「危なすぎる…」飛行中のパラグライダーに“風船が絡む瞬間”が話題に。墜落の危険も

  • 文:山川真智子
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shutterstock_2480511749.jpg パラグライダー。 photo:Scatto61/Shutterstock※写真はイメージです

飛行中のパラグライダーに、空中を漂っていた風船の紐が絡まるという事件がイギリスで起こった。幸いにもパイロットは冷静を保ち、リスクを回避して着陸。その後空中で風船と遭遇した際の動画をTikTokで公開し、多くの人々を驚かせた。イベント等で頻繁に使用される風船だが、空に放たれた後の危険性をこの事件が知らしめる結果となった。

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誕生会だった? 空中に舞うピンクの6

空中で風船に遭遇したのは、マイケルの名で活動するティックトッカーだ。利用していたパラグライダーは、ハーネス部分にエンジンユニットを背負うプロペラ付きのパラモーターと呼ばれるものだった。

マイケルが投稿した動画では、空中を飛行する彼の前に、光るピンク色の「6」の形をした物体が現れた。これは、マイラー・バルーンと呼ばれる金属風の光沢を持つ風船の一種で、誕生会などのイベント用に人気が高い。マイケルが遭遇した風船は、誰かが6歳の誕生日用に購入したものだったと思われる。

最初は大型の鳥かと思ったそうだが、近づいてみると風船だと分かったという。少しだけいじってみたい衝動に駆られ、マイケルは数回旋回してバルーンを追いかけ、蹴りを入れたり、手で叩いたり、頭上のグライダーのラインの間をくぐらせたりしていたという。ところが、最終的に足で捕まえようと試みたところで、事態は急変。上空500メートルで、ライザーというパラグライダーのベルト状の部品に引っかかった風船が、プロペラに危険なほど近づいていることに気付いたという。

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無事着陸! 視聴者から意外なコメントも

プロペラに風船が吸い込まれれば、墜落してしまう。すぐに地上に戻らなければとマイケルは考え、風に向かって慎重にスロットルを調整しながら帰路についた。冷静に安全な高度まで降下し、着陸前にエンジンを停止させてさらなるリスクも回避し、風船を引きずりつつ無事着陸した。

ニュースサイト、デイリー・ドットによれば、コメント欄には、風船をいじったマイケルに対し、「自分の行動の結果ではないの?」というコメントもあったという。これに対し、マイケルは「その通り」と答え、一部は自分の責任だと自虐気味に認めている。

一方この事件を知って、「もしかして自分の風船だったかも…」と名乗り出た人が数十人もいたそうだ。実際にマイケルは地元のFacebookグループに投稿して持ち主を探したが、見つからなかったとしている。

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最終的には危険物に… 知られざる風船の害

アメリカ海洋大気庁(NOAA)によれば、風船は人々が意識しない海洋ゴミの一種だという。イベントに頻繁に利用される風船は、意図的にしろ、偶然にしろ、海へ飛ばされることがよくあるが、いったん空中に浮上すると最終的には落下し、野生動物や送電線などに予期せぬ危険を与えると述べている。今回のパラグライダーの件も、その一例だ。

NOAAの研究では、実際にバージニア州では5年間で5000個の風船ゴミがボランティアにより発見されたという。また、バージニア州とメリーランド州にまたがる野生動物保護区では、数時間の捜索で1000個を発見。一部の海岸では、1マイル(約1.6㎞)あたり最大40個の風船が見つかっている。NOAAは、マイラー・バルーンの代替品利用を推奨すると同時に、風船を空中に放つ行為自体の禁止を訴えているという。

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@thenullhypothesis Bumped into a birthday balloon as I flew into the Sunset… #Paramotor #RealFairy #Paragliding #flying #ppg ♬ フリー・バード - レーナード・スキナード

風船遭遇から無事着陸までの映像。