【小顔に見える服選び】裾広パンツとVネックが鍵。印象を変える“バランスアップ”の7つのヒント

  • 写真・文・編集:一史
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わたしたちアジア系男性に共通する悩みが、欧米人と比べ顔が大きく服が似合いにくいこと。肩幅が狭く足も短いことが、頭の大きさをさらに目立たせてしまう。その問題を服選びと着こなしでカバーしよう。全身を整え洒落見えさせる“気づき”のヒントを7つご紹介。

1.[最重要]裾広パンツがマストアイテム

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極太のバギーで裾幅も広い、袴のようなイージーパンツ。とろみ素材を採用したディガウェルのもの。

顔の大きさをカバーするもっとも効果的な服は、裾幅が広いパンツである。この一点を意識するだけで、大顔カバーの作業の大半は終了したも同然だ。意外なようだが頭と足元の距離が離れた2箇所は、実は密接な関係性にある。下半身にボリュームがあると、相対的な視覚効果で頭が小さく見える。とくに足の先端の裾幅を意識することが重要だ。全身を鏡に写してバランスを整えていこう。

1970〜80年代の若者文化に不良(ヤンキー)ファッションがあった。髪をリーゼントにした大きな頭で、ダボダボのバギーパンツと尖った靴がユニフォームだった。この上下のバランスは実に理に叶った服装である。下半身が貧相な日本人が迫力を出すのにダボパンが大きな役割を果たした。ありがたいことに現在の街着における流行はワイドパンツ、ルーズパンツが主流である。体型カバーに最適なこのパンツを穿かない手はない。

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サスペンダーボタンつきでクラシカルなサイのワイドパンツ。裾はややテーパードだが十分に幅広で、顔の大きさをカバーしてくれる。

ビジネスパーソンをターゲットにしたファッション誌では、裾幅が狭く股上が浅いスリムパンツがよく提案される。確かに登場するファッションモデルや俳優はスマートでカッコいい。彼らに影響されてか、実際のビジネスシーンでもスリムパンツが主流のようだ。しかし細いパンツは脚長で体型(及び顔つき)が整った人、またはプロ級に着こなし上手な人だけが似合う服。多くの人は下半身が小さくなり、対比作用で顔の大きさが強調されてしまう。ファッション誌に憧れると真逆のカッコ悪さに陥りがちな危ういパンツなのだ。
ビジネスシーンでダボパンは無理でも、2タック入りのスラックスに穿き替えてはいかがだろうか。30~40年代の男性のドレスパンツはゆったりと優雅なものだった。現代のドレスアップにもきっと応用できる。
鍵になるのが足元の裾幅だから、スリムでも裾が広がったフレアパンツならワイドパンツの代わりになる。体型に合いつつカバーしてくれるパンツを見つけよう。

2.Vネックセーターで胸元を散らす

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極薄のハイゲージコットンのカーディガン。モックネックの白TシャツでVゾーンに目線を誘導し、顔の輪郭を目立たせなくした。

セーターもわずかな工夫で小顔効果を獲得できる。お薦めは近年人気が出てきたVネックニット。顔、首、胸と目線が自然に下に流れて、見る人の目線を顔に集中させず散らすことができる。カーディガンでも同じ視覚効果を演出できる。ニットのインナーをメリハリのつく色にしてVゾーンを強調するとより有効だ。例えば黒ニットならインナーを白やグレーに、ベージュニットならイエローやオレンジに。インナーを襟付きシャツにすると、首周りにボリュームが出て顔とのバランスを整えやすくなる。Tシャツならヘンリーネックや襟が太いモックネックが候補になる。

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アイルランドの手編みアランセーター。ニットの厚みと明るい色が上半身にボリュームを与える。

ハイゲージのクルーネックニットの難点は、上半身がのっぺりとすること。顔との境目がくっきりして、顔の輪郭が目立ってしまう。それでもクルーネックを着るなら、無地を避けボーダーなどの柄ものや、ベージュのように明るい色を選びたい。身体のラインをあいまいにして顔の印象を散らそう。
なおニット自体にボリュームを持たせるのも効果的だ。アラン編みのセーター、ふわっとしたモヘアなどに目を向けよう。

3.ジャケットの襟と肩の幅にこだわる

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ややワイドラペルのベーシックスーツ。襟をより幅広のものにすると大顔カバーの効果が高い。

服の襟を大きくすると、相対的に頭が小さく見える。テーラードジャケットなら幅広の襟を選ぼう。ピークドラペルのダブルジャケットや70年代調ジャケットほどの広さが最適だ。逆に60年代調のスマートなジャケットは襟幅が細く避けるほうが懸命である。コートならトレンチコートやピーコートのように襟幅が広いものが大顔カバーに役立つアウターになる。

