径38㎜、パワーリザーブ約80時間、NATOストラップ、5気圧防水。¥85,800 右中:カーキ フィールド クォーツ/クオーツ、SSケース、ケース径38㎜、NATOストラップ、5気圧防水。¥64,900 右:カーキ フィールド クォーツ/クオーツ、SSケース、ケース径33㎜、NATOストラップ、5気圧防水。¥64,900

視認性を高めるために、ダイヤルのデザインはシンプルに徹し、色もブラックで引き締めることで、針やインデックスを際立たせる。ケースをマット仕上げにしているのは、戦場で敵から発見されないように光の反射を抑えるためで、傷が目立ちにくいというメリットもある。こういった実用から生まれたディテールをいまも継承しているからこそ、本物の魅力があるのだ。左:カーキ フィールド メカ/手巻き、SS(ブラックPVD)ケース、ケース径38㎜、パワーリザーブ約80時間、NATOストラップ、5気圧防水。¥96,800 左中:カーキ フィールド メカ/手巻き、SSケース、ケース径38㎜、パワーリザーブ約80時間、NATOストラップ、5気圧防水。¥85,800 右中:カーキ フィールド クォーツ/クオーツ、SSケース、ケース径38㎜、NATOストラップ、5気圧防水。¥69,400 右:カーキ フィールド クォーツ/クオーツ、SSケース、ケース径33㎜、NATOストラップ、5気圧防水。¥64,900

既視感のある風景をアートへ昇華させる

この秋に開催される個展へ向け、作品を描く森本。着用しているのはステンレススチールにブラックPVD加工を施した「カーキ フィールド メカ」。

Profile
森本啓太(現代アーティスト)
Keita Morimoto

1990年、大阪府生まれ。16歳の時にカナダへ渡り、オンタリオ州立芸術大学で学ぶ。カナダを中心に欧米で作品を制作・発表し、2021年に帰国。古典的な技術を現代に持ち込み、ありふれた街並みを劇的な世界へと変貌させる作風で話題となり、High Museum of Art(US)、ICA Miami(US)、滋賀県美術館などの美術館に作品が収蔵される。11月にパリで展覧会を開催予定。

森本の作品は印象的な光と影の表現で、現代のリアリティをうまく切り取っている。こういった作風はいかにして生まれたのだろうか?
「まず、日常の中で自分が経験しているものからモチーフを探し出します。いろいろな場所に出かけ、歩き回りながら撮った街の写真に、人物をコラージュしたものをベースに油絵を描いていきます。絵に登場する人物は必ず友人や知り合いをモデルにするので、必然的に僕と同年代の人が多くなる。だからファッションやヘアスタイルなどに、”いま”という時代感が現れてくるのでしょう。こういう絵を描き始めたのは、『もしも昔の作家が現代に生きていたら、どういう風景を描くのだろうか?』、そんな想像からでした。たとえば煌々と光る自動販売機など、現代的な風景を古典絵画の表現を使って描いているので、新鮮に見えるかもしれないですね」

「光」という絵画史における象徴的なモチーフを扱いつつ、自動販売機や駅、駐車場といった現代的な風景に焦点を当てることで、日常にある静かな美や現代生活のなかで揺れ動く不安感を描き出す。photo by Osamu Sakamoto

「光」という絵画史における象徴的なモチーフを扱いつつ、自動販売機や駅、駐車場といった現代的な風景に焦点を当てることで、日常にある静かな美や現代生活のなかで揺れ動く不安感を描き出す。photo by Osamu Sakamoto

現在の森本は国内外での個展スケジュールが詰まっており、どうしても時間を意識せざるを得ない生活が続いている。
「どういう時に時間を意識するかと考えると、締め切りの有無が一番大きい。締め切りに追われている状況は健康的ではないかもしれませんが、やる気は間違いなく出ますね(笑)。もちろん時間に追われているだけだと新鮮なものが生み出せないので、自分で意識的に余白をつくって新しい試みに挑戦することも大事です。ある時期からは一日のタイムスケジュールをしっかりと決めて、自分で時間をコントロールし、制作に向かうようになりました。だから時間を把握することは、とても大切になる。パソコンの時計表示は集中していると目に入らないので、アナログの腕時計のほうが見やすいんですよね」

道具として磨き抜かれた実用ウォッチは、
現代アーティストとしての「アナログ」へのこだわりに呼応する

かつてハミルトンがアメリカ軍に納入したミリタリーウォッチ。1942年〜45年にかけては100万個以上もの時計やクロノメーターを製造・供給した。

アメリカ陸軍のミリタリーウォッチをオリジンとするハミルトンの「カーキ フィールド」は、まさに時刻を知ることに特化したツールであり、森本のニーズに応えてくれる。
1892年の創業後、鉄道時計の分野で名を馳せたハミルトンは、その堅牢で高性能な時計が評価され、1917年には、オフィシャルサプライヤーとして第一次世界大戦中のアメリカ軍のための腕時計の製造に携わる。戦場という過酷な環境下でも時刻を読みやすく、壊れず、修理もしやすいというハミルトンのミリタリーウォッチは、その後も進化を続け“実用的な道具”として多くの称賛を受けた。そのタフな性能やシンプルな機能美を現代的に進化させたのが「カーキ フィールド」であり、いまも多くの愛好者がいる。
「デジタル機器の進化やAI革命で、いろいろなことがオートマティックにできるようになると、逆にアナログなものへと人々の興味が戻ってくるのではないでしょうか。僕自身も写真を撮ってコラージュするという点ではデジタルを使いますが、最終的には手で油絵を描く。それもアナログの価値を信じているからです」

