レクサスLMに乗るならジェントルであれ! 改良モデルならではの快適な移動に感心

  • 写真・文:小川フミオ
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写真:LEXUS INTERNATIONAL

レクサス「LM500h」が2025年8月に一部改良を受けた。さっそく10月に試乗。静粛性が高くなったというメーカーの説明どおりの出来映えになっている。

東京の繁華街では見かける機会の多いレクサス・ブランドのミニバンがLM。車名はラグジュラリームーバーの頭文字だとか。

一体感のあるデザイン

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2020年にアジアで発売され日本では23年に全面刷新された改良型が導入された。

デザイン的にも、ひとつのかたまりから削り出したような一体感が強いのが魅力といえる。

レクサスというブランド力、高価格というステイタス性。それとともに、デザイン力も高い人気に寄与しているはずだ。

車体に”かたまり感”があるのは、面のつくり方に負うところが大きいだろう。フロントからリアまできれいに反射する光が流れている。

かつて、1970年代まで日本の自動車界は米国スタイルのデザインの影響が強かった。

その時代はフロント、サイド、リアと違うデザイナーが担当して、ディレクターの仕事はそれを合体させることだったとか。

大型ミニバンはいまでも、フロント部にとってつけたようなクロームの加飾が目立つものがある。

LMはたしかに威風堂々としているものの、フロントからリアまで、文字どおり首尾一貫したデザインだ。そこが質感の高さにつながっている。

48インチの大型モニターを備える

今回乗った「EXECUTIVE」は、さらにもうひとつ、大きな特徴を持っている。

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今回の改良モデルでは着座のままパワースライドドアスイッチを操作できるようになった。

電動スライドドアをボタンひとつで開けて後席に乗りこむと、ドライバーが座る第1列とのあいだに黒い壁のようなパーティションが設けられているのだ。

パーティションには48インチのモニターが埋め込まれていて、後席のリモコン(リヤマルチオペレーションパネルと呼ぶそうな)で、映像とか音声とか再生が操作できる。

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48インチ大型ワイドディスプレイを備えたパーティションが配置された4人乗り。写真:LEXUS INTERNATIONAL

左右めいっぱいに拡げて画像を観ることもできるし、左右で2分割して、ひとりずつ違うコンテンツを楽しむことも可能。映像だとちょっと頭が痛くなりそうだけれど。

余裕たっぷりの後席空間

後席空間はスペースもたっぷり。パーティションとの距離もたっぷり確保されていて、座ったまま脚を思いっきり伸ばしてもつま先すら届かない。

そのスペースを利用してリラックスできる。これもLMの大きなセリングポイントだ。バックレストが垂直から83.5度まで無段階でリクラインする。 

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エアコン、シートポジション、サンシェード、照明などを統合制御するLEXUS初採用の「リヤクライメイトコンシェルジュ」装備。写真:LEXUS INTERNATIONAL

移動中に質のよい休息を求めるのは、プライベートジェットを頂点にした航空機のアッパークラスの乗客と同じだ。

前後4席独立温度調整オートエアコンや、足元、ドアトリム、後席用オーバーヘッドコンソールの照明の照度調節や、14色のテーマカラーに加えて50色用意された「インテリアイルミパッケージ」も楽しめる。

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ショーファードリブンMPVの需要に応えるために開発された。

快適なドライブ体験をもたらす静粛性

今回の改良の眼目は室内の静粛性の向上。

「乗員がより自然体でくつろげる居住空間を提供するため、静粛性を高める改良を施しました」とはレクサスの弁である。

具体的には、後輪のホイールハウスとテールゲートまわりに制振材・吸音材を追加・拡大したことがひとつ。

加えて、後輪が路面と擦れて起こすロードノイズや、テールゲートの振動音といったノイズも軽減したとうたわれる。

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運転席も居心地がよくドライバーズカーとしても使える。

今回、私が座っていたのは、ぜいたくな後席でなく、ドライバーズシート。後席とのあいだには、開口部はあるものの、ぶ厚いパーティションが設けられていた。

それでも、騒音対策の効果については、わかった気がした。

いちど後席に座ったひとと短い間だけど会話を交わす機会があった。そのときの会話の明瞭性は、ノイズ対策のたまものではないだろうか。

スムーズな操作性が持ち味

運転席で感じたのは、スムーズな操縦性だ。ひとことでいうと、大きな(全長5125mm、全高1955mm)車体を意識させず、気持ちよい操縦性が持ち味なのだ。

出来のよい2.4リッターエンジンを使ったハイブリッドシステムによって、加速性は良好。アクセルペダルを介して運転者の意思のままに車両が動く感覚が好ましい。 

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脱着可能なタッチ式コントローラータイプのリヤマルチオペレーションパネルを採用。

今回の後席重視の「EXECUTIVE」はともかく、6人乗りの「versionL」だと、自分でステアリングホイールを握って運転するオーナーも少なくないだろう。失望はなさそうだと思った。

価格は「versionL」の1500万円に対して、「EXECUTIVE」は2010万円。こういうクルマに乗る恵まれた人は、路上でジェントルにふるまう。それがわかっている人のためのクルマだ。

レクサス LM500h エグゼクティブ

全長×全幅×全高:5125×1890×1955mm
車重:2440kg
ホイールベース:3000mm
2393cc 4気筒+電気モーター(ハイブリッド)
エンジン最高出力:202kW
エンジン最大トルク:460Nm
モーター最高出力:フロント64kW、リア76kW
モーター最大トルク:フロント292Nm、リア169Nm
6段オートマチック変速機
全輪駆動(後輪はモーター駆動)
燃費:13.5km@l(WLTC)
乗車定員:4名
価格:2010万円
https://lexus.jp