【レクサス新型ES】“スピンドルグリル”を廃止。セダンの魅力を再発見させる新デザイン、米国で先行試乗

  • 写真&文:小川フミオ
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レクサスの新型「ES」を米国でドライブした。流れるようなシルエットのボディと、電動パワートレインを特徴としたプレミアムサイズのセダンだ。

レクサス新型ES 特徴的なキャラクターライン
車体側面のキャラクターラインが特徴的。

舞台は、2026年5月おわりのカリフォルニア州サンディエゴ周辺。もう少し具体的にいうと、ラホヤが基点で、海岸沿いの風光明媚な道や、丘陵地帯をドライブした。

ESは今回で8代目。そもそも初代は、1989年にレクサス1号車として登場した歴史を持つ。

基本的にサイズに余裕あるセダンとしてモデルチェンジを繰り返してきて、先代もトランクが目立たない、いわゆるファストバック的なシルエットを特徴としてきた。 

電動化時代を意識した新デザイン

レクサス新型ES
米国の広い空間のなかでデザインがよく映える。

デザイン的な見どころは、先述のとおり、きれいなシルエットが第一だろう。床下のバッテリーをクリアするため全高は1.5mを超えるものの、全高をストレッチして、高さと長さのバランスをうまくとっている。

もうひとつ、デザイン上の特徴は、フロントマスク。いわゆる”電動感”を強調するためだろう。大きなラジエターグリルはあえて設けていない。人の顔と同じで、クルマでもフロントマスクは個性と結びついた重要な部分だ。

BMWのキドニーグリル、アウディのシングルフレームグリル、それにメルセデス・ベンツの(名づけられていない)大型グリルなど、ドイツ各ブランドは、一目でそれとわかる意匠を採用している。 

レクサス新型ES フロントマスク
フロントマスクの造型が電動パワートレインを意識させる。

レクサス車の場合、「スピンドルグリル」と名づけられた、糸巻きをシルエットで見たような輪郭のラジエターグリルを持っていた。

新型ESでは、大胆なデザイン変更があった。内燃機関を持たない電動車(というイメージ)のため、スピンドルグリルを廃止。フロントマスクは、開口部が目立たない。

もちろん、実はヘッドランプ下とかバンパー下部とかに、ハイブリッドならエンジンラジエター、BEV(バッテリー駆動EV)ならインバーターなどに冷却気を採り入れる開口部がある。うまいのは、そこを巧妙にデザイン処理して、フロントマスクのアクセントにしていることだ。

フロントマスクは、スムーズでシンプルに見える。一方、ボンネットやウイング(フェンダーパネル)は、強めの抑揚がつけられている。

レクサス新型ES リア
トランクは実は独立式で容量は大きい。

私が好きなのは、なので、ボディを前から後ろへと視線を移していくときの造型美だ。ボディの抑揚を際立たせる光線の移ろいを見つつ、空気の流れを想像するのが、科学と美学に裏打ちされたプロダクトであるESの醍醐味と言いたい。

広い後席と進化したインテリア

全長は5140mmで、ホイールベースは2950mm。そこでキャビンは余裕あるサイズだ。後席空間は広びろとしていて、後席を頻繁に使うユーザーにも向いているパッケージだ。

インテリアもアップデートされている。デザインとデジタル技術の組合せが、新型ESならではの世界を構成しているのだ。

レクサス新型ES 運転席
クリーンな造型で広々感のある前席。

水平基調のダッシュボードのデザインは、広々感を強調したもので、米国市場で特に好まれる。スイッチ類がほとんど目につかない。

日本仕様には「レスポンシブ・ヒドゥンスイッチ」が採用されると聞く。なにもないようなダッシュボードパネルに手をかざすと、スイッチが現れる仕組みなのだ。 

レクサス新型ES フロントシート
ベンチレーションシステムも組み込まれたフロントシート。

BEVとハイブリッド、それぞれの乗り味

私が乗った新型ESは、BEVの「ES500e」と「ES350e」。それと、2.5リッターハイブリッドの「ES350h」だ。

温室効果ガス抑制が、いまのクルマの重要なテーマである。ただしそのために、ピュアEV一辺倒でなくハイブリッドも設定。ユーザーの選択肢を増やしておこうというのが、レクサスのいう「マルチパスウェイ」の考え方だ。

