“若者向け”と侮るなかれ。新型メルセデス・ベンツCLA、「日本にこんな1.5Lエンジンはない」と感じた走り

  • 写真&文:小川フミオ
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フロントマスクが精悍さを増した新型CLA。

スタイリッシュさではピカイチな、メルセデス・ベンツ「CLA」。26年7月に発表された新型は、パワートレインもデジタル技術も一新で、テストドライブで感心させられた。

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新プラットフォーム「Mercedes-Benz Modular Architecture(MMA)」を採用。

今回乗ったのは、「CLA180」と「CLA220」。4ドアクーペとステーションワゴン、ふたつのバリエーションがあるうち、ともに前者である。

ひと言で乗った印象を書くと、期待以上の軽やかさ。パワーがあって、操縦性が高く、ひらりひらり、という感じで走らせられる。

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「Sensual Purity(官能的純粋)」なるデザイン基本思想に基づきラインやエッジを大幅に削減したエクステリアデザイン。

デジタル技術も最新世代で、オプションで「MBUXスーパースクリーン」を選ぶと、運転席から助手席にいたるまでダッシュボード全体が、巨大なiPhoneを埋め込んだみたいな機能を持つ。

メルセデス・ベンツは、デザインとマーケティングを結びつけるのが上手な会社だ。少し前だと「SLK」(1995年)や「ML」(97年)が思いつく。 

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扱いやすいサイズと最新技術を搭載した2シーターというスペシャル感で人気を博した初代SLK。(写真:Mercedes-Benz)

SLKは、電動格納式ルーフを備えた2シータークーペ。ML(日本ではMクラスとも)はSUV。共通する特徴は、軽快さ。スポーツカーでなくスポーティカー、クロカン4WDでなくSUVだった。

CLAのオリジンを辿ると、2005年に登場した「CLS」に遡る。当時Eクラスのシャシーを使いながら、もうひとつのSクラスとして新市場を開拓しようという意図で開発された。

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前後長を短くしたルーフでもって前席主体のパーソナル性を打ち出した初代CLSは市場で歓迎された。(写真:Mercedes-Benz)

2018年の3代目CLSから、いまのCLAにつながるイメージが強化されている。CLAは、従来のメルセデスのイメージからあえて離れて、軽快さで若い世代をターゲットにしていた。

一方、そんな若々しいイメージのため、CLAを軽く捉える向きもいるかもしれない。だが、最新のCLAは、あえて乗るべき価値があるモデルだ、と思った。

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MBUXは第4世代になり、Google の地図データ・交通情報と独自の車両制御を統合したMBUXナビゲーションと、複数の生成 AI を統合した MBUX バーチャルアシスタント搭載。

エンジンはCLA180とCLA220ともに1.5リッター。小さな排気量だけれど、モーターをギアボックスに組み込んだマイルドハイブリッドで、小型化をねらう一方、効率が高く、パワーも十分。

基本的に同じエンジンだが、CLA180は100kW、CLA220は140kWの最高出力。最大トルクは、前者が200Nm、後者が300Nm。ともにモーターが22kWと200Nmを上乗せする。 

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幅が圧縮されたヘッドランプユニットとそれをつなぐLEDシグネチャーランプと、スターパターン採用のイルミネーテッドラジエターグリルが新型を印象づける。

大変よくできたパワートレインで、よく回る上に、力がたっぷりあり、トルクの出方もていねいにチューニングされていて、アクセルペダルの踏み込みに対してうまく同調。

時速15kmぐらいまではモーターのみでの走行が可能。そのさき、アクセルペダルを踏み込んでいくと、CLA180でもぐんぐんと加速。

一瞬、トルクの谷間があるように感じられるが、ターボチャージャーが働きはじめるのか、そこからまた強い加速性が味わえる。

CLA220の加速にストレスはなし。メルセデス・ベンツをはじめ、欧州のメーカーは、ホントいいエンジンをつくっている、と改めて感心。日本でこんなよい1.5リッターエンジンはないな。

デザインは、第3世代になる新型でも大きな魅力だ。円弧を描くようなルーフラインを持ち、後席のウインドウはやや小さめに見える。

もうひとつの視覚的魅力は、フロントからリアに至るまで、滑らかな面が連続していて、凝縮感がある。つまり見た目クオリティも高い。

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ヘッドライトおよびリアコンビネーションランプには、スリーポインテッドスターをモチーフとしたライトシグネチャー採用。

ヘッドランプは薄型になり、変形のケールに入り、LEDのシグネチャーランプが組み合わされている。

ユニークなのは、メルセデス・ベンツのエンブレムでもあるスリーポイントエッデスター(三芒星)のモチーフがいたるところに使われている点だ。

ヘッドランプ内、グリル内、リアコンビネーションランプ内、といいう具合。夜だときらきら明るすぎて、欧州の照度規制にひっかかる可能性がある、とメーカーの開発者に聞いたことがある。

このキラキラ感は、オーナーにとってもうれしいのでは、と思わないでもない。

いまは価格で“車格”がどうこうって時代ではないだろうが、500万円台で買えるCLAのオーナーに、このクルマでないと手に入らない喜びを与えてくれるのもよいマーケティングだ。

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Google Geminとの連携により、ナビゲーションや興味のある場所などに関する詳細を音声操作によりユーザーに提供(AIエージェントは画面左上のアイコン)。

車載AIエージェントはクラウドで、会話型のコマンドに応えてくれる。「たとえば、ドライブ中に夕食の相談をすると、コース上の食材店からレシピまで答えてくれます」とは日本法人の担当者。

私が同様の質問を音声で尋ねたところ、たしかに、そのとおりに答えてくれた。

一方、「美大に通っている娘と週末の夜に行って楽しめるアート系の映画を教えて」なんてひねった質問には、沈黙、でした。このさき「学習してきますので」(担当者)とのこと。質問で学ぶそうだ。

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シンプルさを心がけたというデザインの内装で、後席空間は外観から想像するより余裕があり、おとな2人でも快適。 

メルセデス・ベンツ CLA クーペ 180(220)

全長×全幅×全高:4725×1835×1470mm
ホイールベース:2790mm
車重:1650kg
1498cc 4気筒 マイルドハイブリッド 前輪駆動
最高出力:100(140)kW+モーター22kW
最大トルク:200(300)Nm+モーター200Nm
変速機:8段デュアルクラッチ
乗車定員:5名
燃費:20.3(20.2)km@l(WLTC)
価格:598(687)万円
www.mercedes-benz.co.jp

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。