【秋の小旅行に】荷物を最小化!雨対策から機内快適まで。お洒落な「圧縮ワードローブ」7つの正解

  • 写真・文・編集:一史
Share:

旅の荷物をミニマルにすると心も軽くなる。大人こそ小さなバッグひとつで旅立とう。コンパクトに荷物を圧縮したい人に役立つ、持ち歩きワードローブのヒント7選を紹介する。

1.雨傘代わりの撥水シャツと防水キャップ

DSC03594.jpg
撥水加工されたシャツと防水キャップ。

荷物を抱えたままの旅先では、雨降りのときに傘を取り出すのが億劫なもの。ならばレインコートで済ませようとすると、脱いだとき荷物になるし椅子に座りにくい問題も出てくる。そこでコートを撥水加工のシャツに代え、新しい旅のお供にしよう。小雨程度なら生地が水を弾いてくれる。シャツのサイズはセーターの上に羽織れる大きめを選ぶとアウターとして着回しやすい。撥水シャツのメリットは軽快さに加え、着たままレストランで食事したり着用範囲が広いことにもある。入手するには「撥水加工」を検索キーワードに探すのが手っ取り早い。

購入時に気をつけたいのがポケットの形状だ。オープンポケットだと身体から流れ落ちた雨水が溜まりがちである。写真のシャツは優雅なムードが気に入っている私物の撥水シャツだが、ポケットは雨降り対応されていない。レインコート代わりに長時間着るなら、フラップつきポケットで雨水に耐えるシャツを選ぼう。

DSC03599.jpg
2点ともに縫い目をシール加工して水の侵入を防いだキャップ。眼鏡を掛けている人は、ツバが長いベースボール型キャップが最適だ。

なおパーカのようなフードつき撥水シャツは、実用性に乏しいのであまりお薦めできない。フードを被るとわずかな風でもブワッと脱げてしまうからだ。外して着ると内側に雨水が溜まってしまうし、どう着ても上手くいかない。ドローコードで絞ったり頭に固定できるパーツがないフードシャツは選択肢から外していいと思う。
髪は防水機能のある帽子でカバーしよう。掲載品は無印良品の定番品。防水力が高く頭の蒸れも少なく、ミニマルで完成度が高い。旅行では必ずバッグに入れている私的な愛用品だ。

2.身体のコンディションを整え、クッション材や枕にもなるウールTシャツ

DSC03640.jpg
2点ともにウール100%のTシャツ。家庭での洗濯可能なイージーケアアイテム。

アウトドアの登山者が昔から着ていたウールTシャツをラインナップに加えるファッションブランドが増えてきた。男性にはTシャツ=コットンというイメージが根強いようだが、ウールTシャツはいちど着ると手放せないよさがある現代のワードローブである。品よくシワになりにくく、大人の装いができる。部屋着のようなスウェットパンツを穿いても、Tシャツをウールにするだけで品格が保たれる。ホテル館内の移動や朝食時に大活躍する。

DSC03647.jpg
ウール糸の弾力を活かしクッション材や枕にも利用できる。

さらにコットンよりメリットが大きいのが機能性だ。体臭がつきにくく汚れも目立たず、何日も着続けることが可能。肌の湿度や温度を適度に保ち、ストレスなく快適に着られる。
弾力性のあるウールTシャツは、バッグの隙間を埋めるクッション材にも使えてしまう。畳めば簡易的な枕にもなる。旅に持っていくと何かと便利だ。

3.パジャマにもなるソロテックス生地のイージーパンツ

DSC03608.jpg
ソロテックスは化繊のブランド生地。

快適なイージーパンツは旅の必須アイテム。購入するとき生地に着目してみよう。最適解のひとつが帝人フロンティアが開発した「ソロテックス」。ゴムに似た弾力性としなやかさがあり、元に戻ろうとする形状回復機能を持つ。ラフに穿いてもシワや型崩れがおきにくい。この特性を活かしてパジャマ代わりにも使えてしまう。洗濯の乾きも早いから汚れたらホテルの部屋で洗えばOK。超軽量なのも旅のワードローブに向く理由のひとつ。丸めてバッグの隅にでも突っ込んでおける。

DSC03633.jpg
バリエーション豊富なソロテックスのうち、このパンツに採用されているのは極薄のタイプ。

掲載品はセレクトショップ別注のグラミチで、生地の下げ札つき。生地がソロテックスかどうかは下げ札や織ネームで判別できることが多い。これほど小さく畳んでも広げれば元に戻る。トップスをウールTシャツにすれば品格も増して宿泊時の館内着にぴったりだ。

