オーセンティックなこのデニムジャケットとパンツの素材比率は、「綿70%、ポリ乳酸30%」。「ポリ乳酸とは?」と頭に疑問符が浮かぶのも当然のこと。ファッション用語としてはまず目にしない言葉だからだ。植物を原料にした土に還るプラスチック(合成樹脂)のことである。これらの服はアルミパーツを除き100%植物素材である。
新素材を混ぜたことで軽く柔らかいデニムに仕上がった。洗濯後に乾きやすい速乾性も兼ね備える。これからの春夏シーズンにぴったりの軽やかさだろう。
さらに同デニムには世界初といえる意欲的な試みがある。それはポリ乳酸の材料として、チョコレートの原料となるカカオの種皮である「カカオハスク」を採用していることだ。
アフリカのガーナなどのカカオの生産地ではカカオの殻が屋外に捨てられ、現地の環境汚染の要因にもなっている。カカオ豆の利用方法の見直しは、「無駄をなくす」だけでないクリアすべき必然の課題だ。アフリカを支援するNPO法人CLOUDYは三菱鉛筆と協業して、2025年に殻を粉砕して固めた鉛筆をつくりチャリティ販売した。世の中全体から見れば小さな活動だったかもしれないが、カカオ問題へ一石を投じた有意義な試みだった。
総合食品メーカーの明治は、チョコレートを作る際に取り除かれるカカオハスクをはじめとするカカオ未活用資源のアップサイクルに挑戦している。今回のデニムに使われた生地は、「カカオバイオプラスチック」由来のカカオ繊維を、綿とともに糸に加工して染めて織ったもの。世界初の「カカオデニム」である。
製品化したのはファッションブランドのシンゾーン。ルミネなどの商業施設に多く出店しているウィメンズブランドである。女性向けではあるが、男性的なカジュアルウェアの世界観を共有する品揃えだ。生産背景への意識が高く、日本で綿花を栽培して服に仕立てる挑戦もしてきた。
このたびのカカオデニムでは、70%を占める綿でオーガニックコットンを採用。農薬を使わず環境に負荷を掛けず、洗濯を繰り返してもソフトな風合いが保たれる綿だ。世界のコットン生産量のうち年間でわずか1.4%ほどしか存在しない、栽培が困難な希少素材でもある。
シンゾーン、明治、デニムのOEM会社であるドアーズの3社がタッグを組んだ今回のデニムウェアは、シンゾーン創立25周年記念プロジェクトでもある。全国のシンゾーン全店舗、公式オンラインストアで3月26日(木)より販売中だ。ジャケットとパンツはともに形にゆとりがある。ジャケットは2サイズ、パンツは6サイズの展開で男性にも対応する。
SDGsと快適な着心地とを両立させた「CACAO DENIM COLLECTION」。わたしたちが今後デニム選びするときの指標のひとつになるかもしれない。
Shinzone
https://shinzone.com/

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。