現存していたのか…レア車がずらり。「オートモビル カウンシル2026」で出会った珍しい旧車たちを紹介

  • 写真&文:小川フミオ
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クルマ好き垂涎の旧車が勢揃いした「オートモビル カウンシル 2026」が、4月10日から12日にかけて開催された。なつかしのあのクルマから、現存しているとは思わなかったとマニアをうならせるレア度100パーセントのこのクルマまで。10周年を迎えた今回も、濃い内容と高評価のイベントだった。

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1950年代ピニンファリーナはフィアット等のメーカーと組んでレコードブレーカー開発にいそしでいた(写真はフィアット・アバルト750レコルド・エンデューロ・ピニンファリーナ)。

オートモビルカウンシルの見どころは、展示車の希少性が高いこと。もちろん、ヒストリーに詳しくなくても、デザインを見ていても、十分楽しめる。

たとえば、会場の入り口に置かれた「フィアット・アバルト750レコルド・エンデューロ・ピニンファリーナ」。ひとりしか乗れないキャビンと、後ろには2枚の大きな垂直スタイビライザー。

アバルトがフィアットから委託され、世界記録を樹立するためのプロジェクト用に開発された車両だ。 

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フィアット600用エンジン(633cc)を747ccに拡大したフィアット・アバルト車のエンジン搭載。

鋼管フレームのシャシーに747cc4気筒エンジンを搭載。カロッツェリア・ピニンファリーナが当時の空力技術をフルに反映したボディを被せた。

1957年にテストトラックに持ち込まれ、72時間内に高速でできるだけ長い距離を走るのが目的だった。

レースカーのデザインって、実に面白い。それを自分の眼で確認できるのが、オートモビルカウンシルのよさ。

レースに勝つというはっきりした目的を持つレースカーは、空力のように、そのときの科学的な知見とともに、開発者の審美性へのこだわりが込められている。

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「ワークス・ルマン・スプライト・プロトタイプ」はルマン24時間レースでクラス優勝するなど好成績を残した。

「世界的にもめずらしい」と来場したジャーナリストを驚かせたのが、「ワークス・ルマン・スプライト・プロトタイプ」の展示。

英のオースチンヒーリーが、ルマン24時間レースなどの競技のために、1960年代につくったモデルで、会場には1台でなく4台が並べられた。

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ベースになったスプライトという小型スポーツカーとは似ても似つかないユニークなデザイン。

フェラーリやポルシェのレースカーは審美性が強いが、オースチンヒーリーに感じるのは、美よりむしろ情熱。

ビューティコンテストに出るわけではないので、多少不細工でも、走りのためには最善と思われることをやる。と、当時の開発者が思っていたかはさだかではないけれど、“ブサかっこよさ”が最高。 

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日本のスポーツカーの金字塔「トヨタ2000GT」はエバーグリーンな魅力を持つ。

日本ではトヨタ自動車も、1960年代のスポーツカーを展示して注目を集めていた。

「日本車が世界を捉えた日」というテーマの下、「トヨタ・パブリカスポーツ」(1962年)をはじめ、「スポーツ800」(65年)、「2000GT」(66年)を並べた。

航空機の知見を使いながらつくられたというパブリカスポーツは、乗降のためにはキャノピー全体をスライドさせる。ブリスターフェンダーまで備え、現代でも十分通用するデザインだ。

このモデルは設計図をもとに社内で手掛けたレプリカだそう。

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トヨタでは写真の「トヨタ・パブリカスポーツ」のような旧車をレストアする作業も行っている(非売品)。

「レストアを通した人材育成技術とノウハウの継承」とするトヨタ。会場内ではレストア作業中のビデオが流され、ガラスのおはじきをけずってレンズをつくるなど、工夫を重ねる作業風景は一見の価値があるものだった。

「買おうと思えば買えちゃう自動車博物館」というのが、主催者がかつてオートモビルカウンシルのコンセプトを説明したもの。 

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ホンダは写真の「NSX」初期型のようにヘリティッジカーの部品供給やレストアのビジネスをはじめる。

実際、ほとんどのクルマは商談可能で、会期中に売約済みの札が貼られていった。

「(開催の目的は)ビンテージカーマーケットのハードルを下げることです。一部の高齢富裕層の道楽として終わるのではなく、次の世代の若い人々に、こういったビンテージカーを手渡すための土壌をつくりたい」

オートモビルカウンシル実行委員会の共同代表を務める関雅文氏が、かつてメディアのインタビューで語っていたことだ。

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オニツカタイガーは出展車とカラーキーした「メキシコ 66 ドライビング」を特別出品。現在のところ市販の予定はないという。

筆者からのアドバイスとしては、古いクルマは、デザインにとどまらず、エンジンのフィーリングやサスペンションに個性があって、それが乗る価値になっているけれど、買う店を見みきわめて、というもの。

オートモビルカウンシルに出展している人たちなら大丈夫そうだし、あるいは、個人経営の整備工場を見つけたら、そこのメカニックを訪ねて、自分の興味あるクルマのことを話して、相談してみるといい。口コミか、あるいは足でかせぐのがいちばん。

ちょっと古いものは、多少の手間がかかる。それはしようがない。そこを楽しみに考えられる人には、魅力的な世界の入り口が開かれる、といえるのではないだろうか。

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新車の展示もちらほらあり、写真はマセラティが新しいスローガンとともに展示した「GT2ストラダーレ」。

オートモビル カウンシル
https://automobile-council.com

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。

小川フミオ

モータージャーナリスト

自動車を中心に活躍するジャーナリスト/ライター。自動車誌やグルメ誌の編集長を務めた後、フリーランスとして活動。新車の試乗記をはじめ、グルメ、ホテル、人物インタビューなど、多岐にわたるジャンルの記事を独自の視点で執筆し、雑誌やウェブメディアを中心に寄稿している。