フェラーリ「849テスタロッサ」と呼ばれる超ド級のスポーツカーが、フェラーリジャパンの手で、2025年9月に日本でお披露目された。

ひと足先に9月中旬にミラノで公開された849テスタロッサ。830CV(610kW)の最高出力を持つ3990ccV8をベースにした、プラグインハイブリッドのパワートレインを搭載している。
アーカイブから引用したデザイン
「デザイン上の特徴は(1970年の国際マニュファクチャラーズ選手権に出走したプロトタイプスポーツカーの)512Sをイメージさせるツインテールです」
日本のメディアに向けて、849テスタロッサの解説を行った本社のプロダクトマーケティングマネージャー、マルコ・スペソット氏はそう説明した。

849テスタロッサは、19年発表の「SF90ストラダーレ」の後継にあたる。電気モーターで前輪を駆動するシャシーは、SF90ストラダーレの発展形ともいえるもの。
ボディデザインは「SF90ストラダーレのフォルムに大変革をもたらした」とされる。たしかに、さきに触れた通り、フェラーリ自身が歴史的引用を認めている。
左右ヘッドランプがひとつのクラスター化されている点も、フェラーリの公式資料には「1980年代のフェラーリを思わせる」と記載されている。キャビン背後のリアセクションのボリューム感も512Sのようだ。

それでも感じる“未来的”な魅力
単に歴史的引用に終始していないのは、ボディデザインの要が空力であることだ。
ノーズで印象的なバンパー下の大きなスポイラーや、ドアに深い彫り込みを設けて、そこからリアセクションへ効率よく冷却気が送り込まれるようになっている。
ドアの複雑な造型は、機械プレスを前提にしていてはなかなか実現が難しいもので、スペソット氏は「クラフツマンシップのたまもの」と、満足げにうなづくのだった。
「デザイナーとエンジニアが緊密な関係を保ちながら開発にたずさわり、機能と審美性の両立を追求しました。結果は極端なほど未来的なプロダクトになりました」

インテリアは、2人で楽しむGTにふさわしいデザインと、サーキット走行などを視野にひとりでドライブするための機能を併せ持っている。
物理スイッチが復活した理由
さきのフェラーリ「アマルフィ」のように、849テスタロッサも、物理的なスイッチが”復活”している。

理由を尋ねられてスペソット氏は「タッチスクリーンは豊富に機能が盛り込めますが、シンプルな操作を好むユーザーの声を聞き入れた結果です」と応えた。
849テスタロッサという車名の由来はなんだろう。
「8は8気筒エンジン、49は1気筒が499ccであるところに由来しています」とスペソット氏。
「テスタロッサ」に込められた想い
テスタロッサと聞くと、クルマ好きなひとは、1984年に発表されて一大センセーションを巻き起こした「テスタロッサ」を思い出すだろう。

それより以前に「500TR」(1956年)や「250TR」(58年)というレーシングカーがある。今回の命名の背景は「テスタロッサという名の70周年を祝う意味合い」があったそうだ。
テスタロッサとは、赤い頭の意。エンジンのシリンダーヘッドを、余った塗料で赤く塗ったことで、このニックネームがついた。

塗ったのは現場の誰かということだが、フェラーリではこういう”史実”がいくつもある。
名車のほまれが高い「250GTO」(62年)のシンボルともいえる、フロント部の3連エアインテークも同様。現場のエンジニアが冷却のため、金切りはさみでちょきちょきと開けたんだとか。
849テスタロッサの発売は、「欧州では第2四半期。日本には27年になりそうです」と、フェラーリジャパンのドナート・ロマニェッロ代表取締役社長は語った。

フェラーリ 849 テスタロッサ
全長×全幅×全高:4718×2304×1225mm
車重:1570kg
ホイールベース:2650mm
3990ccV型8気筒+電気モーター(プラグインハイブリッド)
駆動用バッテリー容量:7.45kWh
エンジン最高出力:610kW
エンジン最大トルク:842Nm
8段デュアルクラッチ変速機
全輪駆動(前輪はモーター駆動)
最高速:330kph
0-100kph加速:2.3秒
乗車定員:2名
価格:未公表
問い合わせ:フェラーリジャパン
www.ferrari.com/ja-JP