【テスラ モデルY L試乗記】テスラで行く家族5人のフェス旅行。心はゆっくり満ちてゆく 第248回東京車日記

  • 写真&文:青木雄介
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生産終了した「モデルX」と標準「モデルY」のちょうど中間を埋める、テスラ初のロング仕様6人乗り3列SUV。ボディ後半を伸ばしながらCd値0.216と、標準「モデルY」より空力性能はむしろ向上している。

今年のフジロックは家族で行くことにした。それも3列シートが話題を呼んでいる、テスラのラージSUV、「モデルY L」ですよ。このクルマは目下人気の「モデルY」をストレッチした形状で、3列目も大人が座って快適なスペースが確保されている。実際、大人5人とアウトドア仕様の荷物を載せて「どうなの?」というところが知りたかった。

家族旅行を変える、3列シートとAIアシスタント

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16インチのフロントディスプレイに加え、後席用の8インチタッチスクリーン、19スピーカーのオーディオを装備。新搭載のAIアシスタント「Grok(グロック)」により、音声でのナビ操作や車両情報の確認、目的地周辺の検索までを対話でこなす。

結論からいうと、「モデルY L」は日本の家族持ちミニバン需要にしっかり応える。それぞれの長靴も雨具も着替えも入ったリュック、5人分のアウトドア椅子、これらをまるごとトランクに飲み込めて3列目に大人が座れる。膝を二列目のシートの間に伸ばせるし、グラスルーフの開放感も素晴らしい。

成人5人を乗せて、まだ夜が明けない早朝の関越へ入る。EVの利点は明らかで、大人数を乗せたファミリーカーにありがちな「うぐっ」という間がない。長い車体を前から引っ張るというより、床下から全体がすっと前へ出ていく感じ。この静かな身のこなしのまま、5人と荷物を高速で運んでいく。そもそも重く感じられないのも重量2.1トンというEVにしては軽量設計が効いている。うん。めちゃいい。 

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3列目は50:50分割で、ヒーターとパワーリクライニングを備える。手動調整式のエアベントも用意され、頭上には一枚もののパノラミックガラスルーフが広がり光と開放感を届ける。

さっそく新搭載されたAIである「Grok(グロック)」を試してみる。毎年混みあうフジロックで「当日、苗場で駐車場を探すならどこがいい?」と聞いたところ、毎年停めている駐車場を指示してきた。びっくりしたし、着いてなきゃいけない時間帯も的確。マジで有能ですよ。「なんでも聞いてね♪」とタメ口で応対してくるのは、グロックで選べる女性音声のひとつ「Ara(アラ)」。関西弁も使えるし、甘えん坊の妹キャラにもなれるらしい。

これまでクルマとの対話といえば、せいぜいナビに目的地を告げるくらい。それがいまや、助手席に話し相手が常駐している。美味い蕎麦屋を教えるなんて朝飯前、「暇だ」とこぼせばクイズを出し、人生相談にも「とことん付き合うよ♪」と鼻息が荒い。車内で会話が途切れたとき、代わりに口を開くのが、ちょっとギャルっぽいアラというのは、ずっとTVドラマ『ナイトライダー』で憧れていた、クルマが話す時代の到来を感じない訳にいかない。でもナイト2000のキットみたいな、通り一遍のロボじゃない。オープンマインドなアラが回答するたびに、乗り合わせた誰もが笑顔を見せる。

アラとしゃべるためにテスラに乗る、なんてことだってあるかもしれない。「こうやって毎日、世界中のオーナーさんと会話しているよ」とアラは言う。ほんとかどうかは知らないけど。

充電時間さえ、心地よい旅の一部になる

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標準「モデルY」からホイールベースを150㎜延ばし、全長は175㎜長くなった。2+2+2のキャプテンシート主体のレイアウトを採るのも、余裕あるサイズゆえの選択。

帰り道、ちょっとした失敗をした。設定をいじっている最中に、誤って遠隔車輛制御システムをオンにしてしまい、気づけば駐車中にバッテリーが50kmぶんほど余計に減っていたのだ。走行距離は残り170kmで東京に帰るにはちょっと厳しい数字。けれども途中で高崎のスーパーチャージャーへ寄ればいい。ただそれだけのことだった。

寄ったら寄ったで、30分もそこにいる必要はない。15分挿しただけで、150kmぶんが戻ってきた。駐車スペースには、同じフジロック帰りとおぼしき若者たちのテスラが停まったばかりだった。賑やかにクルマから降りてきて、フェスの続きみたいに笑い合っている。

オーナー同士ならこんなとき、今夜グリーンステージで伝説になった藤井風についてそれとなく語り合うのかな、とも思う。けれど彼らも我々も、ソケットを挿すとそれぞれの運転席へ戻り、思い思いに時間をつぶしはじめた。

誰も交わらない。ふと、コロナ禍のディスタンスを思い出す。でもいまは、距離を強いられている感覚がない。めいめいが快適な繭のなかで静かに満ちていく。バッテリーはあっという間に充電されるのに、心はゆっくり満ちてゆく。 

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3列目使用時でも荷室を確保し、後席を倒せば大きく拡張。トランク下には大型の床下収納を備え、汚れ物や背の高い荷物も収めやすい。前席センターコンソール、2列目アームレスト、3列目に計6つのカップホルダー、各ドアポケットと随所に小物入れも行き渡っている。

かつて強いられたディスタンスが、未来から眺めると優しく見えるのは、なんとも妙な気分だった。そしてもう少し先には、外に出て充電ソケットを挿す手間さえ消えるのだろう。停めておけば勝手に充電が終わっている。それが容易に想像できる時代になっている。

あの時間を思い出す。苗場は、夏の緑がむせ返るようだった。その森のただなかで、この巨大なSUVは家族の基地になっていた。その気になれば着替えを取りに戻ったり、疲れたらひと眠りすることもできる。別々のステージへ散っても、最後は同じ場所へ戻ってくる。フェスの喧騒のなか、ここだけが自分たちの静かな一室であり拠りどころになっていた。

行き先はフジロックだった。今回、誰もが満足とともに苗場への再訪を口にした。駐車場に停めた「モデルY L」は、疲れた身体を迎え入れてくれる最後の場所として記憶に残った。

 

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アダプティブダンパーは快適性重視なセッティングへと再チューニングされている。延長されたホイールベースが、ピッチングを抑え込み、上質な乗り味を実現した。また速度に応じてステアリング比を変えるプログレッシブステアリングも標準装備。

 

テスラ モデル Y L

全長×全幅×全高:4,980 × 1,920 × 1,670㎜
モーター:フロント=交流誘導電動機/リア=交流永久磁石同期電動機
バッテリー:容量88kWh(三元系リチウムイオン)
システム総合出力:462PS
システム最大トルク:590Nm
駆動方式:デュアルモーターAWD
航続距離:788km(WLTCモード)
車両価格:¥7,490,000

テスラコール
TEL:0120-966-774
www.tesla.com/ja_jp