ビームスジャパンの鈴木修司です。今月の旅先は、かつての“駿河国”、その中心地である静岡市です。新幹線に乗ってしまえば東京からあっという間に着いてしまうし、西方面への旅のほとんどで行き過ぎるだけで、近い割にはなかなか訪れる機会がない場所です。
やっぱり欠かせない「静岡おでん」
と言っても、ここ数年で行きたい、行かないと、と考えていたのですが、つい先日にやっと行くことが叶いました。静岡訪問の目的は、仕事でもなんでもなく、ただ食べ歩きのためです。その目当てとは、全国的に居酒屋の名店と知られる「多可能」さんですが、まだまだ日が暮れるまでにはたっぷりと時間があるので、胃腸の準備運動も兼ねて、まずはおでん屋さんで軽く一杯頂きます。
いい意味で駄菓子というか軽食感覚で頂ける静岡名物の「静岡おでん」は、このような日にはうってつけです。あっさりとした味付けのおでんに、たっぷりと魚粉と青海苔をまぶし、冷えた瓶ビールで胃に流し込むのですが、最高の休日の始まりです。
「久能山東照宮」で触れる歴史と自然
そんなことをしていても、まだ日暮れまで時間があります。そこで頭の中に浮かんできたのは、以前より行ってみたいと思っていた「久能山東照宮」。天下人の徳川家康公に縁のある場所は全国に点在していますが、他と比べて知られていない穴場と勝手に思っています。
実は久能山東照宮は、歴史愛好家だけではなく、幅広く皆さんに参拝頂きたいです場所なのです。私が久能山のことに興味をもったきっかけは、とある仕事で名古屋にある徳川美術館を訪れた際でした。そこで学芸員や担当の方とのお話の中で出てきた特別な甲冑のことを、ずっと覚えていました。その甲冑とは、徳川家康公が若き日に身に付けていたという金の甲冑「金陀美具足(きんだみぐそく)」ですが、境内にある博物館の中でしかと実物を拝めることができました。写真をお見せできないのは残念ですが、実物の神々しさは格別だったので、是非とも生で見て頂きたいです。
もちろん甲冑だけが目当てではなく、東照宮を参拝することも大事で、加えて山の頂上近くから眺める「駿河湾」の美しさもかなりのものです。勝手な想像ですが、駿河湾の先の太平洋、その先にあるかも知れない災厄から日本を守るため、徳川家康公が見張り続けているのではないでしょうか。
実際に久能山東照宮で見た説明の中では、『徳川家康公は生前、家臣に対し、自分の死後について、遺体は駿河国の久能山に葬り、江戸の増上寺で葬儀を行い、三河国の大樹寺に位牌を納め、一周忌が過ぎて後、下野の日光山に小堂を建てて勧請せよ、関八州の鎮守になろうとの遺言を残されました』とありました。余談ですが、東京の増上寺、岡崎の大樹寺、日光東照宮は訪問済みなので、これで家康公の遺言にある場所すべてにお参りが叶ったです。
駿河湾を一望できる美しい景観と引き換えと言う訳ではないですが、海岸沿いの参道から一山登り切る往復路は、結構な運動となりました。そうこうしていると日暮れも近い時間となり、お腹もこなれてきたので、やっとこさで目当ての夕食へ向かいます。
いざ、地元の名居酒屋「多可能」へ
前述の「多可能」さんですが、新幹線と在来線の静岡駅のすぐ近くにあるとは思えないほどに、落ち着いた居心地のよい場所で、噂に違わぬ名店でした。山登りで枯れた喉を潤すために、この日の二本目となる瓶ビールですが、その次から地酒「萩錦」の燗酒を一筋に頂きました。
「生しらす」、「桜海老」をはじめとする駿河湾の海の幸に大喜びですが、静岡名物「黒はんぺん」のフライなどの居酒屋定番メニューも充実で、なにを食べても一味違うと感じる仕事に感心しきりです。それと、この店の雰囲気からなのか、お店の方も常連客も、みんな活気があったのも印象的でした。
あっという間の食べ歩きの日帰り旅でしたが、天下人にあやかれたのか、静岡という豊かな地域のお陰か、たっぷりと英気を養え、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。「思い立ったが吉日」という言葉もありますし、近いうちに、いつもより少し足を伸ばして、静岡の旅はいかがでしょうか。

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。