【道の駅で見つけた名品5選】料理家・樋口直哉が選ぶ、ピリ辛の味噌漬けから川蟹ラーメンまで

  • 写真・文:樋口直哉
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道の駅で買うなら、なにを選ぶべきか。旅先の食を楽しんできた料理家・樋口直哉さんが、各地で出合った5品を紹介する。ごはんが進むピリ辛の味噌漬け、冬に食べたいよもぎ餅、川蟹のうま味を生かしたラーメン。土地ならではの味と、樋口さんならではの食べ方にも注目したい。

青森県
道の駅さんのへの「川蟹ラーメン」

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青森県と岩手県の県境に位置する三戸で食べたのは川蟹を使ったラーメン。川蟹とはモクズガニのことで、中国料理の高級食材である上海蟹もその仲間です。もともとは川蟹をつかったすいとんが郷土料理で、それをアレンジしてラーメンに仕立てています。(もちろん川蟹すいとんもメニューはあります)

蟹をすりつぶしてスープにしているのでフランス料理のビスクやスープ・ド・ポワソンを彷彿とさせる濃厚な味わい。蟹をそのまま食べるより強く蟹を感じました。標準でごはんがついているので、最後に雑炊風に食べるのでしょう。おそらく東京でつくるとしたら2000円はとらないと原価があわないはず。

長野県
道の駅 アルプス安曇野ほりがねの里「おにぎりの友」

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道の駅の魅力はなんですか。そう尋ねられたら「そこでしか買えない食べ物」と答えるでしょう。道の駅「アルプス安曇野ほりがねの里」にある「ほりがね物産センター」が製造している『おにぎりの友』は細かく刻んだきゅうり・黄こしょう・人参をみそと醤油で漬けた、ピリ辛の味噌漬け。自分が訪れた時は『一家庭10個まで』という購入制限がかかっているほど人気商品です。

おにぎりと名前についていますが、炊きたてのごはんに卵かけごはんにお茶漬けに、あるいは納豆に混ぜてもよく、食べ方は様々。白いごはんのおいしさを最高に引き立てる逸品です。

山口県
道の駅 阿武町 「無角和種(和牛)の精肉」

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いまでは全国、津々浦々まで点在する道の駅。その最初の一軒目が山口県にある道の駅、阿武町です。道の駅ファンであれば『全国道の駅発祥の地』と刻まれた時計台を写真に収めずにいられないでしょう。

そこで売られたのが無角和種という和牛。日本が誇る和牛には『黒毛和種』『褐毛和種』『日本短角種』『無角和種』の4種類があるのですが、なかでも無角和種は最も貴重品。通常は限られたレストランに収められますが、山口県内の数カ所の道の駅ではこのように入手可能です。

無角和種の特徴は赤身のおいしさ。脂が少なく、締まった身質は現代の嗜好にぴったり。旅先で購入した食材を帰ってからゆっくり楽しむのも楽しみです。

福井県
池田町のまちの駅 こってコテいけだの「ばんこもち」

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餅といえば岩手県一関市が有名ですが、福井県の池田町も『餅の町』を標榜する隠れた名産地。その道の駅で見つけたのはよもぎをたっぷりと練り込んだ『ばんこもち』という食物でした。地元で採れたもち米、うるち米にヨモギを加えて作る冬の保存食で直径約20cmの大きな円盤形。伝統的には吊り下げるための穴が開いているそうですが、ばんことは丸太の切れ端を意味する方言とのこと。

焼いて食べると鮮烈なよもぎの風味が味わえます。個人的には日本でつくられるお餅の草餅のなかでもトップクラスによもぎが配合されているお餅だと思いました。あんこを添えてもいいですし、白みそのお椀に入れて食べると絶品。厳しい冬を越えるためのエネルギーが詰まった逸品でした。

山梨県
道の駅こぶちざわ 八ヶ岳クラフトバター工房の「八ヶ岳サンド あんバター」

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最後にご紹介するのは比較的新しい商品。道の駅こぶちざわにある八ヶ岳クラフトバター工房で食べた「八ヶ岳サンド あんバター」です。八ヶ岳は乳製品もおいしい場所ですが、出来立てのクラフトバターは軽やかな味わい。ご当地牛乳マニアなので旅先で牛乳を買うのが趣味なのですが、これからクラフトバターは流行るかもしれません。

道の駅こぶちざわは農産物のクオリティも非常に高いのですが、山々に囲まれた環境もごちそう。その場で食べる味わいは他に代えがたいです。ちなみにこの道の駅には日帰り温泉もあるので、かなり楽しめます。

 

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樋口直哉●ひぐちなおや
1981年東京都生まれ。小説家・料理家というふたつの顔を持ち、近年そのロジカルで物語性のある料理論やレシピが人気を博している。 2005 年『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、デビュー。同作は 芥川賞候補に。作家として作品を発表する一方、全国の食品メーカ ー、生産現場の取材記事を執筆。 主な著書として小説『大人ドロップ』(14年映画化)『スープの国の お姫様』がある。料理本には、『新しい料理の教科書』『ぼくのおいしいは3で作る』『日本の定番料理10の謎: ポテトサラダはなぜ「おかず」になったのか』などがある。東洋経済 アワード 2022 を受賞。