上半身全体を大きくすると小顔効果も増すため、肩幅を広く脇周りが太いゆったりシルエットがベストチョイスだ。これはブルゾン、コート、シャツ、ニットなどすべてのトップスに当てはまる大顔カバーのセオリー。「アンチタイトフィット」な姿勢でワードローブを整えよう。幸いにも今年もゆったり服のトレンドが続いている。流行を追うのが苦手な人でも現代的な服にぜひトライを。

4.ネクタイの結び目を太く

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洗いざらしのワイドスプレッドシャツにウィンザーノットでネクタイを結んだ。より小顔に見せるにはシャツ襟をもっと大きくするほうがベター。

テーラードジャケットと同様に、シャツ+ネクタイの首周りも顔との対比が重要な鍵になる。シャツはワイドスプレッドなどの広がったタイプがいい。ただし首が細く長い人なら、レギュラーカラーでロングポイントの襟先が長いタイプもよく似合う。いずれにせよ、ちび襟だけはNGと考えよう。
ネクタイの結び目は左右で2回輪をくぐらせ、結び目を大きくする「ウィンザーノット」がベスト。きつく絞らずゆるめに巻こう。さらにネクタイの幅も太めにしたいところだが、ビジネスシーンだと野暮ったい装いになる懸念もある。「細いネクタイだけは避ける」くらいの温度がちょうどよさそうだ。

5.メガネは大きめをチョイス

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上写真2点のうち顔の大きさを気にする人が選ぶべきは上段のセルフレーム。これはアヤメのもので、下の小型メタルフレームは80年代のビンテージ。

メガネは顔の印象をコントロールできる便利グッズだ。避けるべきは小型で縦横の幅が狭いスクエアなタイプ。メガネと顔がアンバランスになり、顔の大きさが目立ってしまう。縦幅も横幅も広いメガネにすれば、対比作用で顔の大きさをごまかしやすい。トンボメガネのサングラスを掛けている女性を街で見かけるが、顔を覆えば小顔になる効果をよく知っているのだろう。
メタルかセルフレームかの2択なら、ボリュームのあるセルフレームに軍配が上がる。メガネを購入するときは姿見で全身を鏡に写してバランスを確かめよう。顔周りだけ見ると整っているようでも、全身の骨格や着る服に合わないケースがよくあるからだ。姿見をしっかり店内に設置して、店員がアドバイスしてくれるメガネ店で買い物したい。

6.トップスの色を明るく

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デニムとシャツ生地の切り返しで、肩周りに視線を集める明るいトーンのジャケット。

「額縁効果」と呼ばれる視覚作用がある。絵画の周囲を額縁で囲むことで絵に目線が集中することを応用して、暗い室内の小さな窓から見える景色などを印象的に演出する手法だ。この手法はファッションにも当てはまる。黒髪の人がトップスに黒服を着ると、上下の黒に挟まれ顔に目線が集中する。肌がきれいで小顔なイケメンや美女をより見栄えさせるスタイリングである。しかし逆に顔が大きい人だと、その作用が仇となり悪目立ちする結果に。黒の収縮作用で上半身が小さくなることも、顔の輪郭強調に拍車を掛ける大きな要因だ。
解決するにはトップスの色を明るくするだけでOK。ダークネイビー、ダークグレーのような暗い色さえ避ければ額縁効果から逃れられる。それでもダークカラーを着たいなら、白シャツの上に重ね着して襟をチラ見せするなどひと手間加えよう。首の下に明るいアイテムを持ってくるだけで印象が軽やかになる。

7.帽子でおでこを隠し、髪をタイトに

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ハリのあるコットン生地が、頭の形の調整に役立つベースボールキャップ。

オフタイムの装いなら帽子を取り入れよう。顔の面積を小さくできる。手軽なのがベースボールキャップで、その小顔効果はキャップを愛用している女性たちが軒並みスタイルよく見えることからもおわかりだろう。彼女たちはツバを下に下げ、目を隠すほど目深に被る。顔の面積を徹底的に減らしているのだ。頭部全体も小さくして、全身のバランスをアップさせている。
ただし男性がキャップのサイズを小さくすると、顔の大きさと調和させにくいようだ。頭頂に軽く乗るような大きめを選んでおけば間違いない。キャップ以外ではツバが頭全体を覆うバケットハットも効果的。似合う人は積極的にご活用を。

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USネイビーのセーラーハットをベースにしたバケットハット。

顔の面積を狭くするには、髪型を変えて前髪でおでこを覆う手もある。さらに頭の横をタイトになでつけボリュームを減らす。髪をジェルやオイルで湿らせ艶を与えると、印象がシャープになり顔がすっきり。ふわりとしたナチュラルヘアは避けるほうが懸命だ。全身のうち頭部だけが大きくなってしまう。
一方で顔や首の肉付きがいい人、エラが張っている人は、逆におでこを全開にするほうがクリーンになることもある。こちらも全身のバランスが大切だから、美容室の椅子の鏡だけでなく姿見に写して冷静に眺めよう。

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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