4.防寒用のマフラーはニット素材で

DSC03626.jpg
スカーフとマフラーの中間に位置するニット素材のマフラー。

寒い旅のシーンではマフラーが大活躍する。ただし使わないなら邪魔なだけの困ったアイテムでもある。一般的なフェルト状のマフラーは分量が多くかさばるものだ。そこでニット素材をチョイスしよう。ニットなら丸めてバッグのポケットに収納できる。
素材はなるべくウールよりカシミヤが望ましい。糸分量が少なくても暖かいからだ。掲載品は長年愛用しているジョンストンズのカシミヤ製品。スカーフのようにシャツの内側にしまい込み身体を温める使い方もでき、冬の必需品になっている。

DSC03631.jpg
くるくると丸めるとコンパクトサイズに。

ニットマフラーは弾力があり、簡易的な枕にもなる。航空機や列車の車内で首を支えたり、就寝時のベッド周りで活用したり。なんなら土産に購入した器などの割れ物に巻き付け保護するクッション材にもなる。これから購入するマフラーはニット素材で決まりだ。

5.テーラードジャケットは品格ある天然素材で

DSC03650.jpg
ともにエンジニアド ガーメンツのウールジャケット。製品洗いでくったりとした味わい。

テーラードジャケットを羽織れば、インナーやパンツがどんな服でも装いが落ち着く。ふだん着ない人でも旅に一着持っていくと役立つだろう。ビジネスシーンでは気軽なナイロンやポリエステルといった化繊のセットアップスーツを着る人が増えたが、旅には天然素材のジャケットを持っていこう。優雅なドレープが出る動物繊維のウールやカシミヤがベストの選択だ。ジャケットを化繊にすると貫禄のある大人の顔つきに不釣り合いなときがある。旅先でスポーティなインナーやパンツと組ませるなら、ジャケットは高品位な動物繊維にしよう。

掲載品はサマーウール生地のアンコンジャケット。裏地がなくカーディガンやシャツ感覚で着られるラフな品である。このようにコンパクトに畳めて“きちんと感”も出せる一着は、旅以外の日常生活でも実に便利だ。

6.2足目は超軽量な競技用ランニングシューズを

DSC03621.jpg
アスリートが履くプロ仕様のランシューでも街履きが似合うものがある。

仕事旅で革靴が必須な人は、足を休めるシューズが必要だろう。これまでサンダルを持参していたなら、競技用の本格ランニングシューズに切り替えてはいかがだろうか。掲載のアディダス「アディゼロ EVO SL」はアスリートのトレーニング用&ジョギング用で、片足がわずか約220g。ランシューは本格的な品ほど軽量になっていく。足に優しく旅の移動がポジティブな気分になる。
派手なカラーリングが多いランシューでも、人気モデルならたいてい真っ黒の色もある。厚底のお洒落シューズと見た目が変わらないから、服装に合わせやすく仕事履きにも応用できる。

一方で荷物の圧縮という意味では、ランシューはスペースを占有する問題がある。そのときはシューズ内部にソックスや下着を詰め込みケース代わりに使ってしまおう。シューズの型崩れも防げて一石二鳥になる。

7.気分をリフレッシュさせる香水は、超ミニスプレーをケースに入れて

DSC03615.jpg
シリコン樹脂のミニスプレーケース。犬の内部に押し込み頭部をキャップのように被せて使う。

旅に香水を持っていくなら、小型スプレーのアトマイザーに移し替えるのがスタンダードなやり方。しかしこの作業がなかなか難しい。香水をこぼしてしまったり、指について困ることも。しまいには「面倒だからいいや」と移し替えを諦めがちだ。
そこで役立つのがお試しサンプルによく使われる超ミニスプレーである。2mLほどの少量ながら数日の旅には十分だ。ふだん使わない香りでも非日常を愉しむ旅にはよく似合う。近年ではイソップの「フレグランス アンソロジー」やルラボの「ディスカバーセット」のように、数種類の香りのミニスプレーをセット販売しているブランドもある。

写真のキーホルダーはミニスプレーを持ち運べるケース。韓国のタンバリンズのノベルティで、バッグチャームにしたりパンツのループに吊り下げたり。このように洒落たケースがもっと登場してくれると、香水を楽しめるシーンが大きく広がりそうだ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。