服の着こなしが語られるときよく言われるのが、「お洒落な人ほどパンツにこだわる」という文言。なるほど、これはどんな服装にも、誰にでも当てはまる定説のようだ。
パンツは、食べ物のラーメンに例えるならスープである。具材を変えれば「チャーシューメン」や「ねぎラーメン」などになるが、味を決定づけるのはスープ。スープさえちゃんとしていれば、具材が少々適当でも食べられるものだ。つまりパンツ選びにさえ気を配れば、ほかに何を着ても洒落て見えるということ。
とはいえラーメンでは麺も重要だから……シューズが麺に相当するかもしれない。パンツとシューズの下半身コンビを整えれば、装いはほぼ成立する。ヨレヨレの古着Tシャツを着ようとも、ぐだぐだのバッグを持とうとも。
ファッションブランドNEAT(ニート)を運営する西野大士さんが、パンツを軸にブランドをはじめたのも同様の発想に基づく。「自分が思い描く装いに合うパンツが世にないから作ろう」、と。
いまやNEATも西野さん自身も、大人メンズシーンに欠かせない存在。2023年に兵庫県・淡路島に店を構えたときは、多くのメディアが一斉に取り上げた。彼が淡路島出身であること、優れたファッションの店がない地元に誇りを持たせたくてオープンさせたことが語られた。
では3年経った現在はどんな店になっているだろうか?気になる現在の姿を知りたくて、9月中旬に東京から足を運んだ。
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N&N STOREの素晴らしさのひとつがその立地。店のすぐ裏手が海なのだ。海岸線沿いにあるサーフショップのようなポジション。訪れるには車移動がほぼ必須だが(バスは1時間に1本)、ここで服を買う“体験”が遠くても行きたくなる楽しみのひとつ。
コンクリートビルの圧迫感がある都会と、解放感溢れる淡路島のギャラリーのような店とでは、服との距離感が大きく異なる。まったく同じ服でも別の見え方になるのが面白い。
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NEAT周辺をあまりご存じない方に、店に行く前の予備知識として西野さん好みのファッションスタイルをお伝えしておこう。彼はよく、キャップ=古着、スポーツジャージ=古着、Tシャツ=古着、パンツ=NEAT、革靴=高級レザーシューズ、といった服装をする。さらにこの上にNEATのブレザーを羽織ることも。こうしたスタイルがベースにある店であることを頭に入れておけば、テイストがバラバラに思えるアイテムたちが調和していることに気づくはず。
全身を高級ブランド、またはその逆の古着で固める典型型の服装でない自由なマインド。ハイもローも、「同じひとりの人のワードローブ」なのだ。
この店はNEATの直営店であり、仕入れものを扱うセレクトショップでもある。HERILL(ヘリル)、YOKE(ヨーク)といった日本のモダンな大人ベーシックが彩りを添える。
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NEATのパンツもテーラードジャケットも、パターンオーダーが可能。生地見本を見ながら型と生地を選んで注文。淡路島にいながらにして、東京・千駄ヶ谷のサロンと同等のサービスを受けられるのが嬉しい。
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NEATの直営店舗は、全国に4、韓国に1の合計5店舗。日本では東京2、名古屋1、淡路島1だ。淡路島だけNEATの名を入れない店名になっている。
特筆すべきはここでしか買えないNEATがあること。それは過去に作られたアーカイブである。アーカイブ目当てで来店する人もいる人気だ。

スタッフのふたりに「私的な推しアーカイブを教えて」とお願いして選んでもらった。店長の森田さんが「これですね」と即決で取り出したのが、チェック柄が美しいウールパンツ。イギリスのフォックスブラザーズの生地を使ったもの。ボリュームがある太めパンツの流行を牽引したNEATらしさも漂う一本。
北條さんのチョイスは、軍モノをベースに上品にアレンジされたリネンのオーバーパンツ。「最近のニートでは見当たらないアイテム。今後出るかも疑問です」と、いたくお気に入りの様子。
続いて紹介するのは、NEATの26-27年秋冬新作。
注目はコットンフリース生地のモデル。アウトドア調のドレスパンツという、まさしくNEATをデザインする西野さんの世界観が凝縮された一本。コーデュロイとも異なる優しい風合いで、かっちりとしたテーラードジャケットを羽織っても穏やかさをキープ。
もうひとつ店長の森田さんが紹介してくれたのが、日本上陸間もない海外ブランド。フランス発のアウトドアブランドのAYAQ(アヤック)である。
森田さんが次のようにブランドの魅力を解説してくれた。
「エルメスで活躍した人が創業者のひとりだけあり、デザインが優れています。さらにもうひとりの創業者が、スキーで移動してライフル銃を打つバイアスロン競技のオリンピックメダリスト。本格スポーツに対応しつつ洒落た服なのがお薦めポイントです。淡路島の生活によく合う服だと思います」
高撥水の3レイヤー生地のパンツも、裾や腰回りはスラックス仕立て。これぞ街とアウトドアをシームレスにつなぐ服だ。

ハードシェルジャケットは20万円に迫り、アークテリクスの最高峰と同等の価格。相応に高価だが、品質が確かなアウトドアウェアがほしい人や、個性のあるスタイリッシュな装いを望む人は狙ってはいかがだろうか。
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西野さん自身の服装に近づきたい人が見逃せないのが、NEAT×アヤメのコラボアイウェア。彼が愛用しているビンテージのダンヒルから着想されたデザイン。今年2月に新登場したものだ。
それでは最後に余談ながら、この記事制作者が購入したアイテムをチラ見せ。
ペラッとしたチープシックなコーデュラナイロンの横長ボストンバッグ。気に入った理由は、収納時60cmの撮影ライト用スタンドが何本も入るから。つまり仕事道具として使うための購入。アウトドアプロダクツのある種の安っぽさ(いい意味で)が、肉体労働の仕事現場にちょうどいい温度なのだ。
東京に戻ってからアウトドアプロダクツの公式オンラインストアを見たら、この製品がソールドアウトだった。ほしいときに買えた、いい出会いだった。
ここに紹介した以外にも、掘ればキリがないほどのお宝に満ちた店である。淡路島を旅するときや、近隣の神戸、大阪、徳島、香川にお住まいならこの店に足を運んでみよう。きっとなにか心に響く体験ができるはずだ。
N&N STORE
兵庫県淡路市佐野1555-8
営業:11時〜18時(平日)、〜19時(土日祝)
TEL: 090-3357-2408
www.instagram.com/nandn_store_/

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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