【新型BMW iX3試乗記】メッシのゴールみたいに駆動・制動・回生が一体化! 新世代EVで進化した「駆け抜ける歓び」 第251回東京車日記

  • 写真&文:青木雄介
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BMWの新世代「ノイエ・クラッセ」を担う第一弾にして専用の800Vアーキテクチャで設計された初のピュアEV SUV。

国産を含めてほぼ全メーカーがEVをラインアップに揃え、その戦略が見えてきたなか、BMWは「ノイエ・クラッセ(新しいクラス)」を掲げ、電動化を軸に新世代の到来を宣言した。その最初の一手が「iX3」だ。

巨体なのに軽い。「新しいクラス」がもたらす走り

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スクリーンを主役に据えたミニマルなキャビン。

結論から言うと、このクルマはEVの標準をひとつ上に上げた。そもそもBMWはEV、PHEV問わず車重を感じさせない制御を目指してきたけれど、ひとつの到達点を打ったと思う。「「iX3」」は2.3トンもあるのに、一世代前の「X3」(1.7トン)くらいにしか感じられないのだ。

初手でステアリングの軽さに驚く。鼻先はすっと切れ込み、アクセルを踏み込めば、身を引き締めるように全身で一点へ加速する。V8みたいな速さなのに、あるべき重さがない。そうか。これが「新しいクラス」ですか。アクセルを離すと雲間を飛ぶようにコースティングし、ブレーキを踏めば、停めたい場所へ吸い込まれるように減速する。

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フロントガラス下端の黒いコーティング部へ43.3インチの帯状ディスプレイを投影している。

モーターの精緻さは制動にこそ発揮される。日常のブレーキングの98%を回生だけでまかなえるといい、感触は超ナチュラル。この正確さをもたらすのが、統合ユニット「ハート・オブ・ジョイ」だ。制御系の集中化で、配線は約600mも削減された。この短さが実感できる、と断言しよう。

サッカーで例えるなら、ワールドカップ北中米大会のヨルダン戦でメッシが見せた、地を這うグラウンダーのフリーキック。軸足で地面を捉え(安定)、蹴り足を振り抜き(駆動)、その勢いを体幹で受け止め次へつなぐ(制動・回生)。この一連の運動が、一本の神経でシンクロしている。

一本の神経でつながる、駆動・制動・回生

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駆動と走行ダイナミクスの制御をひとつのユニットに統合し、あらゆる制御をコンマ数秒で協調させる。

従来のクルマは、各筋肉に別々の脳(ECU)がある状態。それぞれが伝言ゲームで通信して動くから、流れにわずかなズレや硬さが出る。同じ場所へボールは飛ばせても、不自然な継ぎ目は隠せない。でもメッシは違う。軸足が地面を捉えた瞬間から、蹴り足の出力、身体の傾き、蹴った後の姿勢までが次の動作を見越している。後追いで辻褄を合わせるのではない。全部が最初からひとつの運動として成立している。

「「iX3」も同じなのね。駆動して、制動して、姿勢を整えるのではなく、同時にひとつの運動として処理する。結果、狙った軌道へ寸分の狂いもなくクルマが吸い付く。誰にとっても未体験の、究極に気持ちがいいコントロール感。

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後輪モーターはレアアースを使わずに構成。

嗚呼、メッシは一日にして成らず。この感覚だって昨日今日の話じゃない。「スポーツモード」に入れればハンドリングは締まり、サイドサポートがせり出し、出足もクイックになる。でも「コンフォート」でさえ無慈悲なぐらい正確だった。街中では「スポーツ」はいらないとさえ思ったね。

その世界観は、インテリアでも地続きだ。投影式ディスプレイは、投影とは思えないほど精細。再生素材の質感も高く、特にメッシュ状の加飾が美しい。サステナビリティという主張を、品よく有り体に見せないのもBMWらしい。

「iX3」に乗るとBMWの信条「駆け抜ける歓び」とはこれだと教えられている気がする。100年かけて磨いた"走らせ方"の知見は、電気の時代になっていっそう価値を増している。

BMW iX3 50 xドライブ Mスポーツ

全長×全幅×全高:4,780×1,895×1,635㎜
モーター:誘導式非同期モーター(フロント)、他励式同期モーター(リア)
システム最高出力:469PS
システム最大トルク:645Nm
駆動方式:AWD(4輪駆動、前後2モーター)
航続距離:835㎞(WLTCモード)
車両価格:¥10,340,000

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