【アイビー】伝説の写真集『TAKE IVY』が 、Tシャツになって甦る

  • 写真&文:小暮昌弘
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今年で設立50周年を迎えるセレクトショップSHIPS(シップス)が、ファッションバイブルとして世界的に注目されてきた写真集『TAKE IVY』とコラボレーションした限定コレクション「TAKE NVY(テイク ネイビー)」を10月10日から発売する。それに合わせてSHIPS 銀座店でポップアップストアが開催されるという情報を聞き、さっそく足を運んでみた。

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2006年にSHIPSの協力で復刻された『TAKE IVY』。帯には「テレビもない! 車もない! 携帯なんてとんでもない! そんな時代のアメリカの若者は、なんて輝いて見えたことだろう」と、当時の社長・三浦義哲さんの言葉が記されている。

ご存知の方も多いと思うが、『TAKE IVY』は私の前職である婦人画報社(現ハースト婦人画報社)が1965年に発行した写真集だ。私が入社する以前の出版物だが、どういう経緯でこの本が生まれたのか、かつてこの本の執筆者のひとりであり、ファッション評論家のくろすとしゆきさんに話を伺ったことがある。

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『TAKE IVY』誕生秘話

そもそも『TAKE IVY』の企画は、アイビー&トラッドブランドとして人気を博していたアパレル会社VANが宣伝用のムービーを撮影するためにアメリカへ渡ったことから始まった。当時VANで企画を担当していたくろすさんをはじめ、雑誌『メンズクラブ』で編集部にも在籍したことがある創業者のご子息石津祥介さんらが参加し、「せっかくなら写真も撮って書籍にしよう」と話が膨らみ、カメラマンの林田昭慶さんが同行。こうして伝説の写真集『TAKE IVY』が誕生したという。

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SHIPS 銀座店 1Fで行われている「TAKE NVY」POP UP STOREの様子。アイビーリーグのキャンパスライフをイメージした空間に、『TAKE IVY』の貴重な生写真などが並ぶ。

つまり、最初にあったのは動画であり、書籍化はその後のことだった。完成した動画は、東京のホテルでの映写会を皮切りに全国各地で上映され、VANの宣伝活動に使われたという。幸運にも私は最近、そのフルバージョンを鑑賞する機会を得たが、まさに“動く『TAKE IVY』”。60年代にこれほど洒落た映像を撮っていたとは、当時のチームの感性に驚かされた。

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『TAKE IVY』の写真を胸や背中に大胆にプリントしたTシャツ。Tシャツ、スウェットシャツ、キャップなどはアメリカ製にこだわって製作されている。

実はSHIPSは、この『TAKE IVY』と深い縁をもっている。
2006年、私が『メンズクラブ』の編集長だった時代のことだ。正確な日付は忘れてしまったが、下町のバーでSHIPSの社長(当時は副社長)の原裕章さん、そして当時アパレル会社に勤めていたTさんの3人で呑んでいた。その席で長らく絶版になっていた『TAKE IVY』の復刻の話が持ち上がり、勢いもあって「SHIPSがスポンサードする形で復刻しよう」ということになった。

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林田昭慶さんが撮ったアイビーリーグの写真のうち、写真集未掲載のカットも特別に展示。

とはいえ、復刻は容易ではなかった。1960年代当時の写真はすべてフィルム撮影で、出版社にも印刷所にも写真も元版も一枚も残っていなかった。そこで編集部に残っていた1冊を分解し、ページごとに高精度スキャンを行い、ようやく復刻版を制作することができた。この時つくられたデータがその後の英語版出版にもつながったのだと思う。まさに“奇跡の復刻”である。 

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「TAKE IVY」をカレッジロゴ風にデザインしたスウェットシャツやバンダナも販売。ちなみに「TAKE IVY」の名は、ファッション評論家、くろすとしゆきさんがジャズの名曲「TAKE FIVE」にちなんで命名したもの。

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伝説の写真集がTシャツに

そんな縁から、今回、SHIPSと『TAKE IVY』のコラボレーションが実現したのだが、『TAKE IVY』の写真をそのままプリントした「メッセージ フォトTシャツ」以外にも、「TAKE IVY」をカレッジロゴ風にアレンジしたスウェットシャツ、トートバッグ、ベースボールキャップ、バンダナなど、多彩なアイテムが揃う。 

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今回のコラボレーションアイテムはSHIPSエスパル仙台店、SHIPS 銀座店、SHIPS 渋谷店、SHIPS 名古屋ラシック店、SHIPS 新静岡セノバ店、SHIPS グランフロント大阪店、SHIPS 京都店、SHIPS 広島店、SHIPS 熊本店、SHIPS アミュプラザおおいた店に加え、SHIPSの公式オンラインショップでも一部のアイテムを展開中。

SHIPS 銀座店 1Fでは、10月10日〜10月26日の期間、「『TAKE NVY』POP UP STORE」を開催。アイビーリーグのキャンパスライフをイメージしたアメリカ雑貨も取り揃えている。また、カメラマン林田昭慶さんが撮影した写真集『TAKE IVY』の生写真や、愛用されていたカメラも展示。こんな機会、もう二度とないかもしれない。アイビーの世界観が息づく空間を、ぜひ体感してほしい。

「TAKE NVY」 POP UP STORE

会期:2025年10月10日〜10月26日
会場:SHIPS 銀座店
(東京都中央区銀座3-4-15 菱進銀座ビル)
営業時間 :11時 〜20時
TEL:03-3564-5547

 

小暮昌弘

ファッション編集者

法政大学卒業。1982年から婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に勤務。『25ans』を経て『MEN’S CLUB』に。おもにファッションを担当する。2005年から07年まで『MEN’S CLUB』編集長。09年よりフリーランスとして活動。

小暮昌弘

ファッション編集者

法政大学卒業。1982年から婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に勤務。『25ans』を経て『MEN’S CLUB』に。おもにファッションを担当する。2005年から07年まで『MEN’S CLUB』編集長。09年よりフリーランスとして活動。