古い邸宅を改装したアトリエには、制作途中の作品が並ぶ。作業テーブルには画材とともに、ノートパソコンやタブレットもある。使用する絵の具は、カナダのメーカーのものを愛用しているという。

古い邸宅を改装したアトリエには、制作途中の作品が並ぶ。作業テーブルには画材とともに、ノートパソコンやタブレットもある。使用する絵の具は、カナダのメーカーのものを愛用しているという。

創作に使用する筆などの道具は、実際に画材屋に足を運び、試し、納得してから購入。これと決めた道具に出合ったら、ずっと同じものを使い続けるのが森本のポリシー。仕事もプライベートも、ものを選ぶ時は使いやすさを重視するという。

創作に使用する筆などの道具は、実際に画材屋に足を運び、試し、納得してから購入。これと決めた道具に出合ったら、ずっと同じものを使い続けるのが森本のポリシー。仕事もプライベートも、ものを選ぶ時は使いやすさを重視するという。

「美術の世界でもデジタルの影響は小さくありません。たとえば画像編集ソフトさえあれば、デザインや絵画の基礎を習わなくても感覚的に作品をつくることができますし、自動生成AIは、もはや人間と同じレベルで創作ができます。ここから10年後の美術界がどうなっていくのかは、興味深いですね。しかし一方で僕自身は、アナログな部分にもこだわります。たとえば絵を描くキャンバスは、きちんと人の手でつくられているものがいい。筆は大阪の画材屋からまとめて購入していますし、絵の具はカナダのメーカーのものです。ここの絵の具は発色がよくて色が均一。これがなくなったら困りますね。僕の作品は技術だけじゃなく、道具があって初めて成立するのです」
使いやすさを重視し、長く使っていけるものを選ぶ。それは制作活動にも腕時計選びにも通じる真理だ。

新作から定番モデルまで、
「カーキ フィールド」の魅力を紐解く

カーキ フィールド クォーツ/クオーツ、SSケース、ケース径38㎜、NATOストラップ、5気圧防水。¥69,400

現在の「カーキ フィールド」は、ミリタリーウォッチの機能的なデザインを継承しつつ、ケースサイズや駆動方式の異なる多彩なバリエーションを用意する。その中心となるのは38㎜ケースの手巻きモデル。日本人の腕にしっくり馴染むサイズであり、手巻きというのもノスタルジックな魅力となる。さらにイギリスの政府職員や軍関係者のために1969年から製造された腕時計をベースとするクオーツモデルも、今年の8月に新たに発売された。
「目に留まるのは、ひと際小さな33㎜径のクオーツモデルですね。小さすぎるとバランスが悪くなりますが、このサイズ感は絶妙。1940年代につくられた初期モデルと同じサイズ感というのも魅力的ですね。テキスタイル製のNATOストラップは、蒸れの不快感もなく、一年中快適に使えそうです。クオーツモデルならではの、この軽さも気に入りました。絵を描いている時でも負担になりませんから」

ファッション好きや時計愛好家の間では小径モデルが人気を高めているが、その声に応えてくれるのが、新しく発売された33㎜径の「カーキ フィールド クォーツ」。NATOストラップとの組み合わせによって、軽やかな着用感を引き出した。

初期モデルと同じ33㎜径というサイズは、戦場という現場での操作性や着用感などを考慮して導き出された実用的なサイズ。腕に馴染む大きさで、主張しすぎず、しかし個性は存分に楽しめる。

初期モデルと同じ33㎜径というサイズは、戦場という現場での操作性や着用感などを考慮して導き出された実用的なサイズ。腕に馴染む大きさで、主張しすぎず、しかし個性は存分に楽しめる。

「手巻きモデルのリューズを回したときに指先に感じるカリカリという感触も心地よいですし、時計に命を吹き込むという楽しさがあります。個人的には付け心地がいい腕時計というのが絶対条件で、なんならシャワーを浴びる時も外したくない。過酷な環境で磨かれてきた『カーキ フィールド』なら、そういう使い方もできそうですね」

長い歴史を持ちながらも、新しいものを生み出していくハミルトン。かつては兵士たちに、そして現在はアクティブに活動する人々のために、最良の、そして信用できるツールウォッチを届けたいという気持ちから「カーキ フィールド」は生まれた。その視認性を重視したデザインや小ぶりなケース、そして着用感に優れたNATOストラップなどのアナログな手触りは、いつの時代も心を揺さぶるものなのだ。

ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン

TEL:03-6254-7371
www.hamiltonwatch.com

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