日本語で歌うオペラが映した、祈りと対話の“うた” に宿る希望【Penが選んだ、今月の音楽】

  • 文:小室敬幸(音楽ライター)
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【Penが選んだ、今月の音楽】
『うたはどこでおぼえた 
岡原真弓リサイタル 私の好きな歌2 —林光ソング―』

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岡原真弓、五味貴秋、橋爪恵一、山田百子 コジマ録音 ALM-7314-7315 ¥3,740

独自のスタイルで日本語オペラを追求する「こんにゃく座」。礎を築いた林光が遺した名曲の数々を、看板女優の岡原真弓が、ときにアコーディオンを弾きながら歌い上げる。トークも収録したライブを追体験できるアルバムだ。こんにゃく座を未体験の方は、まずアルバムタイトルの由来となった「うた」(詩は演出家の佐藤信)を聴いてほしい。心震える絶唱から、人は闘う時にも音楽を必要とするのだと実感できるはず。同じく佐藤の詩による「贖罪のうた」も、自分本位になりがちないまの世の中に必要な歌である。

※この記事はPen 2025年10月号より再編集した記事です。