【『風を飼う方法』】自費出版で注目の新鋭が紡ぐ、 ままならぬ日常の物語

  • 文:瀧 晴巳(フリーライター)
Share:

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『風を飼う方法』

02 (1).jpg

小原 晩 著  河出書房新社 ¥1,650

自費出版のエッセイ『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』が5万部を超えるベストセラーになった著者による初の短編小説集。離婚してひとりになった主人公が、弁当屋で働き始める一編「けだるいわあ」。だるいと言いそうなところを一文字「け」を足して、けだるいと言えば「アンニュイな感じになる」と弁当屋のえつこさんは言う。それは彼女なりの処世術でもあるのだろう。幸せになりたい、心細い——。普段口に出せない言葉にハッとなる。風のようにままならない人生を、手なずけるための作法を描いた全4編。