Photo:Happy Vector/Shutterstock※写真はイメージですアメリカ・カリフォルニア州アルタデナで、一般住宅の床下にクロクマが長期間居座る出来事があった。家主であるケン・ジョンソンが異変に気づいたのは2025年11月下旬、感謝祭の頃である。
ジョンソンの家は基礎部分が地面から持ち上がった造りで、床下には低いクロールスペース(腹ばい(=Crawl)で移動するほどの低い床下空間)が広がっている。そこへ約550ポンド(250キロ)とみられる大型のクマが侵入した。防犯カメラには、巨体を押し込むようにして狭い開口部から入り込む様子が記録されている。外敵や雨風を避けられるこの空間は、クマにとって格好の休息場所だったようだ。
クマは出入りするたびにガス管をねじ曲げ、レンガや網戸を破損させる等、家屋に数万ドル規模の損害を与えた。
なかなか出て行かない「巨体の住人」
ジョンソンはすぐに、専門家や関係機関に相談することにした。クマが単に休息している場合、強引に捕獲や移動を試みることは推奨されない。軽はずみに刺激すると、クマが危険な行動に出る恐れがあるためだ。
地元の野生動物当局や保安官事務所に相談しながら、どのように安全に対応すべきか検討を重ねた。しかし良案が見つからず、1か月以上にわたり、床下から伝わる物音や振動、さらに「クマがすぐそばにいる」という恐怖に悩まされる日々が続いた。
専門団体が導入した、居心地を悪くする「あるもの」
ジョンソンは、この状況を受けて、野生動物との共存を支援する団体「ベア・リーグ(Bear League)」に協力を依頼した。代表のアン・ブライアントとチームは現地を確認し、捕獲ではなく自発的に立ち去らせる方法を提案した。州の方針でも、むやみに捕獲して別の場所へ移すことは個体の生存率を下げる恐れがあるため、動物に危害を加えず環境を変えてその場所を避けるよう促す方法が最適と判断された。
具体的には、床下の出入口に電気ショックを与える特殊なマットを設置した。強い痛みを与えるものではなく、クマに「ここには留まりたくない」と感じさせてその場所を避けさせる装置である。こうした対策の結果、感謝祭の頃から約6週間床下に居座っていたクマは、2026年1月8日、自ら床下を離れ、敷地外へと去った。
捕獲や鎮静剤を使うことなく安全に解決され、ジョンソンは大きく安堵したという。クマが無事に立ち去った後、ジョンソンは床下の開口部を補強し、侵入経路を塞ぐ作業も行って、再び同じ場所に入り込めないようにした。
自然と生活圏の境界線の曖昧さ
アルタデナ周辺は住宅地と自然林が隣接しており、野生動物が人間の生活圏に入り込む例は珍しくない。こうした状況は世界各地で見られ、日本でもクマが山間部の住宅地に現れるニュースが多い。
住宅や庭のわずかな隙間が動物が居付くこともあり、都市化や郊外開発が自然との境界線を曖昧にしている。今回の事例は、専門家の助言と慎重な対応によって、動物を傷つけずに問題を解決できた参考例といえる。
同様の状況に遭遇した場合は、速やかに地方自治体や専門団体に助けを求めることが重要だ。
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