フェラーリの新型車「アマルフィ・スパイダー」に2026年7月末、ギリシアで乗った。エレガントなスタイルではピカイチの2座スポーツ。魅力はデザインだけではないゾ。

アマルフィ・スパイダーは、25年7月に発表されたクーペ「アマルフィ」のフルオープン版。ソフトトップを開いた姿がとてもエレガントだ。
フェラーリは1970年代から、ひとつのモデルにクーペとオープンを用意してきた。
60年代までレースに出ていたスポーツプロトタイプもオープンモデルが多かったが、ロードゴーイングモデルでオープンというのは、最大の市場だった米国西海岸での需要が大きいからだ。

スパイダーとは、車高が低いオープンスポーツカーを意味する。ラテン諸国でよく使われている。
フェラーリには現在、アマルフィ・スパイダーに加えて、「12チリンドリ・スパイダー」と「849テスタロッサ・スパイダー」がラインアップされている。
どれも開放感が大きくて、スポーツドライビングに意識を集中させてしまうクーペと少し違って、風に吹かれる気持ちよさや、(人によっては)周囲に自分を見せる優越感(?)も味わえる。

「パフォーマンス、エレガンス、ドライビングプレジャー、使いやすさ、そして多用途性の完璧なバランス」
フェラーリでは、アマルフィ・スパイダーを上記のように定義。
私がこのモデルを好きなのは、古典的な成り立ち故だ。V8エンジンをフロントに搭載した後輪駆動。真横からみると“鼻”が長くて、ドライバーは後輪近くに座るポジションだ。
1950年代には確立したプロポーションで、フェラーリファンとしては、それがいまもアマルフィ・スパイダーで味わえるのがうれしい。

フェラーリには、バッテリー駆動EVやプラグインハイブリッドなど、いわゆる電動車があるけれど、アマルフィ・スパイダーは「ファンが求めている」(開発者)という理由でエンジンにこだわる。

アマルフィになって、フェラーリは一時期、タッチ式などを採用していた各種のコントロールを、物理的な、つまり手で押したり回したりできるものへと戻している。
一方で、ドライバー正面の液晶パネルにはサラウンドビューも出れば、助手席前にもさまざまな情報が表示される液晶パネルが備わる。アナログとデジタルをうまく使い分けているのだ。

テストドライブしたのはアテネ近郊の山岳地帯。そこへは高速道路で走っていった。
フルオープンの状態で、つまりソフトトップは開けて、サイドウインドウも下ろして高速で走っても、期待以上に快適。
風の巻き込みは少ないし、騒音もひどくない。スパイダーはフルオープンで走るのがある種のマナーなのだけれど(ちょっと服飾に似ている)サイドウインドウを上げると快適度は格段に向上する。

センターコンソールのボタンを押すと、前席背後にウインドデフレクターがぽんっと飛び出す。風の巻き込みを抑え、後席背後のスペースに置いたモノを守ってくれる。
アマルフィ・スパイダーはすばらしく速い。同時に安定していて、かつブレーキの効きがとてもよい。ようするに、官能性と安心感をしっかり併せ持っているのだ。
山岳路は時として大型トレーラーが走るため道幅が広めで、かつ路面の荒れは少ない。日本の高速道路より状態がいいぐらいだ。

アマルフィ・スパイダーをそこで堪能するにはドライブモードセレクターで「スポーツ」を選び、サスペンション・ダンパーを硬めに、かつステアリングホイールの操舵力を重めにするのがよい。
加えて、変速はマニュアルモードにして、ウルトラスムーズなスポーツエンジンをがんがん回して走ると、最高の気分だ。スタイルだけがこのクルマのすべてではない、とよくわかった。
もうひとつ、フェラーリでは、アマルフィ・スパイダーにロマンチックな要素を追加している。

イメージカラーは英語だとサンセットレッドという、独特の赤色。
「夕暮れの海を連想していただけたら」と、イタリア・マラネロの本社チェントロスティーレ(デザインセンター)から来ていた担当デザイナーは言っていた。

組み合わされていた内装はパープル系。フェラーリ車にお仕着せのカラーコンビネーションはないので、この組合せは、あくまでデザイナーの好みで選んだとのことだった。
「内装色は、夕暮れ時の東の空をイメージしました。内外装の組合せで、一日のなかでもっともロマンチックな時間帯を表現しています」

自動車は、デザインを通して、さまざまな物語をつくることができる。アマルフィ・スパイダーにも語るべきストーリーを込める。それがオーナーのたのしみになりそうだ。
フェラーリ アマルフィ スパイダー
全長×全幅×全高:4660×1974×1305mm
ホイールベース:2670mm
車重:1556kg
エンジン:3855cc V型8気筒 後輪駆動
最高出力:470.5kW@7500rpm
最大トルク:760Nm@3000〜5750Nm
変速機:8段デュアルクラッチ
乗車定員:4名
加速性能:0-100kph 3.3秒
価格:¥40,610,000〜
https://www.ferrari.com













