【大人のワイン知識】 日本ワイン最新技術と哲学を学ぶ、サントリー登美の丘ワイナリーの新ツアーがスタート

  • 文:Pen編集部
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2025年9月より稼働したFROM FARM醸造棟。

山梨県・サントリー登美の丘ワイナリーに新たな醸造棟「FROM FARM醸造棟」が完成した。それに伴い見学ツアーの一部がリニューアルし、一般公開を開始した。

登美の丘ワイナリーといえば、日本ワインの魅力を世界に知らしめたワイナリー。昨年、ここで生まれた「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」が、世界最大級の国際ワインコンペティション「DWWA(デキャンター・ワールド・ワイン・アワード)」で日本ワインとして初めての最高賞「Best In Show」を受賞したのだ。

そんなスターワインを生み出した、登美の丘ワイナリーが今回のリニューアルによって目指したのは、世界と肩を並べる“ジャパニーズワイン”を実現すること。栽培、醸造、熟成、すべての工程において日本の自然、風土と畑に合わせた細やかな技術を集結した。

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ひとつ一つ、ブドウの個性を最大限に生かす取り組み

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新たに導入された小型のサーマルタンクのひとつ。小ロットで熟成できるだけでなく移動も可能だ。

新たに導入された小型のサーマルタンクのひとつ。小ロットで仕込みができるだけでなく移動も可能だ。

稼働が始まった醸造棟では、ぶどうとワインを丁寧に扱うというサントリーのワインづくりの思想に基づく“ジェントルハンドリング”を徹底し、ブドウの除梗、選果、圧搾、発酵、瓶詰まで一貫して行う。

ブドウやブドウ果汁に極力負荷をかけないための自然の重力を利用した設計「グラヴィティ フロー」を採用し、フランス・シャンパーニュ地方などで多く使用されている、高品質な果汁の搾汁を可能にする新型プレス機を導入。最先端のワインづくりの機材が揃う。

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登美の丘ワイナリーで最も多く栽培されているブドウ「甲州」の畑。

近年の温暖化などの気候変動による影響で、日本でも生育できるブドウや、その栽培方法も刻々と変化している。登美の丘ワイナリーでは、より高品質なワインを継続的に製造できるようにするため、全体の畑を約50区画に分け、それぞれの環境に最適なブドウ品種を植え付け、栽培方法も工夫している。

醸造棟のタンクには、繊細な温度調整を可能にする小型のサーマルタンクを26台導入。それぞれ最適なタイミングで収穫したブドウを小ロットで丁寧に仕込むことで、ひとつ一つの個性に合わせた最適な熟成を実現することができる。こうして、多彩で高品質なワイン原酒ができることで、よりよいワインづくりを目指しているのだ。

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日本ワインのいまを象徴するワインのテイスティング

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ワイナリー内の厳かな雰囲気の瓶熟庫には、1900年代後半からの貴重なワインも現存。自分の生まれ年のワインボトルを見つけてみては。

新たなワイナリーツアーは2種類。新設された醸造棟、歴史のある熟成庫、登美の丘ワイナリーの代名詞であり、登美の丘ワイナリーで最も多く栽培されているブドウ「甲州」の畑を巡る80分のコースと、これに眺望台見学を加えた120分のコースだ。

どちらもサントリーを代表する高品質なワインのテイスティングができる。特に120分のFROM FARM​登美の丘ワイナリーツアー​〈プレミアム〉では、長年にわたり開発され、満を持して今年ローンチした高品質ワイン「FARM 登美の丘 プティ・ヴェルド 2021」や、貴腐ワインなど4種の試飲ができる(時期によってテイスティングできるワインは変更)。

いま日本では、46都道府県中45県にワイナリーがあるといわれている。その生産数のみならず、そのきめ細やかなものづくりが注目を浴びている。来月11月8日には、今年の新酒が楽しめる「サントリー登美の丘ワイナリー 収穫感謝祭 2025」が開催される。国内業界を牽引するサントリー登美の丘ワイナリーで、日本ワインのいまを感じてみてはいかがだろうか。

サントリー登美の丘ワイナリー

山梨県甲斐市大垈2786
TEL:0551-28-7311(受付時間9:30~16:30)
営業時間:10:00~17:00(最終入場16:30)
定休日:水曜、年末年始(臨時休業あり)
http://www.suntory.jp/factory/tominooka