スズキが軽自動車EV「e SKY」の発売を2026年秋に予定している。
斬新なアイデアを盛り込んだ軽自動車で多くのヒットをとばしているスズキだけに、e SKYはどんなクルマなんだろう、と筆者は興味を持っている。
今夏にプロトタイプ(発売前の試作車)に乗ることができた。特徴は“ものすごく普通”であること。その手があったか……と私は感心してしまった。
クルマ自体はナチュラルというか、どこかの性能が突出していて悪目立ちしているなんてところのないスムーズな運転感覚で、車体のデザインで感じた印象の“まんま”だと思われた。
今回のデザインを採用した理由について、スズキの開発者が言うコンセプトと通じているのではないだろうか。
「いま軽自動車をお使いのオーナーが、生活スタイルを変えることなく乗り換えられるクルマを目指しました」
従来のように内燃機関(エンジン)で走るのでなくバッテリーで駆動する“新しさ”をかたちでも表現しようーー。EVのデザインは一時期、そんな意気込みが感じられた。走行性能も同様で、ごく低速域から最大トルクが出せるバッテリー駆動の特徴を活かして、車体の大小に関係なくパワフルさを強調したのが(ちょっと乱暴にいうと)2010年代のEVだった。
だが、このe SKYは完全に新しい世代だ。言ってみれば、EVのあるライフスタイルを新たにデザインしようというクルマだ。
「いままで通り使える生活の足としての軽自動車、そこにEVの要素を加えることで日常使いの足をもっと快適にする。私たちはこの考えからブレずに開発を行ってきました」(前出の開発者)
エクステリアデザインは凝縮感がある。
「弧を描くような」と開発者が言う車体側面のショルダーライン(サイドウインドウ下)や、太めのリアクォーターパネル、さらにあえて開口部を小さめにしたようなフロントマスクの造型が奏功している。
それでいて、ヘッドランプをはじめ、スズキ車に共通するデザインアイデンティティもそこかしこに盛り込まれている。
軽自動車に親しんできたユーザーに安心感を与えるのが目的だとしたら、それを上手に達成している。
一方で、クルマに注意深く接してきている層にとっては、開口部を小さくしたグリルなど、ICE(エンジン車)との差異が感じられるはず。
インテリアデザインも、奇をてらったところはない。BEVの先駆的存在のBMW「i3」(2013年)は別格として、一連のテスラや中国のプロダクトのようにハイテク感を前面に押し出していない。
小物入れなど日常的な使い勝手を重視しているのは、軽自動車ユーザーのニーズに寄り添っているし、品のよい感じの色づかいのみが目をひくポイントだ。
「安心感を与える居心地の良い空間を目指しました。特にインパネ(インストゥルメントパネル)からドアへとつながる部分は、限られた軽自動車規格の中で表現するため、クレイモデルで何度もレビューを行いました」
開発者はデザインの意図を上記のように説明する。
取り回しのよさも、開発チームが“重視した”とする機能。タイヤの外径は14インチ径と大きめであるものの、小回りが効き、狭い道や混んだ駐車場などでの扱いやすさがうたわれている。
スズキ e Sky
全長×全幅×全高:3395×1475×1625mm
ホイールベース:2460mm
車重:1030kg
パワートレイン:バッテリー駆動 前輪駆動
バッテリー容量:26kWh
最高出力:47kW
一充電走行距離:310km(WLTC)
価格:未定
※プロトタイプ参考値
www.suzuki.co.jp










