【注目俳優・早瀬憩が語る】新作『私はあなたを知らない、』で出会った「知らなかった自分」と、映画との向き合い方

  • 写真:河内 彩
  • 文:細谷美香
  • スタイリング:佐々木 翔
  • ヘア&メイク:坂本志穂
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2024年に新垣結衣とダブル主演を務めた『違国日記』で、鮮烈な印象を残した俳優・早瀬憩。この約2年で着実に出演作を重ね、瑞々しい存在感はそのままに、役を通してさまざまな一面を見せてきた。最新作『私はあなたを知らない、』で初のヒロイン役を演じた早瀬に、今作で得た新たな学び、そして最近観て“映画のチカラ”を感じたという作品を聞いた。

人はなぜ、映画に心を動かされるのか——。「映画」が我々の心をゆさぶり、震わせるのは、そこに宿る熱量、つまりは“想いの強さ”なのかもしれない。たくさんの人の想いが重なって紡がれる映画というメディア。そこにどんな“チカラ”が宿っているのか、一緒に見ていこう。

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早瀬 憩(はやせ・いこい)●2007年、千葉県生まれ。24年に出演した『違国日記』(新垣結衣とダブル主演)と『あのコはだぁれ?』が評価されブルーリボン賞新人賞やTAMA映画賞最優秀新進女優賞などを受賞。25年に出演した『この夏の星を見る』の山元環監督の新作で、11月13日に公開される『呪いのスマホ』では映画単独初主演を務める。
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監督に引き出してもらった、「私自身も知らなかった自分」

『浅田家!』などで知られる中野量太監督の最新作『私はあなたを知らない、』では、母を殺めた人でありながら、幼い頃の自分を愛してくれた人でもある主人公・夕平との再会を通して、相反する感情を抱える難役と向き合っている。

「オーディションの時から、孤独なこの子の人生をどうしても私が生きたいと思っていました。中野監督はオーディションの時も撮影期間中も私を奮い立たせて、いままでにない感情を引き出してくださったんです。私自身も知らなかった自分に出会うことができた作品だと思います」

今後も主演作をはじめ、多彩な役柄に挑んだ作品が公開される。

「全員がひとつの目標に向かって、同じ方向を見ながら進んでいく映画の現場が、ものすごく好きなんです。映画づくりの一員になれる時間は私にとって本当に幸せで、大切なものだと感じています」

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『私はあなたを知らない、』2026年 公開中 監督・脚本/中野量太 出演/坂口健太郎、早瀬 憩ほか 2時間06分
©IDKYPs./Pyramide Productions

心を動かされ、俳優の糧となった映画は『愚か者の身分』

観客として“映画のチカラ”を感じるのは、自分の知らない世界が身近に感じられた瞬間だと話す。

「裏社会を描いた永田琴監督の『愚か者の身分』を観た時、そこで生きる人たちの人生が他人事ではなく思えたんです。衝撃と驚きとともに、世界が広がったような感覚がありました。以前はお芝居の勉強をしようと思って映画を観ていたこともあったのですが、いまは心動かされる体験が自然と自分の栄養になると思っています」

映画から手渡された豊かな感情を、自身の表現へと還元していく。その循環こそが、「唯一無二の存在でありたい」と願う早瀬の未来を支えるものになるはずだ。

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