【新型アウディA6アバント】積載量より「美しさ」を選ぶ、50年近く受け継がれるステーションワゴンの哲学

  • 文:小川フミオ
  • 写真:Audi Japan
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最新の性能を身につけたアウディのプレミアムクラス(写真:筆者)

アウディ「A6アバント」が2026年6月25日に日本発売された。プレミアムクラスのステーションワゴンで、スタイリッシュさと性能と最新のデジタル技術がセリングポイントだ。

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フロントのエアダムが大きくアグレッシブな印象もある。(写真:筆者)

新型A6アバントは、A6としては第6世代。メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーが競合となる。

A6にはデザインでも技術でも、アウディでないと手に入らないものをいくつも持っている。質感の高い面づくり、高速走行重視の4WDシステム「クワトロ」、力があり好燃費のディーゼル「TDI」モデル、という具合だ。 

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テールゲートはバンパー上から開くので重いものを積むときなど使い勝手がよい。(写真:筆者)

「アバント」とは、アウディが自社のステーションワゴンにつけた名称。1977年の「100アバント」以来、この名称にこだわってきた。

アバントという独自の名称の背景には、独自のデザインが関係している。テールゲートの傾斜を(あえて)ゆるやかにして、スタイリッシュさを印象づけた。

ポジがスタイルならネガは積載量が小さくなること。積載量が大きいステーションワゴンなら、大衆的なブランドで手に入るでしょ、というのがアウディ経営陣の言い分だったはず。 

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グリルの輪郭が広がるとともにマトリックスでパターンが変えられるヘッドランプの採用があたらしい。(写真:筆者)

かつてステーションワゴンは、ある種のライフスタイルビークルと捉える向きもあった。それがいままた復活しているようにも感じられる。

というのは、昨今のSUVブーム故。まあ、SUVとひとくくりにはできないほど個性もあるが、それらに対して、車高を抑えたアバントは、逆に、キャラ立ちしているように私には見える。

アウディがアバントをマーケットに送り出した頃、このブランドは、“ちょっといい”フォルクスワーゲンというイメージからの脱却を真剣に考えていた。

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アウディ100に設定されたアバント(1977年)。

そこで、さらに着目したのが、デザインと技術だった。

1983年に発表された「アウディ100」と同「アバント」は、フラッシュサーフェスといって凹凸を極力なくした車体で登場。 

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エアロデザインというアイディアを広めた第3世代の100に設定されたアバント(83年)。

走行中の空気抵抗を極力減らせるため、アウトバーンでより高速で走行できる、というのが理由だった。科学をデザインに使った、と高く評された。

このあと、ドイツフォードが「グラナダ・スコルピオ」というやはり“エアロデザイン”の4ドアセダンを発表。大きなトレンドが生まれた。

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ウーベ・バーンセン指揮の下ドイツフォードが手がけたグラナダ・スコルピオ。(写真:Ford)

もうひとつ、A6で強く印象に残っているのは、97年に出た第2世代。半円を描くようなキャビンのプロファイル(側面からの眺め)が美しい、デザイン性の高いモデルだった。

同時にこの時代、アウディでは品質管理を徹底的に行った。それまでは科学がプレミアムだったが、そこにつくりのよさがプレミアムという要素を加えた。 

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初代100から数えると第5世代にあるA6アバント(97年)。

ドアやボンネットなど、車体とのすきまを極力細くし、“それ以上細くしたらドアが開かなくなるんじゃないか”っていうぐらい、細い線にしか見えないほどにした。

内装は、ドイツ人が上質と評価するブラックで統一。ブラックは使う材質でツヤなどが変わるため、車内に使うのは覚悟がいる色と、自動車デザイン界では言われてきた。

アウディは、徹底的にブラックにこだわる。ダッシュボード、センターコンソール、ドア内張りなど、素材が違うはずなのに、同一素材から切り貼りしたぐらい統一感があった。 

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プロファイルが美しい最新のA6アバント。

このあたりで確立した技術のアウディ、という評価はいまも健在。最新のA6アバントは、ホント“いいもの”感にあふれている。

私がドライブしたのは「A6 アバント150kW TDIクワトロ」。2リッターディーゼルエンジンに、4WDクワトロシステムの組合せだ。

ディーゼルはいっとき、ハイブリッドに押されてなくなっていくかと思われたが、どっこい、健在だ。しかも今回のエンジンはマイルドハイブリッド化されて、燃費をかせいでいる。

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TDIモデルはマイルドハイブリッドシステムを組み込んだ2リッターディーゼルエンジンで速い。

操縦していいなあと思うのは、このエンジンのキャラクターだ。アクセルペダルの踏み込みに合わせて、スムーズに力が出てくる。

一般的なディーゼルエンジンのイメージとことなり、アクセルペダルに過敏に反応しない。

エンジンのごく低回転域ではモーターが加速を担当。“どんっ”とではなく“すっ”という出足だ。そこからもう少しアクセルペダルと踏み込むと、エンジンのトルクがもりもりっと出てくる。

これはエンジニアの味つけなのだろう。印象的にはたいへん品がよい。

もちろん、「品がいい」というのは「常におとなしい」というわけではない。高速道路では元気がいいし、カーブが連続する道も楽しめる。運転好きのドライバーにもよい。

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アンビエントライトをはじめさまざまなデジタル技術が盛り込まれた最新モデルの運転席まわり。(写真:筆者)

インテリアはロングホイールベースの恩恵もあり、空間的余裕がたっぷりある。

ダッシュボードには、運転席から助手席まで3つのモニターが並び、さまざまなアプリが使える。

会話型の音声入力システムも高感度。たとえばナビゲーションシステムに目的地を入力したり、エアコンの温度設定をしたりというとき、たいへんやりやすかった。

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可倒式シートだけれど広々としていて快適性が高い後席。(写真:筆者)

A6アバント150kW TDIクワトロの価格は940万円。ちなみに、同時に導入された2リッターガソリンエンジンの「200kW TFSIクワトロ」は927万円だ。

アウディ A6 TDI クアトロ 150kW

全長×全幅×全高:5000×1875×1485mm
ホイールベース:2925mm
車重:2050kg
荷室容量:466リッター
エンジン:1968cc 4気筒 全輪駆動
最高出力:150kW@3800〜4200rpm
最大トルク:400Nm@1750〜3250Nm
変速機:7段オートマチック
乗車定員:5名
燃費:17.3km@l(WLTC)
価格:¥9,400,000〜 
www.audi.co.jp

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。