
米ニューヨーク市で、若者の間で流行中だという危険行為「地下鉄サーフィン(Subway Surfing)」により、10代の少女2人が死亡するという痛ましい事故が発生した。
列車屋根で発見された2人の少女
事件が起こったのは今年10月5日の午前3時頃。ブルックリンのマーシー・アベニュー駅に停車した列車の屋根で、12歳と13歳の少女2人が意識不明の状態で発見された。通報で駆けつけた警察により、その場で2人の死亡が確認された。
報道によると、事故直前、駅構内で走り回っていた15人ほどのティーンエイジャーのグループがいた。亡くなった2人はそのグループの一員だったとみられる。
若者に流行する地下鉄サーフィン
亡くなった少女たちが行っていたとされる「地下鉄サーフィン」は、走行中の地下鉄車両の屋根に上ったり、車体の側面にしがみついたりする極めて危険な行為である。
その手口の一つは、車両の連結部分にある通路から屋根に上るというものだ。日本ではあまり考えられないが、ニューヨークの地下鉄では、車両連結部分の通路がむき出しになっている古い車両が未だに多く走っている。地下鉄サーファーらは、その手すりや足場を伝って屋根へと飛び移るのだという。
地下鉄サーフィンは、ニューヨークの地下鉄が開業した20世紀初頭から存在する危険行為だ。しかし近年、SNS上に地下鉄サーフィンの過激な動画が投稿されるようになり、「やってみたい」「かっこいい」とティーンエイジャーの間で人気を集めるようになった。
その結果は悲惨だ。今回の痛ましい事故を含め、ニューヨーク市における地下鉄サーフィンによる死亡者数は今年だけで5人にも上る。昨年も11〜15歳の6人がこの危険な行動で命を落とした。
「サーフィンではなく自殺行為」
ニューヨーク市警察は、地下鉄サーフィンによる逮捕者数が急増していることを明らかにしている。昨年の逮捕者数は229人に達し、前年の135人から大幅に増加した。逮捕者の平均年齢は14歳、最年少は9歳の少年だったという。
今回の事故を受け、ニューヨーク市交通局は「地下鉄の屋根に乗ることはサーフィンではない、自殺行為だ」と強い言葉で非難した。メトロポリタン交通局は、保護者に対し子供たちに危険を警告するよう求めるとともに、ドローンやカメラでの監視を強化している。また、InstagramやTikTokなどのSNSプラットフォームとも連携し、地下鉄サーフィンの動画を大量削除した。
しかし当局は、犠牲者の親たちが求めているような根本的な対策には消極的だ。車両連結部を覆って屋根に上りにくくするなどの施策は行われておらず、車両間の通路に覆いのついた新型車両の導入もまだ一部に限られている。この危険なトレンドを根絶することは容易ではなく、効果的で早急な対策が求められている。
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地下鉄サーフィンの動画
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