
「呪われたグミベアのように見えるかもしれませんが、違います」。米国魚類野生生物局(USFWS)が、Facebookである生き物について投稿した。なんとも奇妙な見た目の写真に、驚きの声が寄せられている。
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実は“ある生き物”の集合体
8月17日に同局が投稿した写真は、世界で4番目の面積を誇るヒューロン湖で撮影されたもの。人の手と同じサイズの、ゼリーの塊のような物体が写っている。透き通った黄土色で、コンソメスープをジェル状に固めたかのようだ。
同局のマイケル・シンドラー氏は、投稿文に次のように書いている。
「湖でカヤッキングをしていて、ゼラチン状の塊を見たら、『誰がグミベアを湖で腐らせたんだ?』と思うかもしれません」
「それはグミでも、カエルの卵の塊でも、変異した脳みそでも、SF世界の悪夢でもありません」
同局によると、謎のプルプルの物体の正体は「ペクチナテラ・マグニフィカ」=「オオマリコケムシ」。外肛動物コケムシの一種で、写真の塊は実はごく小さな個虫が集まって形成された「群体」だ。写真は数千匹ほどの規模だが、時には1メートルをこえる郡体になることもある。
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中身は寒天質
オオマリコケムシは、夏から秋にかけて水中のプランクトンなどを食べながら成長する。寒天質を分泌し、はじめは水草などにくっついて郡体を形成する。
塊の中身は寒天質。郡体の表面を拡大すると、1.5ミリメートルほどの個虫がずらっと並んでいる。遠巻きに見た模様が鞠(まり)のようであることから、和名に「オオマリ」がついた。
知れば知るほど少しゾッとしてしまうような生物だが、「この古代生物は淡水に命を吹き込ます」と同局は書く。
「流れの緩やかな川や湖でプランクトンを捕食し、水を浄化します」「水の流れに優しくゆられながら、目に見えない秘密の世界を形成しているのです」
投稿には「じゃあやっぱりゼリーじゃん」「実はエイリアンのサナギなのでは」といったコメントや、数々の目撃情報が寄せられた。
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過去に日本でも大量発生
同局によるとオオマリコケムシはアメリカで最も一般的なコケムシだが、世界には数千種のが存在するという。
日本では1972年、河口湖で初めてオオマリコケムシの群体が発見された。北米原産のオオマリコケムシは日本において「外来種」となり、これまで琵琶湖や霞ヶ浦など、これまで各地の湖や沼で大量発生している。
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Have you ever seen this bizarre, jelly-like mass in the water while out boating or fishing? It's a freshwater bryozoan called Pectinatella magnifica ("magnificent bryozoan"): https://t.co/hVOENAdw1V #wildohio #aquaticspecies #bryozoan pic.twitter.com/ZErR2RUa8c
— Ohio Div of Wildlife (@OhioDivWildlife) July 23, 2018