Otemachi One GARDENで楽しむ芸術と食欲の秋 ― 大手町の真ん中で、自然と人の調和を表現するラッセル・モーリスの彫刻とは

  • 文&写真:石川博也
Share:
L1019883.jpg

「Hexenringe」(2025)

皇居を向かいに、摩天楼が並び立つ東京都・大手町。そこにある地下鉄大手町駅から直結し、オフィスをメインに、多様な飲食店、ランニングステーションなどが入った複合施設が「Otemachi One」だ。最大の特徴は、「Otemachi One GARDEN」と呼ばれる皇居の緑と連続した豊かな緑地空間に、芝生広場を中心としたおよそ3,000平方メートルのオープンスペースが併設されていることだ。

大手町のオフィスビル群の中で、そこはまさに都会のオアシスそのもの。そんな広場では、2022年の誕生以来アートを使った、自然と調和する、ほっとひと息つける空間を創出する取り組みを定期的に行っている。

L1019901-Enhanced-NR.jpg
芝生広場を中心としたオープンスペースにラッセル・モーリスの作品が展示されている。

これまでにニコライ・バーグマンやヨシロットンといった人気アーティストとコラボレートしてきたが、2025年から「Otemachi One ART BREAK」に名称を刷新。その第二弾として『ラッセル・モーリス展「O」』が、9月24日(水)からスタートしている。

自然と人が交差する大手町で、無限性を表現する

L1019815.jpg
ラッセル・モーリス●イギリス・ニューカッスル出身、神奈川県逗子市在住。1980年代からグラフィティ文化に関わりを持ち、'93年にブランド「The Gasface(のちのGasius)」を設立。メディコム・トイやナイキなどと協業。コミックと抽象表現を融合する表現は、国境を超えて多くのアーティストたちに影響を与えている。 

イギリス生まれのラッセル・モーリスは、日本在住のアーティスト。自然科学やアニミズム、SFやアニメーションに精通し、それらを融合させた作品で世界的に高い評価を受けてきた。

今回のコラボは、「Otemachi One GARDEN」の存在価値や取り組みと、自然界の構造や循環をテーマに活動するラッセル・モーリスの創作理念が響き合ったことで実現したという。

「Otemachi One GARDEN」はオフィス街にありながら、自然と人が交差する空間である。憩いの場を提供するだけでなく、生物多様性の保全にも務めた場所であり、人と生物が密接につながる場となっている。ラッセルは、この大手町の雰囲気を「不思議な調和とペースで動く街」と表現している。

L1019837.jpg

ラッセル・モーリスと大型彫刻作品「You might not like it, but we’re all connected(気に入らないかもしれないけど、私たちはすべてつながっている)」(2025)。切れ目部分の断面を覗くと、両側に異なる表情の顔が描かれている。

作品はすべて「Otemachi One ART BREAK」のために制作されたもので、シンボリックな大型彫刻と芝生エリアと調和した小型ブロンズ作品群で構成。すべて屋外での展示であり、インスタレーションとして展開されている。

展示のコンセプトは「インフィニティ」だと話すラッセル。「無限性」を表すこの言葉は、彼が一貫して追求してきた、地面から宇宙へと広がる自然界や動植物の構造・現象、そのつながりが、大胆かつ親しみやすい表現で具現化されている。

---fadeinPager---

それぞれの見方で何かを得てくれたら、私はうれしい

L1019888.jpg
土星を顔に見立てた「Ring of Saturn」(2025)

今回、展示のタイトルを"O"(オー)にした理由についてラッセルはこう話す。

「大手町のOであり、Oが2つつながると無限を表す"∞"(インフィニティ)になり、さらに今回はキノコが環状に生えるフェアリーリングと呼ばれる自然現象から着想を得た作品も制作しているので、Oを展示のタイトルに選びました」

作品は、「すべてが調和する」をテーマに、大型作品も小型作品もシルバーで統一。シルバーはグラフィティライターだったラッセルが、どんな素材にも厚く強固に塗布することができて、力強く美しい表現ができるために多用していた色であり、その後のキャリアを通じても、彼の作品に多く使われている色だ。ラッセルにとってシルバーは「いつでも美しく見える色」なのである。

今回の展示は、彼自身初となるパブリックアートであり、また、ビジネス街での展示ということもあり、ラッセルの作品に初めて触れる人も多いだろう。作品の鑑賞ポイントについてラッセルはこう話す。

「すべての作品に共通して言えることですが、観ていただいた方それぞれがそれぞれの見方をしてくださればいいなと思います。ぜひご自身のストーリー、ご自身の捉え方で観ていただければと思います。ミステリアスであることも重要だと思っておりますので、私からなにかを提示するのではなく、直感的にいろいろ感じていただき、そこからなにかインスピレーションを受けてくださるのであれば、私も大変嬉しいです」

L1019906.jpg
「Anstrato’s」(2025)。抽象的なキャラクターを通して、この世界の不思議や目に見えないもの、人の理解を超えた存在を表現した作品だ。
L1019879.jpg

「Anstrato’s」(2025)。「屋外にグラフィティ作品を描いた経験は何度もありますが、完全に3Dのものを公に設置するというのは初めてです」とラッセル。

---fadeinPager---

秋夜はアートとフードで彩る

さらに、今回の展示では、アート、音楽、美食を楽しめるイベント「大手町で、MUSIC BAR。」も開催される。期間は10月3日(金)までと、10月27日(月)から10月31日(金)までの2度にわたり、「Otemachi One GARDEN」にて催しは行われる。

展示品を囲むようにフードトラックが出店し、ハンバーガー、タコスなどのこだわりのフードから多彩なお酒が取り揃えている。加えて、空間の雰囲気にマッチしたBGMがガーデンエリアを包み込み、気分を開放してリラックスしたり、リフレッシュできるイベントとなっている。

夏が終わり、秋の空気を感じるこの季節だからこそ、会場でラッセル・モーリスの作品とともに、芸術の秋、食欲の秋を堪能してみてほしい。

L1019961-Enhanced-NR.jpg
「大手町で、MUSIC BAR。」の様子。仕事帰りにふらっと立ち寄りたい。

『O by Russell Maurice(ラッセル・モーリス展 「O」)』

開催期間:9月24日(水)〜11月7日(金)

開催場所:Otemachi One GARDEN

東京都千代田区大手町1-2-1

https://otemachi-one.com/art-event/


『大手町で、MUSIC BAR。』

開催期間:〜10月3日(金)、10月27日(月)〜10月31日(金)

開催場所:Otemachi One GARDEN

開催時間:17時〜21時