小さな本屋 キャンドルライト
身近なカルチャーやアートを手がかりに、社会や政治をあらためて見つめ直す場をつくるプロジェクト「キャンドルライト」。その主宰であるアリサと廣松直人が、活動のひとつのかたちとして立ち上げたのが、“本屋”という空間だ。
場所は、東京の一角。ブックギャラリーポポタムの隣にひっそりと佇むこの店は、かつて歌人・枡野浩一が使っていた場所でもあるという。小さな空間の中に広がるのは、約400冊の本によって編まれた「ゆるやかに流れる物語」。テーマごとに整然と並ぶのではなく、思考や感情の流れに寄り添うように本が配置され、ページをめくるごとに異なる視点へと導かれていく。
棚には、哲学や社会、文学、アートといった領域を横断する本が並び、phaや小林エリカ、惠愛由らクリエイターによる選書も展開される。「ふいに他者の経験に出会ってしまう本棚」と名付けられたその一角は、自分の関心の外側にある言葉と出会うための装置のようでもある。
また、これまでキャンドルライトが行ってきた哲学対話や弾き語りのシリーズ、さらには三軒茶屋のtwililightをはじめとする書店との連携によるイベントの気配も、この場所には静かに息づいている。イベントフライヤーを手掛けてきたYasuko Todaのアートワークは、ブックカバーとして再構成され、空間にひとつのリズムを与えている。
ここでの読書は、単なる知識の摂取にとどまらない。本をめくる行為が、そのまま誰かの思考や経験に触れることにつながり、自分の内側に新たな問いを生み出していく。人と人、思想と思想が、静かに交差する場所。小さな本屋は、確かな余韻を残してくれる。