トレンドカラーのブラウン。大人を洒落見えさせる最旬セレクション<後編>【着る/知る Vol.201】

  • 写真・文・編集:一史
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2025年秋冬にもっとも注目されるトレンドカラーがブラウンだ。これまで黒などのダークカラーで全身を固めていた人も、服装に1点取り入れて新鮮な気分を楽しんではいかがだろうか。もともと茶系が好きな人は、ほしいものに目移りする嬉しい悩みのシーズンになるかもしれない。
「都会的な洒落見え」をテーマにブラウンアイテムを集めた今回の記事は、前回の前編に続く後編。気になるアイテムが見つかったら、ワードローブに加えて自分流に着こなそう。

オールブラウンの服装をルーズなシルエットで

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ゆったりとリラックスさせた現代的なオールブラウンコーデ。着用協力:エンケル/スタジオ ファブワーク 西澤さん。

コーディネートに一着混ぜるだけで今年風の装いに姿を変えるブラウンカラー。全身の色を揃える同系色スタイルで、トレンド気分を強調するのも一興だ。上写真のようにパンツをゆったりとワイドにして、シューズをエッジーなテック系スニーカーにすると手軽に現代的なムードになる。
温かく穏やかなブラウンは、大人でも若めのストリートを意識すると洒落見えするようだ。従来のトラッドやアメカジの枠組みから逸脱したルーズな装いを楽しみたい。

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深い2タック入りのワイドパンツは08サーカスのもの。素材はウール混の化繊。長い共布ベルトつきで、ボトムがブラウン1色でまとまっている。パンツ¥50,600、手に持ったナインテイラーのベレー帽¥12,100。
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ブラウン、ブラック、シルバーのメタリックな色彩が交差するアシックス「ゲルカヤノ20」¥22,000。
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ストールはウールベースで様々な素材をざっくりと織り上げたもの。秋冬の色彩のアクセントに使いたい。ナインテイラーのストール¥16,500、古着のチェックシャツ 参考品。

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チェック柄にも洗練の美学を

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ウール混、コットンなど温かな風合いのワックスロンドンのオーバーシャツ3点。形はすっきりしており、ルーズなパンツで全身にメリハリをつけると現代的な着方になりやすい。手前 ¥39,600、後ろ右 ¥35,200、後ろ左¥39,600。

チェック柄のネルシャツは秋冬らしいブラウンカラーの代表的アイテム。汚れが目立たず毎日のように気楽に着られて便利だ。ブラウンを着こなしに取り入れたい今年も出番が増えそうな服である。

チェック柄に洗練を求める人はイギリスのワックスロンドンに注目してみよう。トータルファッションブランドだがチェックシャツが秀逸である。現代的な配色、工芸的な凝った織りの都会的な味わいだ。シャツの表情を持つアウター、すなわちオーバーシャツ(シャツジャケット)である点も魅力のひとつ。一般的なシャツより着丈が短めでブルゾン代わりにサッと羽織れる。
高見えする服なのに値ごろなのもワックスロンドンの秀逸な点。生地の生産国で縫製まで行い、現地の雇用を支えながら無駄のない服づくりをしている。

サンダル気分で気楽にシューズを履く

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キーンの「ハイパウザー クラッシュバック」¥14,300。

穏やかな表情のブラウンは、家の内外でリラックスする時間でこそ身につけたい色。サンダルにもなる2WAYシューズを選べば日々の暮らしに心地よくフィットする。

キーンの新スタイルの一足がきっと役に立つだろう。ソフトなヒールを潰せばサンダルとして履けるスリッポンシューズだ。いつも玄関に出しっぱなしになるほどの便利さ。特徴的な見た目のソールは、クッション力に優れる新アイコンシリーズ「ハイパーポート」と同じもの。冬用シューズ「ハウザー」のアッパーと融合させ、コンテンポラリーで温もりも併せ持つ一足に仕上がった。これさえあれば秋冬シーズンの日常がきっと心楽しくなる。

素材とトーンを変え、シャツ+パンツをワンランク上のスタイルに

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ブラウンのシャツとパンツをオーバーサイズで着た装い。上下で濃淡をつけてニュアンスを出した。着用協力:ムロフィス 伊藤さん。

上写真のセットアップに近い色合わせのシャツとパンツは、素材もトーンも異なる別個のアイテム。ウールベースのシャツはマットな質感で、コーデュロイパンツにはやや光沢がある。ブラウンカラーは印象の異なるアイテム同士でも馴染ませやすく、オールブラウンのコーディネートをつくりやすい色だ。流行中の今季はトゥーマッチなくらい全身でブラウンを表現するのもお洒落。遊び心を抱きつつ旬の感性をアピールしよう。

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シャツ、パンツともに東京の奥渋に店を構えるスティル バイ ハンドのもの。ポロ襟のシャツは裾のドローコードを絞れるギミックつき。シャツ¥24,200、イージーパンツ¥20,900。

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ブラウンをスウェットで取り入れるモダン発想

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スズキ タカユキのスウェットプルオーバー¥35,200、スウェットパンツ¥34,100。

今年はスウェットアイテムでもブラウンカラーがよく目につく。黒を色落ちフェード加工してブラウンに見せたものなどバリエーションが豊富だ。一昔前は「大人はスウェットよりも、上品なニットを着るべき」と言われていたが、いまやその提言はナンセンス。しっかりと厳選すれば大人でもシックに着こなせる。

そんなブラウン系スウェットで一歩上を行くのが、生地の染めと風合いを追求するブランド、スズキ タカユキの上下セットアップ。深い色の美しさもさることながら、テロっとしたソフトな風合いが唯一無二。コットンをベースに再生繊維のリヨセルを混ぜることで生み出した生地だ。シルエットも生地感を活かしゆったりめになっている。セットアップで着てカシミヤのコートを羽織ったり、上下をバラしてデニムのパンツやジャケットと組ませたり、着回し自在な服である。

アクティブなシーンでフリースが大活躍

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フリースのトップスはマーモットの「ポーラテックコンパスフリースプルオーバープロ」¥19,800、シューズはキーンの「ハウザー スリー スライド」¥11,000。

今年はデイリーに着るアウトドアウェアにもブラウンを取り入れたい。活動的なフリースがアイテム選びのいい候補になる。

マーモットのプルオーバーはポケットが多く、アウトドアからタウンまで活躍する一着。素材にはふっくらとした風合いと温かさに定評があるアメリカのポーラーテック社製を採用。シルエットはゆったりと着られるモダンなバランスだ。
この写真では生ゴムのようなアウトソールがローファイなキーンのスリッポンシューズを組ませた。細畝の優しいコーデュロイがフリースの風合いとよく馴染み、秋が深まる街の並木道や野山を歩く心を軽やかにしてくれる。

08sircus/08サーカス

https://08sircus.com/

ASICS/アシックス

www.asics.com

Nine Tailor/ナインテイラー

https://shop.ninetailor.com/

グリニッジ ショールーム/ワックスロンドン

https://greenwich-showroom.com/


KEEN/キーン

www.keenfootwear.jp/

style department_/スティル バイ ハンド

https://styledepartment-store.com/

suzuki takayuki official online store「esseism.」/スズキ タカユキ

https://esseism.com/

Marmot/マーモット

https://marmot.jp/

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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