第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞と、日本映画史上初となるクィア・パルム賞を獲得した『怪物』。その主人公に抜擢され、さらには日本実写映画史上最高額となる興行収入209億円の新記録を打ち立てた『国宝』でも若き日の主人公を演じるなど、破竹の勢いでスターダムをのし上がってきた俳優・黒川想矢。現在16歳とまだまだ伸び盛りの彼が選んだ、新たな挑戦。それは海を越えたクリエイターたちとの協働だった。韓国のヒット作『破墓 パミョ』で知られるキム・ジアンと出演し、日韓混合チームによる佐賀県唐津市と韓国は釜山市での撮影を実施した映画『3ミリの恋』だ。この魅力的な座組に興味を抱き飛び込んだ黒川は、本作で経験したものすべてが財産と糧になったよう。得たものを嬉しそうに語った。
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「人の温かさが印象に残っています。撮影期間は3週間ほどでしたが、共演したパク・ジファンさんやスタッフの方々は、いまも連絡をくださいますし、嬉しいことも悲しいことも偽りなく伝えてくれるのがとても好きです。人を大切に想う韓国の文化に触れて、自分もそうありたいと思いました」
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劇中、黒川が演じたタツヒコは突然帰国した留学生ユンスル(キム・ジアン)を追って訪韓し、彼女のルーツに触れる。カメラ外でもキムが韓国案内に連れ出し、もてなしてくれたそう。「韓国の学生の間で流行っているチキンをデリバリーしてくれたり、ユッケ丼をご馳走してくださったり、撮影の最終日にはケーキを用意してくれて嬉しかったです」とほほ笑む。俳優としても「とても学びの多い現場で、演技の〝技術〟に対する捉え方が変わりました」と話す。
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「これまでの自分はゴールからの逆算といいますか“嬉しそう”や“悲しそう”に見えるように持っていく方法が技術だと思っていました。その中で、自分には『そう見せる』のではなく『本当に感じる』アプローチ、技術に走らない〝演技をしない〟やり方が合っていると思うようになったんです。ただ、現場で“気持ち待ち”が発生してしまう課題も感じていました。そんななか、今回ご一緒した韓国の俳優さんたちは『用意、スタート』となった瞬間に感情のスイッチが一気に入る。『なぜそうできるんですか?』と聞いたら、気持ちをすぐ着火できるエピソードを持っておく方法を教えてくださいました。過去のトラウマなど自分の感情が大きく動いた瞬間を覚えておいて、シーンに合わせて引き出すのだと。技術ってひとつじゃないんだ、と視野が広がりました。たとえば、『ローソン』と聞いて、涙を流さないといけない場面でも、無理矢理、目から水を流して、泣いているように見せるのも、ひとつの方法なのかもしれません。でも、自分としてはあまり好きではなくて……。かといって『ローソン』と聞いて心から感情が沸き上がってくるのを『待つこと』は俳優として、どうなのかとも思いますし……。“嘘”をも本当にするために自分がどう経験していくかが、演技における技術なのかもしれない——いまはそう考えています」
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自分とは違う視点を、たくさん取り入れていきたい
父親がタイ人であり、日頃から異文化交流を行ってきたという黒川。「自分とは違う視点に出会えるたび、新しくなれる」とこの先も他者と交流し、貪欲に吸収する構えだ。その興味関心は、アート展巡りやTシャツ収集、カメラに外国語の勉強と幅広い。最近では坂本龍一の展覧会『音を視る 時を聴く』に感銘を受け、『ナミビアの砂漠』の山中瑶子監督と文通し、高校の文化祭でTシャツを自作する予定で、ジャンルの異なる脚本を3作品も並行して執筆中。海外旅行も好きで「いつか父の母国に行ってみたい」とはにかみながら、ミスター・ビーンことローワン・アトキンソンのようにすべての行動が“本物”の俳優に憧れると語る。学業との両立は模索中。
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「先日、共演者さんにひたすら謝る夢を見て(笑)。朝起きて不安になり、監督に電話しました」という苦労も。「演技に通ずるものに出会うたび“好き”が増えていく」と語る黒川。その成長は、限界を知らない。
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映画『3ミリの恋』
2013年に創設された若手料理人のためのコンペティション(25年度を最後に現在休止中)。三重県の伊勢エビを使った料理で335名の中から頂点に輝き、女性最上位に贈られる「岸朝子賞」も同時受賞した。
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映画『国宝』
© 吉田修一/朝日新聞出版 © 2025 映画「国宝」製作委員会
吉田修一の小説を李相日監督が映画化。歌舞伎の才を見出され、成功と引き換えに修羅の道へと進んでいく主人公の凄絶な半生を描き出す。12月2日よりBlu-ray&DVDが発売。 発売・販売元:アミューズ
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映画『怪物』
「怪物」探しの果てに、私たちはなにを見るのか−−息子を想う母親、変わり者の教師、“なにか”に苦しむ子供たち、そして次第に明らかになる“怪物”の正体とは−−。DVD発売中。 ¥4,400 発売・販売元:東宝









