ロータス最後の内燃モデル「エミーラ」乗り比べ、3モデルの走行性能・デザインはなにが違う?

  • 文:栁澤 哲
  • 写真:ロータス
Share:
エミーラのエクステリアデザインはロータスの電動ハイパーカー「エヴァイヤ」からインスパイアされている。くっきりと彫りの深いサーフェスが特徴。

ロータスの価値は、スペックではなくドライビング体験そのものにある。そんな思想から開かれた試乗会に参加した。「エミーラ」のターボSE、2.0 ファーストエディション、V6 ファーストエディション(MT)の3モデルを乗り比べできる貴重な機会だった。

ロータスの思想を体現する、「エミーラ」とは何者か

8465432D-42A6-4A20-81F3-E38DC2D37A6C_1_105_c.jpeg
左から「V6 ファーストエディション」、「2.0 ファーストエディション」、「ターボSE」。

1948年、ロンドンで設立された自動車メーカー、ロータス・カーズ(以下ロータス)。軽量ボディにしてハイスペックなマシンが世界中のスポーツカーファンを熱狂させ、いまも最先端のテクノロジーとデザインを駆使しながら、ハイパフォーマンスブランドとしての歩みを続けている。

2017年に中国の吉利汽車(ジーリー)傘下となり電動化の波が押し寄せるなか、ロータスが最後の純内燃機関モデルとして世に送り出したのが、この「エミーラ」だ。21年に惜しまれつつも生産終了となった「エリーゼ」「エキシージ」「エヴォーラ」の伝統を受け継ぐモデルである。

まず目を奪われるのが、彫刻のような造形と多数のエアベント。そんなジュニアスーパーカーとしての存在感に、実用性や快適性、そして元来のダイナミックなドライビングフィールを高次元で融合したエミーラは、ロータスのスポーツカーの歴史において飛躍的な進化を遂げたモデルといえる。

まずは初期仕様の「2.0L」モデルに試乗

Emira 2.0_00030.jpg
すべての速度域において最適なダウンフォースを発生し、優れたグリップを生み出すことができる。

最初に乗ったのは「2.0 ファーストエディション」。21年に発表されたこのクルマは、24年モデルまで生産が続いていた。後述する「ターボSE」を含め、2.0LモデルのパワーユニットはメルセデスAMG製直列4気筒ターボ(M139)を搭載し、いずれも8速デュアルクラッチを組み合わせる。

Emira 2.0_00013.jpg
グリップ部分にパンチングレザーが施された、フラットボトムタイプの小径ステアリングホイール。 

試乗車のボディカラーは、ロータスらしさを感じるイエロー。そんな先入観も手伝ってか、乗り心地はしなやかな感覚で、やはりエミーラは、エリーゼの系譜を継いでいることを改めて感じさせる。スポーツモードを選んだとしても出力は比較的穏やかで、ミッションの反応もスムーズで軽快に走る。

スポーツカーといえども肩肘張ることなく、日常における幅広いオケージョンで優雅に走りたい。そんな人にマッチする、実にバランスの取れたモデルだと感じた。

新時代のロータスを象徴する「ターボ SE」

FDCBBA38-3C71-4B86-8837-BD86F9E5F6F2_1_201_a.jpeg
フラッグシップモデルである「ターボSE」は、「2.0 ファーストエディション」よりパワーとトルクを向上させた“最速のエミーラ”。

次に試乗したのは「ターボSE」。「2.0 ファーストエディション」に比べて出力で41ps、トルクで50Nm高いスペックで、0-100km加速は4.0秒を誇る(2.0 ファーストエディションは4.4秒)。ロータスにおけるSE(Special Equipment)の冠は特別な意味を持つ。パフォーマンスとハンドリングにおけるフラッグシップであり、最速のエミーラに洗練されたデザイン性を求めるユーザーに向けた、デザイン主導のバリエーションだ。

