メルセデス・ベンツのエントリークラスとして2013年に登場し、日本でも人気のCLAクラス。メルセデスの中でもひとまわりコンパクトなボディサイズや手頃な価格もあいまって、国産メーカーからの乗り換えも多かったらしい。
エンジンとモーターが奏でる、絶妙なアンサンブル
個人的には、ワゴンとは一線を画した流麗なスタイリングを確立したシューティングブレークがとても印象深い。実際、都内でもよく見かけるよね。シューティングという割に猟では使えない間口なのはさておき、シューティングブレークという洒脱な車型を定着させた功績は大きい。
新型はアーキテクチャーを一新し、エンジンにもEVにも対応する。試乗したエンジンモデルは1.5Lの直列4気筒ハイブリッド。これが絶妙だったね。組み合わせた8速の「eDCT」は新開発のトランスミッションで、モーターを内蔵している。すべてのギアで必要に応じてエンジン出力に電気ブーストを加えたり、完全なEVモードで走らせたりすることができるのね。このモーターが、腕利きのバックメンバーみたいないい仕事をする。星野源の後ろの気になるベース、調べてみるとハマ・オカモトだった、みたいな。主役を立てながら、しっかり存在感のある音を鳴らしているのだ。
新型CLAのモーターも、エンジンという歌い手の後ろで出たり入ったりしながら、ずっとアンサンブルを支えている。場面によっては、ほとんどEVと言っていいくらいまでモーターが前に出てくる。始動時にちょっとしたラグがあるものの、生演奏のタメみたいな味わいがアナログっぽくて悪くない。
そして走り味は、上質なポップスそのもの。誰もが一度で口ずさめるほどわかりやすいのに、何度聴いても飽きない。それでいて媚びた感じがまるでない。車体には一本、硬い芯が通っていて、足まわりは段差や路面を意識させないレベルまで抑えながら、エンジンの伸びやかさに合わせてしなやかに伸び縮みする。乗りやすさに完全に振り切っているのに、ありきたりではない。ここがすごく重要だと思った。
正直に言うと、デビュー当時のCLAだとパワーに物足りなさがぬぐえなかったのね。見た目はいいのに、これでメルセデスという名門レーベルから発売されるのはいかがなものか、やっぱりV8だ!V8!みたいな。それが新型では、エンジンの声量をモーターでしっかりカバー。1.5リッターなのに2リッターターボのような余裕があり、アクセルを入れればエグゾーストノートにV8っぽい野蛮さがある。剛性が高いので乗り味がクリアで、いつまでも運転していられる心地よさがある。
名門の重さを脱いだ、新しいメルセデスの走り
ハンドリングは、ほんのりアンダーステア。切り込むと、ひと呼吸ぶんだけ挙動が遅れてくる。このおっとりした間合いが、とてもよい。これって、景色のいい道をゆったり流すためのテンポにほかならない。ワゴンに乗る人が欲しいリズムを、ちゃんとわかっている感じ。
それでいて東京ドライブの鉄板ともいえる、夜の首都高速も最高だった。走行モードを「スポーツ」に変える。すると、ゆったり構えながらも、カーブでステアリングを切り込めばぴしっと向きを変える。合流で踏めば、風に背中を押されるように伸びやかに加速していく。この走りは歴代最高だけど、自動駐車の上手さもメルセデスの中で過去一の出来で、最短コースを一発で決めてくれてた。嗚呼。もう駐車は全然これでいいっす。
乗りながら思ったのは、新型CLAが“メルセデス・ベンツ”という重たいイメージをほぼ解放したことだ。メルセデスといえば、AMGの過剰なまでの速さか、乗る人を選ぶような貫禄あるエクスクルーシブさか。EVのラインナップでさえ、それらのくびきを外れることはしなかった。
でも新型CLAは、そのどちらでもない初めての乗り味に足を踏み入れている。これはもはや、メルセデスの入門クラスというより、新しいジャンルなのね。星野源が、ブラックミュージックを日本のポップスに溶かしこみ、「イエローミュージック」と名づけたのにも似ているっちゃ似ているかな。
メルセデスベンツ CLA220 シューティングブレーク
全長×全幅×全高:4,725×1,835×1,470㎜
排気量:1.498cc
エンジン:直列4気筒ガソリンターボ+48Vハイブリッド
システム最高出力:211HP
システム最大トルク:380Nm
駆動方式:前輪駆動
車両価格:¥7,100,000
メルセデスコール
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