中国で“タトゥー犬”が登場──麻酔なし施術に批判が集中

  • 文:吉井いつき
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Shutterstock ※画像はイメージです

中国で飼い犬にタトゥーを入れた男性に大きな批判が集まっている。男性は胴体に大きなタトゥーを入れた飼い犬を自慢するだけでなく「麻酔を使わずにタトゥーを彫った」とも話しており、愛犬家たちの激しい怒りを買っている。サウスチャイナモーニングポストが取り上げた。

ペットフェアに現れたタトゥー犬


タトゥーを入れた犬が姿を見せたのは、今年8月22日に上海で開かれた大規模ペットフェアのさ中だった。その犬はメキシカン・ヘアレス・ドッグという毛のない品種で、無毛の背中には色鮮やかな龍のタトゥーが大きく彫り込まれていた。さらに首に金の鎖、前足には腕時計を身につけており、そのド派手な姿は多くの来場者の目を引いた。


飼い主の男性は龍のタトゥーを背負った愛犬を自慢し、周囲の人々に写真や動画を撮るよう促したという。さらにこの男性は、飼い犬にタトゥーを入れるとき麻酔を使わなかったと話した。驚く周囲の人々に対し、男性は犬の首筋をつかんで持ち上げてみせて、「ほら、痛くないんだ。何も感じないよ」と主張したという。


しかし、男性の言葉とは裏腹に、犬の様子は明らかに異常だったという。目撃者らは犬の画像と共に「常に怯えているようだった」「おやつにも興味を示さなかった」とSNSに投稿。犬の足に怪我のような痕が見えたと証言する目撃者もいた。これらの投稿はSNS上でもあっという間に拡散され、「犬がかわいそう」「あまりにも残酷」「動物虐待だ」などと多くの批判が寄せられた。


タトゥーを入れられた犬の話はたちまち会場中に広まり、怒りを覚えた来場者からの通報が主催者に殺到した。事態を重く見た主催者は、タトゥーのある犬を連れた男性を退場させ、今後の入場を禁止した。

「麻酔は使った」彫り師の弁明


この騒ぎが大きくなると、犬にタトゥーを施した彫師がSNSで弁明を始めた。彼によると、当初は犬へのタトゥー依頼を断っていたという。しかし飼い主の熱心さに根負けし、施術を引き受けることになったそうだ。


彼は飼い主について次のように証言している。「男性は犬を自分の子どものように思っていて、タトゥーを入れた方がかっこいいと言っていました」


なお、この彫師によると、タトゥーを入れる施術は動物病院で獣医師の立ち会いのもと行われ、術前に麻酔もかけたという。いずれにせよ犬が痛みを感じないはずはなく、繰り返し針を刺されるような施術に大人しく耐えるはずもない。飼い主の男性がなぜ「麻酔はしなかった」と話したかは不明だ。


中国では野生動物を保護する法律はあるものの、家畜やペットに対する虐待を禁じる法整備はまだまだ進んでいないのが現状だという。

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【動画】タトゥーを彫られた犬

@mothershipsg The dog's tattoo artist, LV, initially refused to do the procedure. He eventually relented after the dog’s owner repeated pleading, claiming the Mexican hairless breed has low pain sensitivity. “I sincerely apologise for any harm caused to the dog or to viewers online. It was unintentional,” LV said. #tiktok #animals #fyp ♬ original sound - Mothership