Emira Turbo SE_Sports Sus_00009.jpg
「CARVED BY AIR(空気が刻むデザイン)」というロータスの哲学が示すように、走行時にはなめらかで官能的なラインが空気の流れと一体化する。

走り出すと、スポーツカーならではのしっかりと重いステアリングの手応えを感じる。それはブレーキも同様で、軽く踏んでも鋭く減速する。スポーツ仕様のサスペンションによる機敏な動きも相まって、その乗り心地はいい意味でプリミティブだ。コーナリングにおいては、軽やかな旋回も難なくこなしてしまう。

高速道路に乗り入れると、ロータス専用のチューニングがなされたターボエンジンがフレキシブルに吹け上がる。サウンドも力強く、ドライブモードをツアー、スポーツ、トラックと切り替えるごとに、鋭い加速を味わうことができた。

クルマとの一体感が味わえる、V6のMTモデル

B2E39205-BB5F-428B-9ED4-3D33EAFD074F_1_201_a.jpeg
「V6 ファーストエディション」は、6MTと6ATモデルをラインアップ。今回試乗したのはMTモデル。

最後に乗ったのは「V6 ファーストエディション」のMTモデル。パワーユニットはエキシージやエヴォーラでも搭載されたトヨタ製3.5L V型6気筒スーパーチャージャー付き(2GR-FE)。0-100km加速は4.3秒、最高速は288km/hと、「ターボSE」には若干及ばないが(ターボSEの最高速は291km/h)、MTにしてこの数値はさすがと言える。

特筆すべきは、甲高いスーパーチャージャーのサウンドだろう。エンジンをスタートさせるときめ細かなエキゾーストノートが感じられ、なんとも官能的だ。そして、アクセルを深く踏み込むとかなりの蹴り出し感があり、高回転に向けての伸びやかな走りが印象的だった。より本能的で刺激的な、ドライビングの楽しさにフォーカスしたモデルであることを体感させてくれた。

Emira V6_00004.jpg
ミドシップに搭載される、トヨタ製2GR-FEをベースとした3.5LのV型6気筒エンジン。
Emira V6_00012.jpg
20インチの超軽量Vスポーク鋳造アロイホイール。ロゴ入りのブレーキキャリパーは4色から選択可能。

エキゾチックなエクステリアデザイン、そしてダイナミックな走りにスポーツカーとしての矜持を感じさせる「エミーラ」。だがインテリアに目を移せば、モダンで洗練されたコックピットにストイックだったかつてのロータスから、さらなる進化を遂げている。日常に求められる利便性と、スポーツカーとしてのストイックな緊張感が見事に融合していると言えよう。

「For the Drivers」という哲学こそがロータスの本質であり、このエミーラが見事に体現しているのだ。

ロータス・エミーラ 2.0 ファーストエディション

全長×全幅×全高:4,413×1,895×1,226㎜
エンジン:直列4気筒ターボ
排気量:1,991㏄
最高出力:269kW(365ps)/7,200 rpm
最大トルク:430Nm(43.8kgm)/3,000-5,500 rpm
駆動方式:MR(ミドシップ後輪駆動)
車両価格:¥16,610,000

ロータス・エミーラ ターボSE

全長×全幅×全高:4,412×1,895×1,225㎜
エンジン:直列4気筒ターボ
排気量:1,991㏄
最高出力:298kW(406ps)/6,500 rpm
最大トルク:480Nm(48.9kgm)/4,500-5,500 rpm
駆動方式:MR(ミドシップ後輪駆動)
車両価格:¥18,231,400

ロータス・エミーラ V6 ファーストエディション(MT)

全長×全幅×全高:4,413×1,895×1,226㎜
エンジン:V型6気筒+スーパーチャージャー
排気量:3,456㏄
最高出力:298kW(405ps)/6,800 rpm
最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2,700-6,700 rpm
駆動方式:MR(ミドシップ後輪駆動)
車両価格:¥15,730,000

問い合わせ先/ロータス
www.lotuscars.com