JIL SANDER / ジル サンダー

2021年 春夏 メンズ・コレクション

幾何学をミニマルに配置するコンポジションのアート作品のように、ジル サンダーは服の組み合わせで人体に立体グラフィックを描いてみせる。比翼仕立てでボタンを隠したシャツジャケットのウエストを布で絞り直線を歪ませ、シンプルなニットにはボックス型の文字グラフィックを貼り付けて視覚を混乱させる。バッグすらも造形を完成させるパーツとして用いられ、服と同じ色の極端に大きなトートを肩から下げ服装に丸みを与え、パンツのウエストにエプロン調のツールバッグを取り付けて四角い図案をプラス。今季のシルエットはタイトフィットとまではいかないもののシャープでクリーン、オーバーサイズの傾向は過去に追いやられた。どのルックも細部まで着こなしのバランスが緻密に計算された、ジル サンダー独自の知的なモードだ。