【日産の新型SUV】「キックス」の魅力はデザインにあり、“想像以上”の完成度を解説

  • 写真&文:小川フミオ
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期待以上のグッドデザイン! の声があがったのが、日産の新型SUV「キックス」。2026年6月17日に報道陣を集めて公開された。

日産の新型SUV「キックス」
日本市場初の第3世代「e-4ORCE」搭載で電動化技術の価値を多くの人にとうたわれる。写真:日産自動車

ステージ上に「KICKS」と車名が書かれたブルーの”箱”が置かれていて、時間がくると音楽とともに、それが開きクルマが姿を現した。

全長4365mmの車体は、トヨタ・カローラクロスより約10cm短い。コンパクトだが、実車は張りのあるボディ面をもち、存在感は大きいのだ。 

日産の新型SUV「キックス」
キックスのデザインの説明するプログラムデザインディレクターの楠氏。写真:日産自動車

「キャラクターラインをたくさん入れずに、かたまりとしての強さと(面の)抑揚(の追求)で、フェンダーの張り出し感など、力強さを表現しました」

そう説明してくれたのは、プログラムデザインディレクターの楠(くすのき)鉄平氏だ。

エクステリアデザインで意識したのは、力強さ。たとえばフロントマスクは、アメリカンフットボールのヘルメットから着想を得たそうだ。 

日産の新型SUV「キックス」
Vモーショングリルのモチーフを残しつつデザインは新しい方向が目指されている。

日産車にちょっと詳しいひとなら、2010年から採用された「Vモーショングリル」の名残りを認められるだろう。

それでも、イメージはぐっと新しくなり、同社の「セレナ」や「エクストレイル」で見られる、縦に数本並んだLEDシグネチャーランプも残しつつ、よりよく“消化”された印象だ。

特にボンネットの左右両端を盛り上げているのは、昨今のフェラーリ12チリンドリなども採用しているパワー感の表現。これもうまく組み合わせている。 

日産の新型SUV「キックス」
フェンダーの張り出しが強調されスポーティな雰囲気を持つのが好感度大。

カプセルのようにリフレクション(光の面反射)を見せるのはこだわり、と前出の楠氏。

「キャラクターラインがないので、リフレクションのずれだったりとか、面と面のずれが少しでもあると、リフレクションがきれいに通らないので、生産部門と何度も何度も話し合いもしました」

デザイナーが工場に何度も足を運び、目標達成のために、コンマ1ミリ単位のズレも調整したとする。

人間の眼はかなり鋭くて、ちょっとした光の乱れとかで、品質感の印象が損なわれる。それを知っているキックスのデザイナーのこだわりは、実車を見ると納得だ。 

日産の新型SUV「キックス」
躍動感を強く感じさせるグッドデザインのリアビュー。

フェンダーを含めたフロント部分は先述のとおり、かなり好印象。もうひとつ、私が好きなのは斜め後方からの眺めだ。

グラスハッチを少し絞りこんでリアフェンダーのふくらみを強調するとともに、テールゲートはグラスの下に車体同色の帯を設けることでほんの少しノッチ(段差)を感じさせる処理。

面を垂直に裁ち落としたような印象が強調されたため、視覚的には、SUV的な実用性というより、走りがよさそうなスポーツ性を強く印象づけられる。 

日産の新型SUV「キックス」
ダッシュボードに設けられたテーブルトップはソフトな感触。

「インテリアは、SUVなので、乗っている人をプロテクトしてあげるという強さ」を重視したと楠氏は言う。

一方、力強さばかり意識すると、乗員に緊張感を与えかねない、と懸念もあったそうだ。そこで注目したのは素材。

「インストゥルメントパネルには、PVCや、ジャージ(ニット)感で手が触れると本当に気持ちいいファブリックをテーブルトップに使用しました」

テーブルトップとは、インストゥルメントパネル中央部のモニター操作する際に、左手首を休められるところ。ここの感触は、無意識的に好感につながるという。

日産の新型SUV「キックス」
2655mmと長めのホイールベースの恩恵で後席空間も余裕がある。

パワートレインは、日産が熟成を重ねてきた「e-POWER」なるシリーズハイブリッド。1.4リッターエンジンはバッテリーへの給電の働き(のみ)をする。

「e-POWER」は名称こそ受け継いでいるが、内容はあたらしいと日産。モーター、発電機、インバーター、減速機、増速機と5つを一体化したのが特徴。日本市場では初だそう。

前輪駆動モデルと、電動駆動「e-4ORCE」(イーフォース)による4WDモデルが設定されている。 

日産の新型SUV「キックス」
AWDモデルではモーターとブレーキを統合制御する「e-4ORCE」による気持ちよい走りと快適な乗り心地がうたわれている。写真:日産自動車

価格も買いやすさを日産では強調。ベースモデルの「Xシンプルパッケージ」は299万9700円からトップグレード「G」の389万8400円まで。

AWDモデルは「「X e-4ORCEシンプルパッケージ」の334万9500円からトップグレード「G e-4ORCE」の424万8200円までとなる。

日産 キックス G e-4ORCE

全長×全幅×全高:4365×1800×1610mm
ホイールベース:2655mm
車重:1590kg
1433cc4気筒ハイブリッド 全輪駆動
システム最高出力:72kW+105kW(Fモーター)+50kW(Rモーター)
システム最大トルク:115Nm+315Nm(Fモーター)+160Nm(Rモーター)
乗車定員:5名
燃費:20.1km@l(WLTC)
価格:¥4,248,200 
www.nissan.co.jp



小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。