
中国で、日焼け防止用フェイスマスク、「フェイスキニ」が流行中だという。これまでは年配女性が海水浴場で使用する安くて野暮ったい商品だったが、近年は若者層にアピールする、ファッションアイテムへと変貌。大手スポーツウェアブランドなども続々と参入し、新たなトレンドとなっている。
おばさんアイテムから若者のトレンドに
フランスのニュース雑誌、ル・ポアンによれば、フェイスキニの起源は中国東部の青島(チンタオ)だとされる。ビーチでおばさん海水浴客が着用していたおしゃれとは真逆の日焼け対策だったが、ここ数年でUV対策商品として脚光を浴び、新たなトレンドとなった。
肌を日光から守るために設計されたフェイスキニは、顔の半分までを覆うものもあれば、額や首、胸まで覆うものもあり、スタイルはさまざまだ。いずれも軽量で洗濯可能、UVカット機能を備えた機能性素材で作られている。日本円にして数百円の手ごろなものから、数千円のデザイナーズものまで幅広く出回っているという。
強固な白肌信仰 色白はステータス
フェイスキニを健康上の理由から着用する人もいるが、需要の中心は美容目的のようだ。ル・ポアンによれば、中国では白い肌には洗練され優雅といったイメージがあり、圧倒的に理想とされている。また、色白は社会的地位の象徴でもあり、多くの人々が日焼けを嫌っているという。
エコノミスト誌のインタビューに答えた中国市場専門の調査会社社員によれば、最近はオフィスウェアやアウトドアギアに合うフェイスキニを求める人が増加中だという。一見銀行強盗風で着用のハードルは高いとも思われたが、新型コロナのパンデミックで人々がマスクで顔を隠すことに慣れてしまったことも、普及を後押ししたようだとエコノミスト誌は解説している。
今やフェイスキニが海辺のおばさん限定品だった時代は終了。ソーシャルメディアはもちろん、地下鉄の構内でも見かける若い世代のファッションアイテムとなっている。
市場は拡大中 中国政府は問題視
エコノミスト誌によれば、中国におけるUV対策衣料の売上高は昨年約800億元(1兆6600億円)に達した。調査会社の調べでは、女性向けフェイスキニの売上高は7月までの1年間で約50%増加したという。フェイスキニ・ブームの需要をいち早く捉えた企業の業績も好調。特に12年前に南部の深センで設立され、マスクやその他のUVケア製品を手掛けるベネアンダー社は最大の恩恵を受けているという。最近ではスポーツウェアを含む中国のアパレル企業も参入しており、市場はますます盛り上がっている。
もっとも、中国政府はこの風潮を快く思っておらず、共産党機関紙、人民日報は日焼けに対する過剰な不安を非難した。ル・ポアンは、中国では顔は何よりも監視の道具として使われていると指摘。フェイスキニの下に隠された匿名的な顔は、中国の顔認証システムにとっては不都合だとし、今のトレンドが持続するかどうかは不明だとしている。
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Facekini – China's beach fashion #Roadtoxiaokangsociety pic.twitter.com/I1pLEUgDhd
— CGTN (@CGTNOfficial) October 11, 2020
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🔴 INFO — #Chine : Un été sans visages. Sur les plages, à vélo ou au bureau, une nouvelle tendance s’impose : le #facekini. Cet accessoire couvrant intégralement la tête, ne laissant paraître que les yeux, est devenu incontournable… et purement mode, sans lien avec le Covid. pic.twitter.com/NmDX9EL8CC
— FranceNews24 (@FranceNews24) August 27, 2025
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