日産の新型「エルグランド」、フロントグリルは“組子”がモチーフ。伝統工芸を取り入れた新デザイン

  • 文:小川フミオ
  • 写真:日産自動車
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日産自動車が新型「エルグランド」を2026年7月16日に発売した。フロントマスクをはじめ細部まで凝ったデザインで、日産のやる気が横溢したようなモデルだ。

日産 新型 エルグランド
手前の車体は「フジドーン」の車体色に「シゴク」のルーフを組み合わせた2トーン。写真:筆者

エルグランドは、初代が1997年に登場。SUV「テラノ」とプラットフォームを共用して、走りのよさも追求したことで人気を呼び、以来、モデルチェンジを繰り返してきた。

今回は特に話題が多い。ひとつはデザイン。もうひとつは走り。ぱっと見ですぐ“新しい”と感じさせるのが、今回のエルグランドだ。

「リニアなスピード感と威風堂々とした佇まいが融合したかたち」と、日産では説明する。

日産によると「デザインコンセプトのタイムレスジャパニーズフューチャリズムを具現化」したのが、今回のエルグランドだという。

日産 新型 エルグランド
組木細工からインスピレーションを得たというフロントグリルまわりのデザインが新鮮。写真:筆者

端的な例はフロントマスク。グリルまわりに四角の格子模様がちりばめられている。日産の車両開発担当者によると「四角はひとつとして同じかたちがない」という芸の細かさ。

モチーフは伝統芸能の組子(くみこ)なのだそう。ふたつの方向の桟(さん)がつくるパターンを強調するため、よく見るとバンパーにまで筋彫りされている。 

日産 新型 エルグランド デザインスタディ
2023年発表のデザインスタディ「ハイパーツアラー」でエルグランドの基本デザインが出来上がっていたのがわかる。

もうひとつ、デザインで見るべきところは、組子のイメージを使った細かな仕上げと同時に、全体は大きな面で構成されているところだ。

フロントのコーナーパネルは逆三角形、前後の車輪まわりは台形、後輪パネルの上のリアクォーターウインドウは逆台形。それらが組み合わされている印象だ。

ドアは四角に近いため、車体に抑揚をつける必要なら、下部に面の表情をつけている。それによって、車体がやや細長く見えるとともに、躍動感が感じられる。上手なデザインだ。 

日産 新型 エルグランド
台形をモチーフにしつつクリスピーなキャラクターラインで個性をつくっている。

車体色はモノトーンが「プリズムホワイト」「至極(シゴク)」「ダークメタルグレー」「ミッドナイトブラック」。

もうひとつが2トーンで、富士の黎明の一瞬を切り取った自然美を表現したという「FUJI DAWN(フジドーン)」ベースで、ルーフ部分に「至極 」を使っている。

印象としては、車体の面やアクセントを活かす色が特によさそう。2トーンはいいし、ホワイトやグレーも新しいエルグランドのボディを美しく見せてくれる。 

日産 新型 エルグランド
光の反射で表情ゆたかに見える面づくりがエルグランドのおおきな特長、写真:筆者

「単に大きく見せることが目的ではなく、見る人に安心して乗れそう、遠くまで快適に行けそうと感じてもらうためのプロポーション」とは、発表会場における商品企画担当者の言葉だ。

インテリアは「プライベートラウンジのような空間を目指して開発」したという。 

日産 新型 エルグランド
14.3インチの統合型ディスプレイでグーグルを搭載したNISSAN CONNECTが使える。

インストルメントパネルに使われた木目調パネルと一体化したシームレスな静電式スイッチは「アリア」でおなじみのものだ。

雰囲気とともに、機能も追求されている。たとえば、14.3インチの大画面統合型インターフェースディスプレイが採用されている。

木目調のパネルは食感も重視したそうで、「従来の木目は見た目重視だったのに対して、今回はあえて凹凸をつけて、手触りのよさも追求した」と説明を受けた。

木目調のパネルに、巧妙にスイッチやインジケーターを組み込む手法は、日産にとって「アリア」以来。プレミアムモデル専用のデザインだ。 

日産 新型 エルグランド
助手席および第2列左右席で脚を休められる「トリプルオットマン」も用意される。

エルグランドは7名乗車。機内持ち込みサイズのキャリーオンを7個収納できるなど、普段の使い勝手の高さが強調されている。

一方、後席2名のみという「VIP e-4ORCE」や、特別な内外装の仕上げを持つ「AUTECH(オーテック)」車も同時発売だ。 

日産 新型 エルグランド
オーテック仕様ではシグネチャーランプのデザインも微妙に変わる。

全長とホイールベースは、市場の想定競合モデル、トヨタ「アルファード」および「ヴェルファイア」と同一だが、エルグランド独自のキャラクターは、デザインとともに、パワートレインにある。

新型エルグランドのパワートレインは、日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER(イーパワー)」のみ。そこは、アルファードやヴェルファイアと一線を画す。 

日産 新型 エルグランド
走行シーンに応じて4輪の減衰力を可変する「インテリジェント・ダイナミックサスペンション」搭載。

もうひとつの特徴が、4輪駆動美術「e-4ORCE(イーフォース)」。特に今回、ブレーキも使い加減速を緻密に行い、前後に揺さぶられないフラットな乗り心地を目指したとされる。

停止するときも「いわゆるカックンブレーキにならず、すーっと停車します」と開発担当者。

快適性に加え、カーブでの速さや正確性、それに悪路走破性をさらに高い次元に引き上げるため、「インテリジェントダイナミックサスペンション」も採用されている。 

日産 新型 エルグランド
プラットフォームは先代から大幅に改良し、高剛性ボディと徹底した遮音構造をほどこした。

走行支援システム「プロパイロット」は標準装備。「G e-4ORCE」と「X e-4ORCE」とで、しかし、内容はすこし異なる。たとえば「G」には渋滞時ハンズオフモードも装備される。

また「G」には「プロパイロット2.0」がオプション設定。同一車線内のハンズオフが可能となる上、ハンドルに手を添えスイッチを押すだけで車線変更を支援するというものだ。

価格は、「X e-4ORCE」が689万7000円、「G e-4ORCE」が757万9000円。

日産 エルグランド X e-4ORCE

全長×全幅×全高:4995×1895×1975mm
ホイールベース:3000mm
車重:2430kg
パワートレイン:ハイブリッド(e-POWER)フルタイム4輪駆動
最高出力:エンジン103kW、Fモーター151kW、Rモーター100kW
最大トルク:エンジン228Nm、Fモーター330Nm、Rモーター195Nm
乗車定員:7名
燃費:16.8km@l(WLTC)
価格:¥6,897,000
www.nissan.co.jp

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。