ロータスの価値は、スペックではなくドライビング体験そのものにある。そんな思想から開かれた試乗会に参加した。「エミーラ」のターボSE、2.0 ファーストエディション、V6 ファーストエディション(MT)の3モデルを乗り比べできる貴重な機会だった。
ロータスの思想を体現する、「エミーラ」とは何者か
1948年、ロンドンで設立された自動車メーカー、ロータス・カーズ(以下ロータス)。軽量ボディにしてハイスペックなマシンが世界中のスポーツカーファンを熱狂させ、いまも最先端のテクノロジーとデザインを駆使しながら、ハイパフォーマンスブランドとしての歩みを続けている。
2017年に中国の吉利汽車(ジーリー)傘下となり電動化の波が押し寄せるなか、ロータスが最後の純内燃機関モデルとして世に送り出したのが、この「エミーラ」だ。21年に惜しまれつつも生産終了となった「エリーゼ」「エキシージ」「エヴォーラ」の伝統を受け継ぐモデルである。
まず目を奪われるのが、彫刻のような造形と多数のエアベント。そんなジュニアスーパーカーとしての存在感に、実用性や快適性、そして元来のダイナミックなドライビングフィールを高次元で融合したエミーラは、ロータスのスポーツカーの歴史において飛躍的な進化を遂げたモデルといえる。
まずは初期仕様の「2.0L」モデルに試乗
最初に乗ったのは「2.0 ファーストエディション」。21年に発表されたこのクルマは、24年モデルまで生産が続いていた。後述する「ターボSE」を含め、2.0LモデルのパワーユニットはメルセデスAMG製直列4気筒ターボ(M139)を搭載し、いずれも8速デュアルクラッチを組み合わせる。
試乗車のボディカラーは、ロータスらしさを感じるイエロー。そんな先入観も手伝ってか、乗り心地はしなやかな感覚で、やはりエミーラは、エリーゼの系譜を継いでいることを改めて感じさせる。スポーツモードを選んだとしても出力は比較的穏やかで、ミッションの反応もスムーズで軽快に走る。
スポーツカーといえども肩肘張ることなく、日常における幅広いオケージョンで優雅に走りたい。そんな人にマッチする、実にバランスの取れたモデルだと感じた。
新時代のロータスを象徴する「ターボ SE」
次に試乗したのは「ターボSE」。「2.0 ファーストエディション」に比べて出力で41ps、トルクで50Nm高いスペックで、0-100km加速は4.0秒を誇る(2.0 ファーストエディションは4.4秒)。ロータスにおけるSE(Special Equipment)の冠は特別な意味を持つ。パフォーマンスとハンドリングにおけるフラッグシップであり、最速のエミーラに洗練されたデザイン性を求めるユーザーに向けた、デザイン主導のバリエーションだ。
走り出すと、スポーツカーならではのしっかりと重いステアリングの手応えを感じる。それはブレーキも同様で、軽く踏んでも鋭く減速する。スポーツ仕様のサスペンションによる機敏な動きも相まって、その乗り心地はいい意味でプリミティブだ。コーナリングにおいては、軽やかな旋回も難なくこなしてしまう。
高速道路に乗り入れると、ロータス専用のチューニングがなされたターボエンジンがフレキシブルに吹け上がる。サウンドも力強く、ドライブモードをツアー、スポーツ、トラックと切り替えるごとに、鋭い加速を味わうことができた。
クルマとの一体感が味わえる、V6のMTモデル
最後に乗ったのは「V6 ファーストエディション」のMTモデル。パワーユニットはエキシージやエヴォーラでも搭載されたトヨタ製3.5L V型6気筒スーパーチャージャー付き(2GR-FE)。0-100km加速は4.3秒、最高速は288km/hと、「ターボSE」には若干及ばないが(ターボSEの最高速は291km/h)、MTにしてこの数値はさすがと言える。
特筆すべきは、甲高いスーパーチャージャーのサウンドだろう。エンジンをスタートさせるときめ細かなエキゾーストノートが感じられ、なんとも官能的だ。そして、アクセルを深く踏み込むとかなりの蹴り出し感があり、高回転に向けての伸びやかな走りが印象的だった。より本能的で刺激的な、ドライビングの楽しさにフォーカスしたモデルであることを体感させてくれた。
エキゾチックなエクステリアデザイン、そしてダイナミックな走りにスポーツカーとしての矜持を感じさせる「エミーラ」。だがインテリアに目を移せば、モダンで洗練されたコックピットにストイックだったかつてのロータスから、さらなる進化を遂げている。日常に求められる利便性と、スポーツカーとしてのストイックな緊張感が見事に融合していると言えよう。
「For the Drivers」という哲学こそがロータスの本質であり、このエミーラが見事に体現しているのだ。
ロータス・エミーラ 2.0 ファーストエディション
全長×全幅×全高:4,413×1,895×1,226㎜
エンジン:直列4気筒ターボ
排気量:1,991㏄
最高出力:269kW(365ps)/7,200 rpm
最大トルク:430Nm(43.8kgm)/3,000-5,500 rpm
駆動方式:MR(ミドシップ後輪駆動)
車両価格:¥16,610,000
ロータス・エミーラ ターボSE
全長×全幅×全高:4,412×1,895×1,225㎜
エンジン:直列4気筒ターボ
排気量:1,991㏄
最高出力:298kW(406ps)/6,500 rpm
最大トルク:480Nm(48.9kgm)/4,500-5,500 rpm
駆動方式:MR(ミドシップ後輪駆動)
車両価格:¥18,231,400
ロータス・エミーラ V6 ファーストエディション(MT)
全長×全幅×全高:4,413×1,895×1,226㎜
エンジン:V型6気筒+スーパーチャージャー
排気量:3,456㏄
最高出力:298kW(405ps)/6,800 rpm
最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2,700-6,700 rpm
駆動方式:MR(ミドシップ後輪駆動)
車両価格:¥15,730,000
問い合わせ先/ロータス
www.lotuscars.com