もっともパワフルなのは、AWD(全輪駆動)のES500e。「DIRECT4」と名付けられた4WDシステムを備えている。

車輪速センサー、加速度センサー、舵角センサーなどの情報を用いて、発進加速性、操縦安定性の向上、さらに低電費(いわゆる燃費)を追求している。

実際に、ドライブ感覚はとても気持ちよい。スムーズな加速性能と、素直なハンドリングが、カーメルバレーのゆるやかカーブが続く道で印象的だった。やたら加速力を誇るのでなくて、アクセルペダルを軽く踏むと、運転している私の意思どおりに加速してくれる感じなのだ。それが上質感につながっている。

レクサス新型ES 走行 フロント
スムーズな操縦性で走りは気持ちよい。写真:LEXUS International

サスペンションは、レクサス車の例にもれず、上手に設定されている。路面の状況にもかかわらず、終始”フラット”。つまり上下に激しく揺れることがない。

インターステーツは無料だけれど路面が荒れている個所も多い。足まわりが硬いクルマだと衝撃も大きいけれど、ES500eはショックをていねいに吸収してくれる。

レクサス新型ES 走行 リア
ファストバック的なスタイルで躍動感がある。写真:LEXUS International

特にドライブが好きな人にとって、走り方によってトルク配分が瞬時に変わっていく「DIRECT4」はありがたい。低負荷の高速走行などでは前輪100パーセントという時もあれば、発進加速やカーブ走行時は前後に適度に駆動トルクを振り分け、最大で後輪に100パーセントまでいくのだ。

ストレスなく運転していられる。この美点は、やはりピュア電動車だが、前輪駆動のES350eでも同様の印象だった。

総合的な性能は、先述のとおりES500eに軍配が上がるものの、ES350も、フリーウェイといいワインディングロードといい、気持ちよいドライビング体験を提供してくれた。決して悪い選択ではない。

ハイブリッドモデルも高い完成度

ハイブリッドのES350hは、前輪駆動と、お馴染みE-Fourという後輪をモーターで駆動する4WDシステムを備えたAWDをドライブできた。

レクサス新型ES インパネ
ドライブモードを切り替えるとキャラクターは劇的に変わる。

うれしい驚きは、エンジン音がより静かになっていること。負荷がかかったときのエンジン始動タイミングは早めだが、そこから踏み込んでいっても、エンジン音が気になる機会が少なかった。

動力性能的には、加速時に後輪にも駆動力がかかるAWDのほうが、スムーズなドライビングが体験できる。といっても、前輪駆動車とAWDのどちらを選ぶべきかは、普段の乗り方で決めるとよい。

レクサス新型ES シートバック
後席は空間的余裕がありシートバックは電動で角度が変わる。

ハイブリッドモデルは、さすがに加速力ではBEVにかなわないものの、静粛性を含めた快適性や、高い操縦性、広い室内、大きな荷室と、多くの性能に、ポジティブな形容詞がつけられる出来だ。

グローバルモデルとして展開されるESシリーズは、中国と米国ではいち早く展開中。日本でも6月に発売されるといわれる。モデルはここで紹介した4車種になりそうだ。

運転が楽しめるプレミアムセダンのESシリーズは、体験してみる価値があると思う。

レクサス ES 500e(プロトタイプ)

監督/吉田恵輔
全長×全幅×全高:5140×1920×1560mm
ホイールベース:2950mm
車重:2205〜2285kg
バッテリー駆動 全輪駆動
システム最高出力:252kW
乗車定員:5名
一充電走行距離:約610km
https://lexus.jp

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。