【試乗記】500kmの長距離ドライブ、スバルの最新「クロストレック」で東京ー大阪間の快適旅

  • 文・写真:小川フミオ
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スバルが手掛ける「クロストレック」。洗練された都会的なボディデザインを持つ充実したクロスオーバー型SUVだ。

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スポーティな雰囲気が都市にもよく似合う。

2025年9月中旬、「クロストレックPremium S:HEV EX」で、東京ー大阪を往復。長距離の走りも快適だと知った。

「アウトバック」「フォレスタ−」とともに、スバルのメイン車種となるクロストレック。4480mmの全長に、2670mmのホイールベースで、コンパクトだけど広い。使い勝手のよさが光るパッケージだ。

都市でも郊外でも、幅広いフィールドに適した

見どころは、スポーティさとSUVのラギッドネスが上手に組み合わされているスタイリングにある。

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凹凸が激しくなければ未舗装路でも走破性は高い。

オフロード志向の人はフォレスターがいいかもしれないが、都市と郊外、どちらも活動のフィールドというならクロストレックはよい選択になりうる。

ルーフラインは前席乗員の頭上あたりにピーク(頂点)があり、そこから後ろにいくに従って、なだらかなに下降していく。

ウインドウグラフィクスもルーフラインとある程度、並行しつつ、後席あたりでは上下幅せまく絞りこまれている。

前席優先というイメージで、パーソナル性がうまく表現されている。それがこのサイズともよく合っている。実際は、後席空間はスペースもたっぷりある。

ドイツ車でいうと、BMWのX2や、アウディQ3スポーツバックが同様のパッケージで、やはり人気が高い。

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大阪城のまわりは堀の水と緑がうつくしい景色をつくっている。

新たにラインアップされたS:HEV

クロストレックは2022年に日本で発売。24年12月に「e-BOXER(イーボクサー)」と名付けたストロングハイブリッドモデル(今回のS:HEV)が追加された。

ボクサーとはスバルが得意とする水平対向エンジン(2気筒ずつ左右に180度開いた形式)のことで、これにトヨタのTHS-Ⅱと同様のシリーズパラレルハイブリッドシステムが組み合わされている。

それまでラインナップされていたマイルドハイブリッドエンジン搭載車と2本立ての構成となる。

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リアゲートの開口部の大きさとともに横幅を出来るかぎりかせいだ荷室のおかげで使い勝手がよい。

私が乗ったモデルは、2.5リッターエンジンにモーターを組み込んでいて、前後輪を駆動。

スバルならではの特徴として、後輪の駆動は物理的なプロペラシャフトを使うことがあげられる。路面状況に合わせて後輪へ駆動力を瞬時に伝えられることを、スバルではメリットとしている。 

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エンジンは充電にも走行にも使われるシリーズパラレル式ハイブリッドシステム(スバルではストロングハイブリッドと表現)採用。写真:SUBARU

燃費と操作性が向上

バッテリー駆動の領域が広がったのが特徴で、メリットのひとつは燃費。今回の燃費はリッター17.9kmだった。スバル発表のカタログ値「リッター18.9km(WLTC)」に迫る好燃費だ。

もうひとつ、ストロングハイブリッドのメリットは、操縦性。バッテリー駆動の領域が広がったため、発進加速がよく、とくに市街地ですいすいと走るのが気持ちよい。

市街地を中心とした使い勝手のよさは、すでに承知していたものの、長距離は初体験。東京から大阪までの500kmがまったく苦にならなかったのは、うれしい発見だ。 

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縦型モニタースクリーンは扱いやすく機能的なコクピット。

快適なドライブの理由は、乗り心地のよさと、ドライバーの感覚に寄り添っている印象の加速感。効きのよいブレーキも安心感をもたらしてくれる。

クロストレックでは「SIドライブ」という2つのドライブモードがそなわっている、ステアリングホイールに設けられたボタンでトルクカーブが変えられる。

高速ではアクセルペダルを強く踏み込む場面が少ないので「I(インテリジェント)モード」を選んだ。都市内高速では、軽い踏み込みで太いトルクがすぐに立ち上がる「S(スポーツ)モード」がよかった。 

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シートの出来もよく500km走っても身体の疲労度はかなり低かった。

「アイサイト」で快適なドライブを実現

クロストレックのもうひとつのセリングポイントは、スバル独自の安全支援システム「アイサイト」と運転支援にまで機能を拡張した「アイサイト・セイフティプラス」の搭載。

すでに読者のかたはご存知かもしれないが、3つのカメラレーダーからの情報により車両の動きを制御し、事故に巻き込まれるのを防ぐための技術がアイサイト。

アイサイト・セイフティプラスは、設定された速度内で先行車を追従したり、車線内走行を維持したりする。快適なロングドライブを実現、というカタログ内の文言どおりだと、体験して感じた。

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クロストレックのラインナップは「Touring」FWDモデル(301万4000円)からと価格の幅も広い。

大阪まではほぼ高速道路を走って、上記セイフティプラスの機能の恩恵を十分に受けられた。

巡航速度を設定して、ステアリングホイールを軽く握り、いざというときに備えてブレーキペダルをいつでも踏めるように意識しておけば、楽ちんなドライブができる。 

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大阪市の「スバル城東店」のイベントスペースに飾られていたレヴォーグ・ベースのMAVICニュートラルカー。

今回の「プレミアムEX」はさらに「アイサイトX」も搭載。自車走行位置のより的確な把握と、それにともない精度の高いナビゲートが可能になるとされる。

加えて、渋滞時ハンズオフ機能、ウインカーレバー操作にともない車線の自動変更、カーブ手前の減速、ETCゲート手前の減速、といった機能もアイサイトXには盛り込まれている。

クロストレックは、キャンプ好きやマリンスポーツ、スノースポーツ好きにも人気とのことで、オプションも増えている。

スバル クロストレック Premium S:HEV EX

全長×全幅×全高:4480×1800×1580mm
ホイールベース:2670mm
車重:1660kg
2498cc水平対向4気筒+電気モーター(ハイブリッド) 全輪駆動
最高出力:118kW+88kW(モーター)
システム最大トルク:209Nm+270Nm(モーター)
燃費:18.9km@L(WLTC)
乗車定員:5名
価格:¥4,086,500 
www.subaru.jp