中国、天門山。photo：liyuhan/Shutterstock※写真はイメージです

中国の自動車メーカー、奇瑞（チェリー）汽車のSUV（スポーツ用多目的車）が、人気観光スポット、天門山にある急こう配で有名な階段を登るスタントに挑戦。ところが途中で滑り落ち、階段の壁の一部を破壊するという事故を起こしてしまった。SNSに投稿された動画が大炎上し、自動車会社が謝罪する事態となった。

天国への階段に挑戦！　プロモーションの一環だった

天門山は、中国湖南省の国家森林公園内にある標高約1518メートルの山で、途中には天門洞という天然のトンネルがある。この天門洞へと続くのが999段の階段「天梯」だ。「天国への階段」とも呼ばれる階段の傾斜は約45度で、一般車両での登頂は容易ではない。

この階段登りに挑戦したのが、奇瑞汽車のSUV車「風雲X3L」。1.5Lターボエンジンと2つの電動モーターを採用したハイブリッド車で、今年9月に発売されたばかりのモデルだ。自動車関連ライフスタイル・サイト、ロード＆トラックによれば、階段チャレンジはこの車のプロモーションのためのマーケティング企画だったという。

まさかの落下＆物損事故…　自動車メーカーは謝罪

たくさんの見物客が見守るなか、チャレンジはスタートした。車両は順調に進んでいたが、途中何らかの不具合で停止し、後退を始めた。最終的に天梯の側壁にぶつかって車両は停止。側壁を破損させたが、幸いにも階段上に留まり、人身やその他の物への被害はなかった。

中国メディアによれば、奇瑞汽車は謝罪声明を発表し、破損した部分の修復を約束した。事故原因については、「車両の安全ロープのアンカーポイントからシャックル（ロープや針金などを連結するための金具）が予期せず外れた」ためと説明。これにより、ロープが右車輪に絡まり駆動力を阻害し、停止と横滑りを引き起こしたと報じられている。

失敗に懲りてない？　再挑戦計画中

実は「天梯」の登坂チャレンジは、2018年にイギリスの高級SUVが初めて挑戦し、これまで唯一成功した車両となっている。登坂の様子を撮影した動画は話題になった。

奇瑞汽車の内部関係者によれば、同社はすでに再挑戦の準備を進めているという。「風雲X3L」は、改良型全地形対応タイヤ装着、四輪駆動システムのトルクの配分設定の刷新、新ピッチ角モニターの搭載などのアップグレードを行った後、再登場する見込みだ。ロード＆トラックは、こうした広範な改良の可能性を考慮すると、安全システムの不具合以上の要因が働いていたのかもしれないと述べている。

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